水面近くを泳ぐチヌを見つけると、釣り人であれば一度は釣ってみたいと感じるのではないでしょうか。
本記事では、初心者の方でも簡単に実践できる見えるチヌの釣り方とエサの選び方を、ご紹介します。
目次
見えるチヌとは?その特徴と魅力
「見えるチヌ」業界用語で見えチヌなどと言ったりしますが、これはクロダイ(チヌ)が水面近くで泳いでいる様子を目で確認できる状態のことを言います。
通常、チヌは底層に生息していますが、餌を探しているときや水温が高くなる季節には水面近くに上がってくることがあります。
見えるチヌ釣りの最大の魅力は、その視覚的な楽しさにあります。
魚影を目で追いながら釣りをするため、従来の釣りとは違った興奮が味わえます。
エサをどこに投入するか、どのように動かすか、チヌの反応を見ながら戦略を考えるのは狩猟本能をくすぐられます。
また、見えるチヌ釣りでは釣り方がハマってしまえば、短時間で多くの魚を釣れる可能性が高く、効率的に釣果を上げやすいのも特徴です。
あわない釣り方だと見向きもされないため、いかにチヌにあわせられるかが難しいところです。
見えるチヌのエサ選び
カニは見えるチヌ釣りの定番エサです。
釣り場に合わせて2cm〜4cm程度のサイズのカニが使いやすいでしょう。
カニは横刺しにすると、チヌに見切られにくく自然な動きを演出できます。
カニ以外にも、青虫やオキアミ、練り餌なども効果的です。
クロダイ(チヌ)が絶対釣れる餌5選。とにかくこれがあればいい。
種類は地域に応じて選び、例えばマメコブシガニやテナガエビなども使うことができます。
(全く話は変わりますが、カニって名称だと●●ガニ とガニになることをこの前知りました。)
話を戻すと、特に青虫は春から初夏にかけて有効ですし、オキアミは通年使える万能エサです。
見えるチヌ釣りに必要な道具
竿は、3.3m〜5.3mの竿がおすすめです。
見えているチヌの場合は少し距離をとって攻める必要があるため、やや長めの方がいいです。
硬さは中硬調〜硬調を選びましょう。これにより、カニなどの少し重いエサを遠投する際の操作性が向上します。
リールはスピニングでも太鼓でもいいですが、スピニングの方が扱いやすいかと思います。2000番ぐらいのリールを選びましょう。
ラインはナイロンラインの1.5~2号ぐらいがいいでしょう。
チヌは警戒心が強いため、できるだけ細いラインを使用しますが、強度も必要なのでこの範囲内で選びます。
見えるチヌの探し方
見えるチヌを探すのに適した場所は、河口付近や港の岸壁、石積み護岸などです。
チヌの好む環境には餌となる小魚や甲殻類が豊富にあります。
チヌを見つけるには、水面の動きや影、光の反射に注目し、水面に小さな波紋が広がる様子を探します。
また、偏光サングラスを使うと、水面の反射が抑えられ、魚影をより見やすくなります。
見えるチヌの釣り方
まず、チヌに接近する際は慎重に行動しましょう。
できるだけ低い姿勢でゆっくり近づき、周囲の環境に同化するように意識します。
エサの投入時は、チヌの後方からエサを投げ3mぐらい離れた前方に、自然に見えるよう水しぶきを立てないように投入しましょう。
エサを沈める際は、ラインを張らず緩めず、着底後にややテンションを加えてチヌの視界に入りやすい位置に調整します。
チヌがエサに気づかない場合は、エサを小刻みに動かし、自然な動きを演出します。
不自然な動きはチヌの警戒心を高めるため注意が必要です。むしろ動かさないほうがいい場合もあります。
春はアオサ周辺、夏は早朝や夕方に狙うなどがおすすめです。
ポイントは、エサをチヌに持っていくのではなく、チヌがエサに気づいて近づいてくるように仕向けることです。
チヌがエサに気づいたら、エサをあまり動かさず、むしろ気づかれないようにふるまうと自然に食ってくることが多いです。
チヌが釣れない理由
まず、チヌの特性を理解することから始めましょう。
チヌは非常に警戒心の強い魚であり、特に目視できる距離にいるチヌは、さらに慎重になっています。
