海釣りに欠かせないアイテムの1つがウキです。ウキの性能によって釣果が大きく左右されるため、良質なウキを選ぶことが重要です。
日本には多くのウキメーカーがありますが、その中でも特に人気が高いメーカーを個人的ランキング形式でご紹介します。
各メーカーの特徴や代表的な製品もあわせて解説するので、ウキ選びの参考にしてください。
人気ウキメーカーのランキング
さっそく見ていきましょう。
1位:キザクラ
キザクラは、1976年に創業した佐賀県伊万里市に本社を置く釣り具メーカーで、特にウキの製造で高い評価を得ています。
キザクラの特徴は、樹脂成形技術を活かした高品質なウキの製造にあります。
キザクラのウキは、主に海釣り用のフカセウキを中心に展開しています。
代表的な製品ラインには、全層釣法に特化した水平ウキ「GTR」シリーズや「ZENSOH」シリーズ、円錐ウキの「パンサー」シリーズ、棒ウキの「黒魂」シリーズなどがあります。
全層釣法用の水平ウキは、キザクラの代名詞とも言える製品です。
全層釣法とは、ウキ止めを付けない軽い仕掛けを、マキエと同調させながら魚の口元へ届ける釣法で、キザクラはこの釣法に適したウキの開発に力を入れています。
例えば、「17'GTR」は、糸抜けや潮受けが向上しており、よりオートマチックな釣りが可能になっています。
円錐ウキの「パンサー」シリーズは、全層・半遊動ともに対応できる万能ウキです。
最大の特徴はウキ止めがボディ下部で止まる、アンダーキャッチリング。中重心に設計されたウエイトバランスと相まって、ウキが傾くことでアタリを鮮明に伝えます。
即アワセが求められる尾長釣りに最適とされています。
棒ウキの「黒魂」シリーズは、感度の高さが魅力です。
堤防での使用が一般的ですが、キザクラでは磯や海上釣り堀に対応するウキもラインナップしています。
例えば、「黒魂BS自立」は湾内でのチヌ釣りに最適な棒ウキで、自立式のため遠投性能が高く安定感も抜群です。
キザクラのウキが人気である理由の一つは、その品質の安定性にあります。キザクラは天然素材ではなく、常に安定した品質が確保できる樹脂素材を積極的に採用しています。
これにより、いつでもどこでも同じウキが手に入ることが保証されています。
また、キザクラは釣り人の声を積極的に製品開発に取り入れています。例えば、「ZENSOH Let's」は、安定感が高く横ぶれを抑えた形状で、ラインの入水角度を適正にキープします。これは、実際の釣り人からのフィードバックを基に開発された特徴です。
価格帯は、一般的なウキと比べてやや高めですが、その性能と耐久性を考えると、多くの釣り人にとって十分な価値があると評価されています。
例えば、「17'GTR」シリーズは1,000円台後半から2,000円台前半で販売されています。
初心者にとっても、キザクラのウキは使いやすいと評価されています。
特に、全層釣法用のウキは、ウキ止めやシモリ玉などの道具が不要で仕掛けが簡単なため、初心者でも扱いやすいとされています。
また、キザクラのウキは感度が高いため、魚のアタリを見逃しにくく、初心者でも釣果を上げやすいという特徴があります。
キザクラは常に新しい技術や製品の開発に取り組んでおり、2022年には「ZENSOH22Let's」を発表しました。このウキは、従来の「Let's」シリーズをさらに改良し、使いやすさと性能を向上させています。
このように、キザクラは高品質で使いやすいウキを提供し続けることで、多くの釣り人から支持を得ています。
初心者から上級者まで、幅広い釣り人のニーズに応える製品ラインナップを展開しているのが、キザクラの大きな強みと言えるでしょう。
2位:デュエル
デュエルは、日本の釣り具メーカーであるヨーズリの主要ブランドの一つとして知られています。
特に平和さんのウキ製品において高い評価を得ており、フカセ釣りを中心の製品を展開しています。
円錐ウキの「TGピースマスター」シリーズは、遠投性能と感度のバランスに優れています。
特に「TGピースマスター遠投」モデルは、その名の通り遠投性能に特化しており、沖のポイントを狙う際に威力を発揮します。
このウキは、独自のアンダーストッパーシステムを採用しており、ウキ止めが下部で止まる構造になっています。
これにより、アタリのブレを抑え、魚の喰い込みを促進する効果があります。
一方、「TGウェーブマスター」シリーズは、波止釣りからトーナメントまで幅広く対応できる汎用性の高いウキです。形状、操作性、カラーなど、あらゆる面でバランスの取れた設計となっており、初心者から上級者まで使いやすいモデルとして評価されています。
デュエルのウキは、フカセ釣りを中心に、チヌ(クロダイ)、グレ(メジナ)、マダイなどの磯魚を狙うのに適しています。
特に「TGピースマスター」シリーズは、潮の流れの速い場所でも安定して使用できるため、磯釣りで重宝されています。
デュエルのウキが人気を集めている理由の一つは、その高い品質と信頼性です。
特に、ハードコート加工を施した製品が多く、衝撃からウキを保護し、長期間使用できる耐久性の高さが評価されています。
また、SiCリングを採用している製品も多く、ラインの滑りが良く、キャスティング時の飛距離向上にも貢献しています。
他メーカーとの差別化ポイントとしては、平和卓也氏をはじめとする著名な釣り師との共同開発が挙げられます。
実際のフィールドでの使用経験に基づいた改良が加えられており、実践的な性能を重視した製品開発が行われています。
ユーザーからの評価は概ね高く、特に「TGピースマスター」シリーズは、その遠投性能と安定性が高く評価されています。一方で、価格が他社製品と比べてやや高めであることが指摘されることもありますが、その性能と耐久性を考慮すると、多くのユーザーがコストパフォーマンスは十分であると感じているようです。
