エリアトラウトの釣りにおいて最も難しく、技術に差が現れ、おもしろいのはルアーローテーションではないでしょうか。
ここではルアーのローテーションについてみていきましょう。
目次
ルアーローテーションの仕方
エリアトラウトの釣りでは、魚にうまくルアーを合わせることができれば、周りがつれていない状況でも爆釣する可能性があります。
数あるルアーの中から状況に応じてルアーを見つけ出す方法を見ていきましょう。
ルアーを追っているか
まずルアーを交換する前に考えていただきたいのが、トラウトがルアーをチェイスしているかということです。
クリアな水であればトラウトがルアーを追いかける姿は見やすいかもしれませんが、水が濁っている状態では見分けが難しいかもしれません。
濁りのある時の確認方法としては、一定の速度で巻いてきたルアーに対して、ラインが急に張ったり、たるんだりと明らかな違和感があるかどうかを見ます。
トラウトがルアーを追っていないのであれば、低活性の可能性がありますので、ルアーを追いかけられるように巻き速度を遅くしてみましょう。
それでも追いかけてこない場合は、そのルアーではないと判断します。
スプーンであれば、重量を軽くします。
鱒玄人1.6gであれば1.2gに変えてみます。
ルアーを追うけど食わない
ルアーを追っているのに食わない時には、まず巻き速度を早くしてみます。
ルアーをローテーションする前にできることで対応します。
続いてレンジを変えて巻いても反応が変わらない時にルアーをローテーションしていきます。
追うけど食わない時は、小さく
もう少しで食いそうだという時には、シルエットを小さくしてみます。
重量は同じぐらいで、一口で食いつけそうなサイズにします。
サイズが小さくなることで、アピール度合いも小さくなってしまいますが、目の前を通せればトラウトにとって食いつきやすくなります。
追うけど食わない時は、弱く
シルエットを小さくしてもイマイチな時には、波動を小さくします。
動きの弱いルアーでアプローチしてみます。
ローリングというスプーン自体が回転するようなアクションではなく、ウォブリングというフックのついているお尻側を振るようなアクションのアピール度合いが弱いスプーンを使います。
それでも釣れない時
それでもトラウトが反応してくれない時には、また元に戻り、巻き速度を遅くしてみます。
ルアーローテーションのはじめに戻るようなイメージです。
ルアーごとにこの流れをまわしながら釣れるルアーを見つけていきます。
手っ取り早くローテーション
それ以外にルアーをローテーションさせるのであればカラーをローテーションしていくことになります。
カラーによるローテーションは目先を変える意味でも重要ではありますが、なかなか釣れ続きにくい可能性があります。
基本的には、派手な赤色や金色の色みから
地味なペレット色や茶色などに色を落としていくと良いでしょう。
レンジをを変える
ルアーを通すレンジを変えるだけで食ってくることも多いです。
スプーンであればキャストしてからのカウントダウンでレンジを変えてみるとよいでしょう。
・トラウトの上層
・トラウトの遊泳層
・トラウトの下
・ボトム
など、レンジを分けて考えます。
通すレンジによってルアーの見え方も異なるため、これだけで正解が見つかる可能性もあります。
アプローチを変える
釣りたいトラウトにどのようにアプローチするかも重要です。
・トラウトの前方を泳がせる
・後方を泳がせる
・斜め後ろ、斜め前からルアーを通す
・遠投する 又は 足元を通す
トラウトに対して様々な角度からアピールすることも重要です。
やっぱり釣れない
それでも釣れない時には思い切って場所を移動してみるのも手でしょう。
そこに魚がいなければ、ルアーローテーションは何の意味もありませんので、魚釣りでは見切りをつけることも大切です。
ただし他の人が同じ場所に入ったら釣れていたということもよくあることです。
そうならないためにもできる限りのアプローチをしてみてください。
【あとがき】
今回の記事を書き終えて、改めてエリアトラウトの奥深さと、その中でもルアーローテーションがもつ大きな可能性を強く実感しました。実際に書き進める中で、改めて「なぜ同じルアーでも釣れる人と釣れない人がいるのか」「どのような手順を踏めばトラウトにアプローチできるのか」という疑問と向き合い、自分なりに掘り下げられたことは大きな収穫でした。特に、ローテーション時の「巻き速度の調整」や「シルエットの変化」の重要性を強く意識していただけるよう、実体験を踏まえてまとめられた点は、本記事を執筆した意義のひとつと言えます。
そもそも私がエリアトラウトに熱中しはじめたのは、初めてイワナセンターを訪れたときのことでした。イワナセンターといえばイワナを中心に管理釣り場を展開しており、住んでいたところと近いエリアとあって、栃木や福島方面を釣り旅していると、しばしば目に留まる場所です。最初は「管理釣り場ってどんな感じだろう」という好奇心だけで足を運んだのですが、いざ池のそばに立ってスプーンを投げてみると、想像以上に奥深い世界が広がっていました。