水面のわずかな動きや、不自然な音に敏感に反応し、一瞬で姿を消してしまいます。
このため、釣り人の動作や仕掛けの操作には細心の注意が必要です。
例えば、竿を大きく動かしたり、岸辺で大きな音を立てたりすることは避けるべきでしょう。
チヌの習慣
チヌは主に海底付近のエサを食べる習性があります。
そのため、サシエ(餌)が海底から浮いてしまうと、チヌはそれを食べにくくなります。
潮の流れや風の影響で道糸が引っ張られ、仕掛け全体が浮いてしまうことがよくあります。
オモリの調整や、潮の流れを読む必要があります。
例えば、潮の流れが強い場合は、より重いオモリを使用したり、仕掛けを海底に這わせるように投げ入れるなどの工夫が効果的です。
チヌの活性
これ次第とも言えますが、チヌの活性も釣果を大きく左右する要因の一つです。
季節や時間帯によってチヌの活動レベルは変化します。
冬季は水温が低下するため、チヌの活動は鈍くなります。
一方、夏の夜や雨の日など、水温が高く気圧が低い時期は、チヌが活発に動き回る傾向があります。
また、潮の満ち引きのタイミングも重要で、満潮や干潮の前後がチヌの活動が活発化する時間帯といわれています。
半日でほんの30分ほどしか活性が上がるタイミングがないときもあります。
釣り人は、これらの条件を考慮して釣行のタイミングを選ぶことが大切です。
食わないならエサを撒く
チヌを釣るためには、エサを撒いて寄せてしまう手段もあります。フカセ釣りなどがそうです。
コマセと呼ばれる撒き餌を使用することで、チヌを釣り場に集めることができます。
コマセは通常、オキアミや配合餌を水で練って作りますが、その調合や撒き方にも技術が必要です。
例えば、潮の流れが強い場合は、コマセをより固めに練って徐々に溶けるようにしたり、逆に流れが弱い場合は柔らかめに調整して広範囲に拡散させるなどの工夫が効果的です。
結局場所
チヌの居場所を探ることも重要です。
チヌは水深や潮の流れによって移動するため、常に同じ場所にいるわけではありません。
岸壁やテトラポッドなどの構造物の周辺、特にその影になる部分や隙間には、チヌが潜んでいることが多いです。
釣り人は、これらの場所を丹念に探りながら、見えている活性の高いチヌの居場所を特定する必要があります。
ルアーで狙う場合
ルアー釣りの場合、ルアーの選択と使い方も重要な要素となります。
チヌは餌の動きに敏感に反応するため、ルアーの種類、色、サイズ、そして動かし方を状況に応じて変えることが効果的です。
例えば、濁った水では明るい色のルアーを、クリアな水では自然な色合いのルアーを選ぶなど、環境に合わせた選択が重要です。
また、ルアーの動きも、ゆっくりと底を這わせるようなアクションから、時折ジャークを入れて不規則に動かすなど、様々な動きを試してみることが大切です。
おすすめはパワークラブです。ハードルアーではないため、波動も弱く、チヌが食いついてすぐに吐き出さないため初心者でも扱いやすいワームです。
見えているチヌの特性
最後に、見えているチヌの特性について触れておきましょう。
目視できるチヌは、特に警戒心が強く、通常のルアーや餌に反応しにくい傾向があります。
これらのチヌは、水面に浮かぶ藻やゴミなど、非常に小さな自然の餌を食べていることが多いため、通常のルアーや仕掛けでは釣るのが難しいのです。
このような状況では、極細の仕掛けや、自然の餌に近い小さなルアーを使用するなど、より繊細なアプローチが必要となります。
これらの要因を総合的に考慮し、適切な対策を講じることで、見えるチヌを釣る確率を高めることができます。
チヌ釣りは、魚の習性を理解し、環境を読み、適切な技術を駆使する必要がある奥深い釣りです。
失敗を恐れず、様々な方法を試してみることが、最終的には成功への近道となるでしょう。
粘り強く挑戦を続け、チヌとの知恵比べを楽しんでください。
魚に見えないピンクフロロを使ったインプレ。【実釣レビュー】おすすめできない?
