棒ウキは海上釣り堀やヘラブナ釣りのイメージがあるかもしれませんが、チヌのフカセ釣りでも使いやすいウキです。私もグレ釣りでは円錐ウキを使うことが多いですが、チヌは棒ウキで釣ったことの方が多いです。
堤防で最初の1本を選ぶなら、私はB〜3Bの自立タイプを候補にします。自立とは、ウキ本体にオモリが入っていて、仕掛けのオモリに頼らず立つタイプのこと。まず見やすいウキを選び、狙う水深や潮に合わせて号数を変えていくと、使い方をつかみやすいと思います。
ここでは、私が使っている黒魂BS自立、ベガスティック タフ、黒鳳STの3つを中心に、棒ウキのメリットと号数の選び方、現場での調整を見ていきましょう。

チヌ釣りで棒ウキを使うメリット
遠くのアタリを見やすい。ただし足元では円錐ウキが見やすいことも
棒ウキの良さは、水面から出たトップの動きを横から追いやすいところです。とくに足場の低い堤防や、少し沖へ投げて釣る場面では、色の付いたトップが沈む様子を見分けやすくなります。
低い釣り座から沖を流したとき、円錐ウキでは小波に隠れて見失っていたのに、棒ウキへ替えるとトップを追い続けられたことがありました。沈んだかどうかを探す時間が減るだけでも、私はずいぶん釣りやすく感じます。
ただし、高い堤防から真下を見下ろす場合は別です。棒ウキのトップを上から見る角度になるため、色の付いた長さを生かせません。足場が高くても沖を狙うなら棒ウキが見やすいことはあるので、足場の高さだけで決めず、ウキを見る角度と距離を合わせて考えます。
ポイント
足元を見下ろすなら円錐ウキ、沖のトップを横から追えるなら棒ウキを候補にする。
小さな沈み込みや、トップが浮く変化を追いやすい
トップの目盛りや色の境目を基準にできるので、棒ウキは小さな上下動を読み取りやすいです。スパッと消し込むアタリだけでなく、少し押さえ込まれる動きや、いつもよりトップが持ち上がる変化にも気付きやすくなります。
細いトップは、わずかに沈むときに増える浮力が小さく、小さな力による動きを表しやすい構造です。ただし、棒ウキなら何でも円錐ウキより高感度というわけではありません。トップの太さ、余っている浮力、道糸の張り方でも、アタリの出方は変わります。
また、上げアタリは魚の動きによってウキに掛かる荷重が軽くなったときに出るものです。底にオモリが触れたときにも似た動きをするので、トップが浮いたら必ずチヌ、と決めつけないようにしています。
私が見ているのは、仕掛けが落ち着いたときのトップの位置からどう変わったかです。波に合わせた上下動と違う動きが出たら、次の動きや回収した付けエサも合わせて判断します。
タナを決めて底付近を流す釣りと相性がよい
棒ウキの遊動仕掛けは、道糸をウキ本体に通さず、ウキスイベルなどの環を通して滑らせます。糸が通る部分の抵抗を抑えやすく、ウキ止めでタナを決めて釣るときにも扱いやすいです。
ただし、沈下の速さを決めるのはウキの形だけではありません。ガン玉の重さや位置、付けエサ、道糸の太さ、潮の流れにも左右されます。ウキだけ替えても軽い仕掛けが急に深場へ入るわけではないので、狙うタナへ入るオモリ負荷とセットで選びます。
自立ウキは着水すると先に立ちますが、その時点で付けエサまで狙いのタナに届いているとは限りません。トップが立った後も仕掛けが沈む時間を取り、なじんでからの動きを見るのが大事です。
チヌの棒ウキの号数と選び方
最初はB〜3Bを基準に、仕掛けが入るかを見る
私の場合、堤防や漁港のチヌ釣りではB〜3Bを基準にしています。潮が緩い浅場なら軽く、深場や仕掛けが流される場面では重くする、という考え方です。
水深と距離に対する私の目安は、次のようになります。これは決まった正解ではなく、風や潮が極端に強くないときの出発点として見てください。
棒ウキの号数
水深と距離で候補を絞り、狙うタナまで仕掛けが入るかで号数を決めます。
| 狙う距離 | 水深 | オモリ負荷の目安 |
|---|---|---|
| 10m以内 | 5m以内 | 0号〜G2 |
| 10m超〜20m以内 | 5m以内 | G2〜B |
| 20m以内 | 5m超〜10m以内 | B〜5B |
| 20m以内 | 10m超 | 5B〜1号 |
浅場の0号〜G2は、潮が緩く、軽い仕掛けを落ち着かせられるときの選択肢です。棒ウキを初めて使うなら、最初から軽さを詰めるより、B〜3Bで仕掛けの入り方を見る方が分かりやすいと思います。
