水温が低くなる冬のチヌを釣るのは、秋口の荒食いのチヌと比べて難易度の高いものとなります。
しかし、チヌ(黒鯛)は冬場だからといってエサを食べないわけではありません。
冬場に合わせた攻略法でチヌのフカセ釣りを楽しみましょう。
冬のチヌ釣り攻略法
冬場のチヌは口を使うことが少なく、じっとしていることが多いです。
そのため、クワセエサを柔らかく食べやすくしてあげることが冬のチヌ釣りの攻略法になります。
水温が下がる冬から春先にはチヌは活動がおとなしくなり、エサをくわえてもそのまま反転して移動したり、ついばみながら動くことはあまりありません。
どちらかというと居食いをしたり、目の前のエサを口入れても動かずにいたりします。
口にエサをくわえた状態でウキが潮に引っ張られてようやくウキに反応がでたりします。
そのため、非常にアタリが小さく、アタリがとりにくい状態になります。
海水温は気温と比べて、ひと月以上遅れて変化するため、12月から1月はまだ活性の高いチヌもいますが、2月以降になると海水温も完全に低下するため、厳しい状況になります。
水温はせめて10度以上はある場所が理想的です。
クワセエサは
冬場にはエサ取りも低活性となるため、サシエサはオキアミからスタートするとよいでしょう。
オキアミもまずは大きなサイズから試してみて、エサの存在感をアピールします。
エサ取りがいるようだとオキアミがかじられたりします。低活性時にはハリスにはできるだけオモリは打たないようにします。
自然と上から降ってくるように軽い仕掛けでチヌにアピールします。そのため、ハリスは普段よりも少し長めにとるとよいでしょう。
クワセエサのオキアミがとられないようであれば、マキエの中から取り出したオキアミをクワセエサにしてもいいでしょう。加工されていない生のオキアミは、エサ持ちは悪いですが、柔らかく食い込みやすくなっています。
アミノ酸αなどの添加剤を使うことで食ってくることもあります。
においと味が変わり、サワリはあるけれどもなぜか食ってこないといった、あと一歩のところで活躍してくれます。
アミノ酸αの効果に迫る。ウルトラバイトアルファとは?釣れる添加剤になるのか
もしくは、食い渋っているときには練りエサの食い渋りイエローも効果的です。
ただし、そのまま使うのではなく、水に濡らして練りこみをくわえて柔らかく粘るようにしてから使います。
一口で飲み込めるような小指の先ぐらいのサイズにして柔らかくして使ってみてください。
底を狙う
低水温期はチヌは底にあるエサを拾っています。
そのため、クワセエサは底につけて這わせるように狙います。しっかりと這わせるときには1m近く這わせてより自然な状態に近づけたりします。
仕掛けはあまり遠投する必要はありません。
その代わり地形の変化のある場所を狙う必要があります。
低活性時には決まった場所に居ついていて、目の前に流れてきたエサにしか反応しないこともありますので、広く探っていくとよいでしょう。
アタリの出方
低活性時のあたりは非常に小さく 棒ウキや円錐ウキであればムズムズと動くようなあたりでラインのあたりもわずかに引っ張っているようなアタリになります。
そこから走り出すことはあまりなく、居食いすることが多いのであわせるのであれば即合わせでもよいでしょう。
クワセエサをくわえているからあたりになるので、まずはしっかりとあわせてみてください。
それでものらない場合は、食い込ませるようにします。
針を少し小さくしたり柔らかいエサを使って一度目のあたりをおくり、2、3回目のググっと入るあたりに絞ります。
まとめ
冬場の低活性時でも、チヌはエサを捕食しています。
しかしウキにはアタリとして出にくいため釣るのが難しくなります。
まずはエサを食わせるために、寄せること。
そして底冷えしていなければ、ハリスは這わせてしまいエサの違和感を消し去りましょう。
あとは全体的にタックルバランスを弱めにして、小さなアタリが出やすいように工夫します。
道糸を1.2号にして、ハリスも1.2号、チヌ針1号と小さく、エサ付けも丁寧に行います。
些細なことですが、冬場の釣りではほんの少しの違いで釣れるかどうかが決まります。
釣りの組み立てを考えて丁寧に狙っていくことを心がければ釣果にも恵まれることでしょう。
さらに詳しくは、以下の記事をご参照いただければ幸いです。
あとがき
書き終えて改めて振り返ってみると、私は本当に「釣りが好きなんだなあ」と、しみじみ実感しています。とりわけ、この記事では冬場のチヌ(黒鯛)釣りを中心に、さまざまな技術や考え方について私なりの体験を交えてご紹介しましたが、こうしてまとめてみると、チヌ釣りの奥深さや多彩なアプローチには尽きることのない魅力があると感じます。チヌは一年を通して狙える魚ですが、冬の時期に繊細なアタリを取って仕留めるのは、本当に醍醐味があります。釣り人の腕や知識、そして情熱が試される季節だからこそ、各自の工夫が生きるのです。そこがまさに、私が強く惹かれるポイントだったりします。
まず、このテーマを選んだ大きな理由は「冬場でも楽しめる釣りがある」ということを多くの方に伝えたかったからです。寒い季節はどうしても家にこもりがちですが、実はこの時期ならではの楽しみ方が存在します。特にチヌは適応力が高く、多少水温が低くても活性がゼロになるわけではありません。そうした「寒くても釣れるんだ」という驚きや喜びを、少しでも読者の皆さんと共有したいという思いがありました。