あとがき・感想
今回の記事は、“見えるチヌ”に焦点を当てた非常に興味深い内容でした。私も大学時代に海洋生物の行動観察をかねて、何度かシュノーケリングをしながら“水面近くをふわふわ泳ぐチヌ”を目視で確認したことがあります。たしかに通常の底層狙いとはまったく違う発見があり、「あれが釣れたら面白いだろうな」と自然と胸が高鳴ったのを思い出しました。
とはいえ、見えているチヌは本当に警戒心が強いですよね。ちょっとした物音や光の反射、仕掛けの不自然な動きだけで「スッ」と姿を消してしまうことも珍しくありません。よく考えてみると、私が大学の研究室でエサの成分分析や魚の嗅覚・視覚の実験を行っていたときも、「魚はかなり繊細で、わずかな異変を敏感に察知する」というデータが頻繁に得られました。まさにその理系的視点を釣りに置き換えると、仕掛けやエサ選び、アクションの一つひとつが大きな分かれ道になりそうです。
この記事で紹介されていたカニエサの横刺しや、偏光サングラスを活用した魚影の探し方は、私自身も「これは試さずにはいられない!」と感じるテクニックばかりでした。特に、カニや青虫といったエサは、チヌの捕食行動を間近で観察しながら使うと「食べる瞬間が見える」という醍醐味がありますよね。私も過去に、港の岸壁でカニを投げ込んだら、2~3匹のチヌが小競り合いをしながらカニを争っている様子がはっきり見えたことがあり、そのときは思わず息を飲みました。その光景は、本当に“狩猟本能をくすぐられる”瞬間でした。
また、“見えるチヌ”に対しては、アクションや仕掛け選びを誤ると全く口を使ってくれないという点が、逆に釣り人の闘志を駆り立てるのではないでしょうか。私の場合、INTP-A気質が災い(?)してしまい、「どうしたらこの状況を打開できるのか」と延々と理詰めで考え込むこともしょっちゅうです。しかし、現場では想定外の要素が次々と出てきますから、結局は“まずやってみる”という行動力が大切だというのも痛感します。たとえば潮の流れを読み切るために少し重めのオモリを使ったり、ルアーの色合いを半透明にしたりと、試行錯誤の時間そのものが釣りの楽しさですよね。
個人的な経験では、家族サービスの合間に「ちょっとだけ見えチヌ狙いを…」と思って近所の堤防へ出向いたことがありました。水面にチヌの背ビレがのぞいた瞬間、「よし、これなら簡単に釣れるかもしれない」と内心ウキウキしたのですが、結局は私の動きに気づいたのか、あっという間に深場へ消えてしまい完敗。途中からは子どもたちが「パパ、釣れないの?」と冷やかしに来て、全然集中できなくなった思い出もあります(笑)。こうした失敗を積み重ねるたびに、「やはり気配を消すためには姿勢を低く、最初のアプローチが肝心」と痛感させられました。
記事内でも強調されていたように、最終的には「結局は場所とタイミング」という要素も見逃せませんね。特に見えるチヌは、急に姿を消したと思ったら、潮の流れや時間帯で別の場所に回遊していることもしばしば。偏光グラスや太陽の位置を意識しながら、じっくりと周囲を観察する能力は、経験を積むほど確実に向上すると思います。釣り具店やメーカーで働いていた頃に、ベテランのお客さまや先輩から「光の角度や海底の起伏を読むのが一番大切」と口酸っぱく言われた意味が、改めて腑に落ちました。
また、この記事を読んで「フカセ釣りでの撒きエサも併用したら、もっとアプローチの幅が広がるかも」と思いました。たとえば海面近くに浮いたチヌを狙いつつ、コマセで下層のチヌも引き寄せておけば、もし浅い層のチヌが釣れなくても底にいる個体を狙えるかもしれません。こういう柔軟な発想ができるのも、見えるチヌ釣りの面白さですよね。
最後になりますが、何より大切なのは“安全第一”の姿勢です。見えるチヌを追いかけて岸壁の先端まで移動したり、テトラポッドの上で体勢を崩してしまったりすると、事故のリスクが高まります。特に夏場は子ども連れで水辺へ行くことも多いと思いますので、ライフジャケットや滑りにくいシューズの着用など、万全の対策をぜひ心がけたいところです。
この記事が、見えるチヌをこれから狙ってみたい方や、過去に苦い思いをした方にとって、新たな試行錯誤のヒントになれば嬉しいですね。私自身も、「あそこにチヌがいる!」と目視したときのドキドキ感が大好きなので、いつかまた家族を連れて見えチヌに挑戦してみようと思います。今度こそ子どもたちの前でカッコいいところを見せられるといいのですが…(笑)。
何はともあれ、皆さんにもぜひこの“スリリングで奥深い見えチヌ釣り”に挑戦していただきたいです。うまくいかないときほど、データ分析や理論立てが得意な方も、感性派の方も、きっと何か新しい発見があるはず。次回の釣行で皆さんが素晴らしいチヌとの出会いを果たせるよう、心から応援しています。安全に気をつけつつ、ぜひ楽しんでくださいね。