一方で、深い場所でも潮が緩ければ軽い仕掛けで釣れますし、浅くても横風や上潮で仕掛けが浮くことがあります。水深だけで号数を固定しないのが、使いやすくするコツです。
号数はオモリ負荷。ウキ本体の重さとは分けて考える
Bや3B、1号などの表示は、基本的に仕掛け側に載せるオモリ負荷の目安です。ウキそのものが何gあるかを示す数字ではありません。
そのため、よく飛ぶ重い自立ウキでも、軽いオモリを使えるモデルがあります。遠投したいからという理由だけで号数を大きくするより、本体の自重や長さ、飛行姿勢と、必要なオモリ負荷を分けて選ぶと迷いにくくなります。
自立タイプでも、必要に応じてガン玉で浮力を調整します。ハリやサルカン、付けエサまで含めて浮き方が変わるので、表示と同じガン玉を付けたら完成、とは考えないようにしています。
なお、非自立タイプは仕掛け側のオモリでウキを立たせます。今回紹介する3つは自立タイプですが、買い足すときは商品名だけでなく、自立・非自立の違いも見ておきたいところです。
軽くする前に、道糸が仕掛けを引っ張っていないか確かめる
個人的には、軽さを優先して仕掛けが落ち着かないより、少し重めでウキから下の仕掛けを安定させた方が釣りやすいと感じます。
横風のある堤防で感じたこと
横風のある堤防でBの棒ウキを使ったとき、道糸が風下へ大きく膨らみ、トップも斜めに引かれてしまいました。最初はアタリなのかと思いましたが、糸ふけを直すと元の位置へ戻るので、風で引っ張っていると分かりました。
まず道糸を置き直し、それでも仕掛けがなじむ前に狙いの筋を外れるため、3Bのウキとそれに合うオモリへ変更しました。変更後は流す位置を合わせやすくなりましたが、すぐにチヌが釣れたわけではありません。それでも、落ち着いた状態でアタリを待てるようになったのは大きかったです。
反対に、仕掛けが十分になじみ、付けエサに反応があるのに掛からないときは、トップの出し過ぎ、タナ、ハリやエサの大きさを見直します。魚がウキの浮力を嫌っていると決めつけず、原因を一つずつ絞る方が、次の一手を決めやすいと思います。
私が使っているチヌの棒ウキおすすめ3選
3つともチヌ釣りに使いやすいですが、私の中では選ぶ理由が少し違います。普段の基準にするか、トップの見やすさを重視するか、沖へ届けたいかで選んでいます。
| 棒ウキ | 私が選ぶ場面 | 気を付けたいこと |
|---|---|---|
| 黒魂BS自立 | 太めのトップで小さな動きを追いたい | ガン玉を足し過ぎてトップを沈めない |
| ベガスティック タフ | 初めての釣り場で基準にする | S・Mは見える距離や波で選ぶ |
| 黒鳳ST | 沖へ投げてトップを見たい | 固定トップの接触・挟み込みを避ける |
キザクラ 黒魂BS自立|太めのトップで動きを追いやすい
黒魂BS自立は、低重心の自立タイプで、太めのトップを見ながら釣りたいときに使いやすい棒ウキです。内蔵オモリによる重さがあり、私には遠投するときも扱いやすく感じます。
全長は425mm、自重は約26g。ケミホタル37に対応しているので、夕方から暗くなる時間帯も続けて使えます。規格は0・B・2B・3B・0.5・1です。
私が気に入っているのは、細かな動きを見たいときに、トップの色の境目を目安にできるところです。穏やかな海では、赤や黄色の見える長さを確かめながら小さなガン玉で浮力を詰めています。
一度、もっと小さな変化を出そうとガン玉を足したところ、少し道糸が張るだけでトップが水中へ入ってしまいました。そのままではアタリと区別できないので、足したガン玉を外し、波が来ても追えるだけの長さを残しました。
トップを短く出せば必ず釣りやすくなる、というものでもありません。見続けられる範囲で浮力を調整する方が、私は使いやすいです。上げアタリを見るときも、普段のトップの位置が安定していることを先に確かめています。
ダイワ ベガスティック タフ|初めての釣り場で基準にする1本
ベガスティック タフは、私は初めて行く釣り場の第一投に使うことが多い棒ウキです。扱いにクセを感じにくく、潮の流れ方や仕掛けのなじみ具合を見る基準にしています。
コーティングを重ねたボディと極太のスイベルを採用し、トップの根元にはクッションゴムが付いています。持ち替えや仕掛け交換の多い堤防釣りでは、この扱いやすさがありがたいです。