さて、ここからは記事を執筆するにあたっての背景やエピソードについて、もう少しリアルなお話をしていきたいと思います。実は今回の記事のアイデアが形になり始めたのは、年末年始に飾磨港へ通いつめてチヌを狙っていた頃がきっかけでした。寒さの厳しい季節、しかも人が多く集まるようなメジャーなポイントではなかったため、最初は「ここで本当にチヌが釣れるのか?」という疑念がありました。しかし、地元の古参の釣り人が実際に大きなチヌを上げたという話を聞き、「だったら何とかして自分でも釣ってみたい」と火がついてしまったんです。
飾磨港という場所は、潮通しがいいエリアとそうでないエリアが混在していて、底の形状や障害物、さらにエサ取りの存在など、少しでも条件を見誤ると全くアタリが出ません。最初はオキアミやコーン、配合エサなどを自分で試行錯誤しながら使ってみるものの、全然反応がない時間帯が続き、「これはちょっと冬のチヌは厳しいかな……」と不安になったこともありました。そんなときに助けになったのが、釣り餌メーカー「マルキュー」の社員の方とのやり取りでした。たまたま釣り場で会話する機会があり、その方が「冬場は水温が低いので、においが強めの配合エサを少量ずつ使った方が、チヌの活性が上がりやすいですよ」とアドバイスをくれたんです。さらに「エサ取りをかわすには配合エサの中身を調整して、集魚力を保ちつつ狙いたいタナをしぼるのがコツ」など、思わずメモを取りたくなるような具体的な話をしてくださいました。実際にそのアドバイスを生かしてポイントを探っていくと、それまで反応のなかったチヌが、ウキにほんの小さな変化を与えてくれるようになり、最終的には狙いの1枚を手にしたときの感動は今でも忘れられません。
もうひとつ印象深いのが、年が明けてから家族で広島へ旅行に出かけたときのことです。本来なら家族サービスに集中すべきだったのですが、どうしても「ここら辺でもチヌが釣れるかな?」という好奇心が抑えられませんでした。妻と子どもたちが旅館でゆっくりしているあいだ、私はこっそり近くの港へ足を運び、冬の海を眺めながら竿を出していました。静かな波音が響く中、観光地の喧騒とは全く無縁の場所で、ひんやりとした空気を吸い込みながらラインを張っては緩め、ウキの動きを凝視する……そんなひとときが私にとっては「最高の贅沢」なんです。気温は低くとも、海には確かに生命感があって、その日も小ぶりながらチヌを一匹仕留めることができました。このときの達成感と、家族に「やっぱり釣れたよ!」と報告したときのリアクションは、本当に貴重な思い出になりました。
執筆中に思い起こされたこうした体験を記事に落とし込むことで、自分自身でも「あのときはこんな苦労をしていたんだな」「こんなアドバイスが大きなヒントになったな」と、釣りの過程そのものを再認識することができました。同時に、私が書いた情報が「これから冬のチヌを狙ってみよう」という方々の手助けになればいいな、という気持ちが一段と強くなったのも事実です。
また、キャスティング(釣具店)の店員さんから教わったことも多かったですね。私が「冬のチヌ用にちょっと強めの竿先が欲しいんですけど」と相談したら、「確かに竿先は強さも大事ですが、繊細さも残したほうが食い込みが良くなるので、できれば○○番くらいのロッドがいいですよ」とアドバイスをくれました。さらにリールの番手やラインの号数など、「チヌ狙いでも回遊状況によっては太めのラインを使うと安心だけど、その分アタリを逃しやすい」というように、微妙なバランス調整の知識を惜しみなく教えてくださって。道具の選び方ひとつで、これほどまでに釣果が変わるのかと驚いたものです。こういった実践的な情報を得るたびに、「釣りって本当に奥が深い。だからこそ、ずっと学びがいがあるんだな」と感じます。
私としては、この記事が皆さんにとって「冬のチヌを狙ってみるきっかけ」となれば嬉しいですし、それ以外のジャンルの釣りであっても、「冬だし無理かな」と諦めがちな時期こそ、新しい挑戦をしてほしいと思っています。釣りは、気象条件や水温、ポイントの特徴などをつぶさに観察し、自分なりに工夫を凝らすことで、意外なところから好結果が生まれる可能性を秘めています。皆さんがこの記事の内容を参考に、次の週末にでも釣り場へ足を運んでみて、「あっ、こういう戦略もあるんだ」と試してくださるとしたら、これ以上の喜びはありません。
そして、釣りという趣味は単に魚を釣るだけでなく、釣り場での人との出会いや、自然と触れ合うことで得られる癒やしや学びがあるところに大きな魅力があると考えています。釣り餌メーカーの社員の方との思いがけない会話や、キャスティング店員さんとの道具選びのやりとり、そして家族とのちょっとした冒険談……こうしたエピソードの数々が私の中で大切な思い出となり、また次の釣行へと駆り立てる原動力になっているのです。ぜひ読者の皆さんにも、それぞれの釣りのストーリーを少しずつ積み重ねてほしいと思います。誰かに教わったり、自分で試行錯誤してみたり、その過程が楽しさの要因になりますし、それが「自分だけの釣りのスタイル」を作り上げていくのだと思います。
最後になりますが、この記事を通じて、冬でも足を止めずに挑戦を続ける楽しさ、そしてチヌ釣りを含めた釣り全般の多面的な魅力が、少しでも読者の皆さんに伝わっていれば幸いです。
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