釣り具屋に行くと様々なエサが置いてあります。
そのなかでも冷凍品であるエビやオキアミは海釣りには必須のエサです。
ここでは、それぞれの違いと釣れる魚などを見ていきましょう。
目次
オキアミとアミエビの違い
オキアミとは
一見するとエビのように見えますが実はプランクトンの仲間です。
巨大な群れで泳ぎ、外エラと活性化した消化酵素をもっています。
通常釣りエサとして売られているのは南極オキアミのことをさします。
オキアミはプランクトンを捕食していますが、エサのない時には代謝を遅らせることでエサが全くない状態でも200日も生存できる能力を持っています。
南極に生息する南極オキアミはクジラやアザラシなどの主食になっており、魚類の貴重なたんぱく源でもあります。
寿命は5年~7年で同程度の大きさの甲殻類のなかでは比較的長生きです。
エビとの違いとして、オキアミにはヒゲがついていません。
オキアミは頭に短い角のようなものがありますが、触覚のような長いヒゲはありません。
そのため、別名ツノナシオキアミと呼ばれていたりもします。
世界的に見てみるとオキアミの漁獲量が多いのがノルウェーです。
ノルウェーでは養殖業用の飼料として使用されており、オキアミに含まれる赤色の色素のアスタキサンチンによってサーモンの身の色がよくなると人気なのです。
オキアミは魚の好物であるため、すぐにハリからとられてしまいます。
そこで一度ボイルすることで身の締まりを良くしてエサ持ちを高めて使うことがあります。
これをボイルオキアミといいます。
生オキアミは水揚げ後にすぐに冷凍したものですが、解凍すると劣化が早く黒変してしまいます。
ボイルオキアミは生オキアミを水揚げ後に熱水のシャワーを吹きかけたりすることで加熱し消化酵素を失活させて変色を防いでいます。
ボイルオキアミは生オキアミよりも比重が軽いため、魚を浮かせて釣りたいときに使われます。
アミエビとは
アミエビはサクラエビ科に分類されるエビの一種です。
オキアミはプランクトンでしたが、アミエビはエビです。
日本を含め、東南アジアに生息する小型のエビで、アキアミと呼ばれています。
アミエビはスーパーなどに乾燥して販売されているサクラエビの仲間です。
顕微鏡などで注意深く観察すると、エビですので手長エビやヌマエビにみられるようなV字のハサミを持っています。
これを常温保存できるように釣り餌に加工したものがアミ姫になります。
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オキアミとアミエビの使い分け
アミエビはオキアミに比べて小型で色が暗く身も柔らかいため、小型の魚に好まれます。
アミエビは遊離アミノ酸の量が多く、タウリン、グリシン、アラニンといった魚を惹きつけるアミノ酸が多く含まれます。
味覚や嗅覚を利用して集魚する際には、アミエビが優れているでしょう。
一方で、オキアミはその大きさから視覚的にアピールすることに優れています。
グレやチヌ(黒鯛)、マダイやワラサなどを狙う際にはオキアミがよいでしょう。
エサの沈み方の違い
生のオキアミの場合
ヒシャクで生のオキアミだけを投入すると縦長のスロープが出来上がります。
ゆっくり沈むものから、頭を下にして沈むものまであります。
これは生のオキアミの密度によるもので、頭の部分に空気を含んでいたりするオキアミはゆっくりと落下していきます。
砕かれたオキアミは殻の中に海水が入り込むため比較的早く水中を沈んでいきます。
一般にオキアミの沈下速度は10秒間に50cmから80cm沈下していきます。
グレ釣りの場合など生オキアミに配合エサをくわえて釣りをします。
これはオキアミが粉エサをまとうことでさらにゆっくりと沈んだり、煙幕を形成して集魚効果を高める働きをします。
配合エサと混ざることによってスロープ状にエサが沈んでいき、狙ったタナまでエサを届けやすく、魚のコントロールが容易になります。
ボイルオキアミの場合
ボイルオキアミとはオキアミを一度ボイルしたものになります。
オキアミがボイルされることにより、身の中の水分が抜けだし、身が硬く締まります。これによりオキアミの中に小さな空洞をつくりパサついたオキアミとなります。