特にエリアトラウトで痛感したのは、ルアー選びだけがすべてではないということです。もちろん、スプーンの重さや形状、カラーは大切ですが、それ以上に「魚の活性を見抜きながら適切にローテーションする」ことが重要だと実感したのです。実際、初めてイワナセンターに行った頃は、同じルアーを投げ続けているとなかなか反応が続きませんでした。最初こそ連続ヒットがあっても、急にピタッとアタリが止まることが多かったのです。そのときは「今日はもう魚がスレてしまったんだろうな」と安易に諦めていました。しかし、釣り場の常連さんや釣り仲間と話をしていると「スプーンのカラーを変えてみたら一気に釣れ出すことがあるよ」とか、「少し重さを変えてレンジを下げてみればまだまだいける」というアドバイスをもらい、次の釣行ではそれを試してみたところ、驚くほど釣果が伸びたのです。
その後、別の管理釣り場である白河フォレストでも、似たような経験をしました。白河フォレストの大きなポンドは水質が時期によってかなり変化します。ある日はクリアウォーターで、トラウトのチェイスが目視で確認できることもあれば、突然雨が降って濁ってしまい、魚がルアーを追いかけているかどうかがほとんど見えなくなることもあります。そんなときには、ラインテンションの微妙な変化を頼りにして「今、追っているかな?」「これはただの障害物か、それとも小さくアタリを入れたかな?」と判断を迫られます。最初は戸惑いましたが、こうした状況こそルアーローテーションの腕の見せどころだということに気がつきました。濁りが強いならアピールの強いカラーからスタートして、反応がなければ地味めのペレット系に落としていく……そんな試行錯誤が個人的にはゲーム感覚でとても楽しく、記事でも強調したい部分でした。
さらに朝霞ガーデンでも、私はトラウトのプロスタッフの方にお会いできる機会がありました。そこでは普段見られないようなマニアックな技術や新作ルアーについて直接話を聞くことができ、非常に刺激的な経験だったのを覚えています。プロスタッフの方曰く、「場所によって魚の付き場や活性はもちろん違うけど、その中でも“どうスプーンを動かすか”が釣果の大きなカギになる」という話がとても印象に残っています。一流の人ほどローテーションの手順が明確で、巻き速度を上げたり下げたり、カラーを変えるだけではなく、同じカラーでもスプーンの種類や動きを細かく変えて誘いをいれます。また、限界までローテーションしたら思い切って場所を移動する決断のタイミングも絶妙でした。こうしたエピソードが、今回の記事を書くうえで大きなヒントになっています。
私自身、このような背景を経て、記事では「ルアーの動きやサイズをどう切り替えるか」という手順を具体的に紹介しました。これは、何をどう変えれば魚が追い始めるのか、あるいは追っても口を使わないのかといった、釣りをしていて誰もが直面する壁に対して一つひとつ解決策を示したいと思ったからです。高速巻きや低速巻きでのアタリの違い、シルエットの大小による反応の差、さらにはアピールが強い動きから弱い動きへの切り替えなど、実際の釣り場で体得してきた経験を少しでも読者の方と共有できたらと思い、できる限り詳細に書かせていただきました。ルアーローテーションは、いわば状況に対する適応力を試される作業。そこにこそ面白さが詰まっているというのが、私の考えです。
また、記事中にも触れた「釣れないときは思い切って場所を移動する」という考え方ですが、これは私自身が何度も失敗を繰り返しながら学んだことでもあります。昔はひとつの場所にこだわりすぎて、いつまでも同じコースを同じルアーで投げ続けては撃沈していました。しかし周囲をよく観察してみると、同じ場所でも投げ方やルアーを変えれば突然アタリが出始める釣り人がいるわけです。その「変化を怖がらずに試す」ことこそが大切で、それはルアーローテーションにも直結する思考だと思います。
こうした実体験から学んだことを皆さんと共有できるのは、とても嬉しく、そして今後もさらに学びを深めたいというモチベーションにもつながります。エリアトラウトはシンプルなように見えて、実は魚種や釣り場の特徴によってアプローチが変化し、そこを自分で考えて組み立てるのが醍醐味です。今回の記事が、その楽しさや難しさ、やりがいを少しでも伝えられていたら幸いです。
最後に、この記事を読んでくださった皆さんには、「失敗を恐れずにどんどん試してみてほしい」という気持ちを強く伝えたいです。エリアトラウトは、初心者であってもルアーの動きを工夫してみるだけで劇的に釣果が変わるジャンル。そうした面白さをぜひ味わっていただき、新しいルアーや釣り方に挑戦するきっかけになれば最高です。もしこの記事が、みなさんのエリアトラウトライフをもっと充実させる一助になれば、これほど嬉しいことはありません。釣り場で会える日を楽しみにしています。そして皆さんのヒットシーンが、これからもたくさん生まれることを心から願っています