SとMの2サイズがあり、どちらも浮力は0・B・2B・3B。小型で細身のSに対して、Mは少し長めのボディで、多少波があるときの見やすさも考えられています。号数だけでなく、見える距離に合うサイズを選べるのが便利です。
トップにはケミホタル25を装着でき、夜釣りにも使えます。発光体を付けたら重さが加わるので、暗くなる前に浮き方を見ておくと調整しやすいです。
反応があり、狙ったところを流せていれば、私は一日これだけで釣ることもあります。アタリがないだけですぐ大きなウキに替えるより、まずはタナと付けエサを確認します。届かない、見えないという不便が出たときに、遠投しやすい別のウキへ替える流れです。
釣研 黒鳳ST|沖へ投げたいとき。ただしトップの扱いに気を使う
遠投したい場合に私が使うのが、黒鳳STです。読み方は「こくほう」。太いパイプトップが見やすく、沖にあるウキの動きを追いたいときに出番があります。
私の使用感では、投げたときに姿勢がばらつきにくく、狙う方向へ運びやすいウキです。練りエサを使うときも選びますが、強く振り切ればいいというわけではありません。
沖へ届けようと力を入れ過ぎたときは、着水後すぐに回収すると練りエサが残っていませんでした。投げる途中で外れたのかもしれないと考え、竿に重さを乗せてゆっくり振り込み、着水前に糸の出を軽く押さえる投げ方へ変更。その後はエサが残る投入を確認してから、同じ投げ方で流すようにしました。
棒ウキだけ届いても、付けエサが途中で外れてしまっては釣りになりません。私には、飛距離と同じくらい、仕掛けを絡ませずに届けられることが大事です。
残念なところは、私が使っている黒鳳STのトップが固定式で、硬いところです。堤防へ当てたり、ケースのふたで挟んだりしないよう気を使います。投げるときは頼もしい反面、片付けでは少々気が張るウキだと感じます。
⚠ 注意
トップをつかんで無理に曲げず、ケースへ収めるときは先端を挟んでいないか確認してください。堤防へぶつけるような勢いで仕掛けを回収するのも避けたいところです。
棒ウキの仕掛けと浮力を現場で合わせるコツ
半遊動仕掛けで、まずタナと通常の浮き方を決める
底付近を狙うなら、私はウキ止めでタナを決める半遊動仕掛けを基本にします。ウキより上の道糸にウキ止めを付け、設定した位置まで道糸が滑る仕掛けです。
半遊動仕掛けの並び
竿側から、ウキ止め糸 → シモリ玉 → 棒ウキを付けた遊動式ウキスイベル → からまん棒などのストッパー → サルカン → ハリス → ハリ。ガン玉はウキの負荷に合わせて配置します。
ウキの下にはストッパーを入れ、投入時にハリがトップへ絡まない間隔を取ります。長いウキへ交換したときは、とくにこの間隔を見直します。
最初にタナ取りオモリで狙う場所の水深を測り、付けエサが底付近へ届く位置にウキ止めを合わせます。その後はタナ取りオモリを外し、実際のハリ、ガン玉、付けエサを付けて浮き方を確かめます。
浮力を合わせるときは、ハリやガン玉が底に着いていない状態を見るのがポイントです。底に支えられてトップが高く出ているのにガン玉を足すと、少し深い場所へ流した途端に沈んでしまうことがあります。
トップの出方はガン玉の重さ、沈み方は位置も使って調整する
トップが出過ぎるなら小さなガン玉を足し、波や道糸の張りで沈んでしまうなら減らします。表示浮力を手掛かりに、見たいトップの位置へ少しずつ合わせます。
ガン玉の重さを変えることと、同じガン玉の位置を変えることは別です。位置の変更はハリスの張りや付けエサの沈み方に影響しますが、同じ荷重なら、それだけで静止時のトップの出る量を大きく変えるものではありません。
私は一度にあれこれ動かすと違いが分からなくなるので、まずトップの見え方を合わせ、それから必要に応じてガン玉の位置を変えます。付けエサをオキアミから重い練りエサへ替えたときも、浮き方をもう一度見ておきます。
反応が分かりにくいときに見る順番
- 道糸:糸ふけや張り過ぎで、ウキを引っ張っていないか。
- タナ:狙う水深へ入っているか、底を引きずっていないか。
- 付けエサ:そのまま残るか、取られるか、ハリ先が隠れていないか。
- 浮力:トップを見続けられる範囲で、ガン玉を足し引きする。
ウキがふわっと浮いたり、小さく沈んで戻ったりする動きだけで、チヌの活性までは決められません。同じ場所で繰り返すなら底への接触を疑い、糸を直すと消えるなら道糸の影響を疑う。そうやって紛らわしい動きを減らすと、魚の反応を待ちやすくなります。