海に撒いてみると半分ほどが海水面に浮いており、徐々に水を吸って沈んでいくことが分かります。
ボイルオキアミは沈下中にはオキアミが横に倒れた状態で円盤のようにして沈んでいきます。
水の抵抗を受けながら沈んでいくため、生のオキアミよりもゆっくりと沈みます。
アミエビの場合
アミエビを柄杓で撒くと、塊で飛んでいきます。オキアミに比べてまとまりがあり、ひとかたまりで沈んでいきます。
塊がほどけてバラケだすとアミエビ自体の重量が軽いのでゆっくりと沈んでいきます。
オキアミとアミエビの臭いにはこれ
フカセ釣りやサビキ釣りなどオキアミやアミエビを使った道具を持ち帰る際には臭いが非常にきになります。
石鹸できれいに洗ってもどこか臭いが残っているなと感じることもあるかと思います。
特にバッカンを入れた車などの残り香は1週間ほど臭いがとれないこともあります。
そこで私が使っている消臭スプレーをご紹介しておきます。
いくつかの消臭スプレーのなかでもオキアミ臭に効くスプレーはこちらのドクターデオ プレミアムスプレータイプです。
安定化二酸化塩素を配合しており、オキアミやアミエビの臭いを無臭化してくれます。
ファブリーズなどと比べると少し高いですが、その分効果はあるかと思います。
オキアミやアミエビの臭いに悩んでいる方は使ってみてはいかがでしょうか。
名古屋港水族館では生きているオキアミを見ることができます。
私が行った時には、人も少なくオキアミが海中で漂う様子を見ることができました。
プランクトンといえど、動き方はモエビのように足を動かくして動いている様子が観察できます。
あとがき
今回の記事では、海釣りに欠かせないエサとして「オキアミ」と「アミエビ」にフォーカスし、それぞれの特徴や使い分けなどをできるだけ分かりやすくまとめました。実際、エサ選びは地味な作業だと思われがちですが、釣果を左右する非常に奥深いポイントです。私自身、最初は「とりあえずオキアミを買っておけば大丈夫だろう」とざっくりした考えで海釣りを始めましたが、回を重ねるたびに「どうして今日はアミエビのほうが効くのか」「生オキアミよりボイルオキアミで狙ったほうがよかったのではないか」など、疑問や新たな発見が次々に出てきました。この記事を書くにあたって、改めて自分の経験や専門家の意見を整理することで、エサ選びが釣りの結果にどれほど影響を与えるのか、再認識できたように思います。釣り具メーカーの開発担当者に「エサの品質管理はどのくらい大変なんですか?」と尋ねたところ、「釣り人は最終的に魚を釣るための道具を選ぶわけですが、エサ自体も立派な道具の一部です。やはり安全面や鮮度管理だけでなく、釣り場や釣法に合わせた選択肢を増やすために、加工方法や保存性なども常に改良しているんですよ」という話を聞き、単なる食品とはまた違う観点での品質向上の取り組みに感銘を受けました。私が今回強調したいのは、オキアミとアミエビは見た目こそ似通っている部分がありますが、実はその生態やエサとしての特性が大きく異なるという点です。オキアミはプランクトンであり、ボイルすることで身が締まりエサ持ちがよくなる一方、アミエビはエビらしいハサミを持ち、遊離アミノ酸が豊富で強い集魚効果があるなど、知っていれば釣りの戦略がより深まります。今回の記事ではそうした知識を整理し、皆さんの釣りの現場に役立つようにまとめようと努めました。釣り具店のプロスタッフからは「サビキ釣りのシーズンにはまとめ買いする人も多いですが、エサの保存法によって鮮度が落ちてしまっては思うような釣果を出せない」という話をよく聞かされました。家庭の冷凍庫に残ったエビ系のエサを入れておく際、パックにきちんと密閉してラップを重ねるなど、匂いや酸化を防ぐ工夫をするだけで仕掛けに着けたときの見え方も変わるそうです。こういった現場の生の声を取り入れると、釣りは道具だけでなく管理にも奥深さがあると感じずにはいられません。
今回の記事を書くきっかけとなったのは、私が重寺港でウキ釣りをしたときの経験です。友人と一緒に早朝から出かけ、サビキ釣りを楽しもうとアミエビを準備していたのですが、当日は思いがけず風が強くて海面が荒れていました。仕掛けを投入しても思うようにタナをキープできず、アミエビを入れたコマセも想定より早く流されてしまい、結局狙っていた小アジの群れを寄せられなかったのです。そこで途中からボイルオキアミを使い、ウキ釣り仕掛けに変えてみると、エサの沈下速度がゆっくりになり、魚が浮きやすいタイミングに合わせやすくなって釣果が伸びました。やはりエサの沈み方やエサ持ちの違いを知っておくと「今この状況なら、あえてこっちを使うべきだ」と判断できるのだなと、身をもって学んだのです。この重寺港での経験があったからこそ、どのようにエサの特徴を活かすかが重要なのだと痛感し、いつか記事としてまとめたいと思っていました。
さらにこの記事の執筆を進めるうちに思い出したのが、新婚旅行で名古屋港水族館に行ったときに見た生きているオキアミの姿です。正直、釣りエサとしてのオキアミしか頭になかった私は、「オキアミはプランクトンである」という事実にそれまであまり関心を持っていませんでした。しかし水族館の水槽で元気に動き回るオキアミたちをじっくり観察すると、その動き方はモエビなど他の小型エビとはちょっと違う印象を受けました。プランクトンというと、顕微鏡でしか見えないような微小生物をイメージする方も多いかもしれませんが、こうして肉眼でハッキリ観察できる大きさであることや、大群で泳ぐ様子を想像すると、本当に海の生態系の要となる存在なんだと実感します。水族館のスタッフの方にも話を伺いましたが、「オキアミはクジラやアザラシなどの大型生物にとっても重要な栄養源なんですよ」と教えてもらい、ますます興味が湧きました。普段はエサとしてしか目にしない生物の、自然界での役割や生態に思いをはせると、釣りがもっと楽しくなるのは間違いありません。
釣り具メーカーの開発担当者からは、ロッドに関する面白い話も聞けました。例えば磯釣り用のロッドは、オキアミなどの軽いエサを遠投するときの振り抜き感や、繊細な当たりをとらえるためのティップの柔軟性が非常に重要になるそうです。サビキ釣りに使うロッドの場合は、大量のアミエビ入りコマセを絡めた仕掛けを遠くまで飛ばすため、ある程度の硬さと粘りが必要になります。そうした違いを踏まえて竿を選ぶと、エサ選びとの組み合わせがより活きてくるという話でした。また、釣り船の船長とも話をする機会があったのですが、「エサの沈下スピードに合わせて仕掛けの重さや釣るタナを微調整するのがコツ」だとアドバイスを受けました。特に、イサキやアジ狙いのときはアミエビで寄せを強化し、チヌやグレ狙いのときは大きめのオキアミで視覚的アピールを狙うなど、魚種ごとの食性を考慮してエサと仕掛けをセットで考えるのが大事だそうです。こうした現場のプロや開発者のリアルな声は、実際に釣りをする私たちにとって非常に参考になるうえ、具体的な戦略を立てる大きなヒントを与えてくれます。
最後に、この記事を読んでくださった皆さんにお伝えしたいのは、「釣りは道具を使った総合芸術のようなもの」だということです。ロッドやリール、仕掛けの性能だけでなく、エサの選び方やその管理、さらには海の状況を読む力など、さまざまな要素が互いに絡み合っています。オキアミとアミエビを中心にしたエサの特徴を理解しておくと、次の釣行が今までよりもずっと戦略的に楽しめるはずです。もし「今回の記事をきっかけにエサへのこだわりを深めてみたい」という方がいらっしゃれば、ぜひ手に取るエサのボイル具合や香り、重さの違いなどを細かく観察しながら釣りを楽しんでみてください。私自身もまだまだ試行錯誤の連続で、重寺港ではウキ釣りの修行を続けながら、いつかまた名古屋港水族館に足を運んでオキアミの不思議な生態に思いをはせてみようと思っています。この記事が皆さんの釣りライフを少しでも刺激し、「次はどんな仕掛けで、どんなエサを試してみようか」とワクワクするきっかけになれば幸いです。これからも私自身、道具やエサ選びの奥深さを追求しながら、読者の皆さんと一緒に釣りの世界を探求していきたいと思います。ぜひ次の週末、海へ足を運び、新たな発見や大きな一匹との出会いに期待を膨らませてください。私もタモ網を準備して、また新しい釣り場へと出かける日を心待ちにしています。皆さんの釣果に幸あれ、そして釣りという趣味がこれからますます盛り上がっていくことを心から願っています。