⚠ 注意
投入前は後方と周囲を確認し、人が近いときは投げないようにしてください。長い棒ウキとハリの付いた仕掛けを、勢いだけで振り回さないことが大切です。
まとめ
チヌの棒ウキ選びでは、まず狙う場所でトップが見えること、そのうえで仕掛けが狙いのタナへ入ることを優先しています。堤防ならB〜3Bを出発点にして、潮や風に合わせて調整すると考えやすいです。
私の場合はベガスティック タフを基準に、太めのトップを追いたいときは黒魂BS自立、沖へ投げたいときは黒鳳STを選びます。どれを使う場合も、最初の数投で普段のトップの位置を覚えておくと、小さな変化を見つける助けになります。
棒ウキがスパッと入る瞬間は、やはり気持ちのよいものです。その前の小さな動きも楽しみながら、次の釣行で使ってみてはいかがでしょうか。
チヌの棒ウキでは遠矢ウキもよく知られています。長い棒ウキの使い方や遠投については、こちらの記事でも紹介しています。
遠矢ウキのおすすめと超遠投のチヌやグレ釣り。棒ウキのメリットを紹介
あとがき・感想
私がチヌ釣りで棒ウキを本格的に使い始めたのは、冬場の堤防で友人から1本借りたことがきっかけでした。水深は5mくらいで、海面は静か。グレ釣りの延長で円錐ウキを使っていたものの、はっきりしたアタリがなく、どう変えればよいのか分からずにいました。
当時は、棒ウキと聞くと海上釣り堀やヘラブナ釣りを思い浮かべていました。チヌ用にもあるとは知っていましたが、自分の道具としてはあまり考えていなかったんですね。使い慣れた円錐ウキで釣りたい気持ちもあって、わざわざ長いウキへ替える必要があるのか、少し疑っていたと思います。
借りて浮かべてみると、まずトップの位置を覚えやすいことが意外でした。それまでは水面のどこにウキがあるかを探していたのに、棒ウキでは、見えている色がどこまで沈んだかに目が向きました。ウキを見るといっても、自分が見ているものは少し変わるのだと感じた場面です。
その日に釣れたのは30cmちょいのチヌでした。大きく消し込む前の、もぞもぞした小さな動きに合わせた1匹です。サイズ以上に、今まで見過ごしていたような動きで魚が掛かったことがうれしくて、棒ウキへの印象が変わりました。自分にもこんなアタリを拾えるのか、と少し得をしたような気分だったのを覚えています。
ただ、振り返ると、あの1匹で分かったつもりになるのは早かったとも思います。棒ウキに替えたことに加えて、その日は仕掛けを見直し、ガン玉の位置も動かしていました。どの変更がどれだけ効いたかを、きれいに切り分けられたわけではありません。あの日のうれしさと、道具の性能を比べる話は、分けて考えたいところです。
その後は小さな動きまで見えることが面白くなり、トップが少し動くたびに気を取られる時期もありました。風で道糸が引かれているだけなのに期待したり、底に触れているのを魚だと思ったり。見える情報が増えても、何が起こっているかを決めるのは自分なので、そこは道具任せにはできませんでした。
とくに気持ちが落ち着かなかったのは、エサが残る時間です。ウキが悪いのか、タナが違うのか、そもそも魚がいるのか。何も起きないと、せっかく選んだウキまで疑いたくなります。そこでウキもエサもガン玉も続けて替えてしまい、さっきと何が変わったのか、自分で分からなくなったこともありました。
初めての釣り場でベガスティック タフを使うことが多いのは、そうした迷いを少し減らしたいからでもあります。見慣れたウキなら、普段より落ち着かない、いつもよりトップが出る、といった違いから考え始められます。毎回違う道具を試す楽しさもありますが、私には比較の起点になる1本がある方が合っているようです。
一方で、黒鳳STを使う日は、沖へ届くことに気持ちが向きがちです。飛んだだけで満足してしまうところがあるので、付けエサが付いているか、仕掛けが絡んでいないかを、意識して確かめるようにしています。遠くのウキがよく見える分、その先にあるハリの状態を忘れないようにしたいと思っています。
友人に借りた1本がなければ、今もチヌ釣りでは円錐ウキばかり使っていたかもしれません。道具の選択肢が増えたこともうれしいですが、私は、ウキを見ながら考える時間が前より好きになったことの方が大きいです。次はあの小さな動きで合わせるのか、もう少し待つのか。今でも迷いますが、その迷いも含めて棒ウキの釣りを楽しんでいます。