デュエルのウキの価格帯は、モデルによって異なりますが、概ね800円から2,000円程度です。「TGウェーブマスター」シリーズは800円前後とリーズナブルな価格設定で、初心者にも手に取りやすい価格となっています。一方、「TGピースマスター」シリーズは1,500円前後とやや高めですが、その性能の高さから多くのユーザーに支持されています。
初心者へのおすすめポイントとしては、「TGウェーブマスター」シリーズが挙げられます。
このシリーズは、操作性が良く、視認性も高いため、ウキ釣りを始めたばかりの方でも扱いやすいモデルとなっています。
また、価格も手頃なため、初めてのウキ購入にも適しています。
詳しくは以下の記事もご参照ください
デュエル TGウェーブマスターが使えるウキ!フカセ釣りのおすすめウキ
総じて、デュエルのウキ製品は高品質で信頼性が高く、幅広い釣りのシーンに対応できる製品ラインナップを持っています。
3位:シマノ
シマノは、高品質な釣り具を製造する世界的に有名なメーカーで、ウキ製品においても幅広いラインナップを展開しています。
円錐ウキでは「ファイアブラッド ゼロピット」シリーズが人気です。
「ファイアブラッド ゼロピット」シリーズは、ラインを切ることなくウキの交換が可能な画期的なモデルです。
フカセ釣りのように、環境や条件の変化に即座に対応したい場合に、仕掛けはそのままでウキを取り替えられる点が大きな魅力となっています。
M・Lのサイズと00から5B号までのラインナップが充実しており、遠投したい場合にはLサイズ、ウキごと沈めて水深を稼ぐ全層沈め釣りには00を装着するなど、幅広い攻め方に対応できます。
シマノのウキが人気である理由の一つは、その高い品質と信頼性です。特に、ハードコート加工を施した製品が多く、衝撃からウキを保護し、長期間使用できる耐久性の高さが評価されていま
4位:ダイワ
ダイワは日本を代表する釣り具メーカーの一つで、幅広い釣り具製造のひとつにウキもあります。
ダイワのウキの特徴として、高い品質と信頼性が挙げられます。
特に、ダイワの棒ウキは感度が高く、微妙なアタリも逃さない設計になっています。
例えば、「ベガスティック」シリーズは、その優れた感度と視認性で多くの釣り人に支持されています。
このウキは、水面から出ている部分が長いため、波の荒い日でも遠くからアタリを確認しやすいという特徴があります。
ユーザーからの評価を見ると、ダイワのウキの耐久性と使いやすさが高く評価されています。
特に、「ベガスティック」シリーズは、その堅牢な構造と優れた感度で、多くのユーザーから好評を得ています。一方で、一部のユーザーからは、高価格帯の製品が多いという指摘もあります。
価格帯に関しては、ダイワのウキは比較的高めの設定になっています。例えば、「ベガスティック」シリーズは1本あたり1,000円から3,000円程度、しかし、その品質と耐久性を考慮すると、多くのユーザーはコストパフォーマンスが良いと評価しています。
総じて、ダイワのウキは基本性能が高く、耐久性がいいので、長く安心して使うことができるかと思います。もう少し様々な場面で対応できる種類があればうれしいですね。
5位:釣研
釣研(つりけん)は、1969年に創業した福岡県に本社を置く釣り具メーカーで、バッカンやバッグなどはパクリが多いですが、ウキ製品は高い評価を得ています。
釣研のウキは、その精密な浮力設定と高品質な製造技術が見て取れます。
釣研が製造しているウキの種類は多岐にわたり、主に円錐ウキ、棒ウキ、電気ウキなどがあります。
円錐ウキの代表的なシリーズには「エイジアマスターピース」や「ゼクトα」があり、これらは主にフカセ釣りで使用されます。
棒ウキでは「T-LANCER」シリーズが人気で、感度の高さが特徴です。電気ウキでは「LFスマート」が夜釣りなどで重宝されています。
釣研のウキの特徴として、最も注目すべきは「SSA(Super Sensitive Adjustment)」と呼ばれる浮力基準です。
これは100分の1グラム単位で浮力をコントロールする技術で、極めて精密な浮力設定を可能にしています。この技術により、微妙なアタリも逃さず捉えることができ、特にフカセ釣りなどの繊細な釣りで威力を発揮します。
釣研のウキは主にフカセ釣りに適しており、チヌ(クロダイ)やグレ(メジナ)などの磯魚を狙うのに適しています。
「エイジアマスターピース」シリーズは、特に西日本のグレ釣りで高い人気を誇っています。2017年に開催されたビッグトーナメントでは、入賞者の多くがこのシリーズを使用していたことが報告されています。
また、「大征黒」シリーズは、チヌ釣りに特化したウキで、遠投性能と視認性の高さが特徴です。
このウキは、堤防や磯からの釣りに適しており、中~遠距離を手返しよく釣ることができます。
釣研のウキが人気である理由の一つは、前述のSSA技術が挙げられます。この精密な浮力設定技術は、釣研の独自技術であり、他社製品との大きな違いとなっています。
一方で、価格が他社製品と比べてやや高めであるのは事実です。
初心者へのおすすめポイントとしては、「ネオセレクト」シリーズが挙げられます。このシリーズは、操作性が良く、視認性も高いため、ウキ釣りを始めたばかりの方でも扱いやすいモデルとなっています。また、価格も手頃なため、初めてのウキ購入にも適しています。
総じてウキは素晴らしいものが多いだけに、メーカーとして他社をまねたようなバッグ用品などを出さなければいいのになと感じます。
その他のメーカー
上記以外にも、AURAや工房大知、遠矢ウキなど、優れたウキを製造しているメーカーは数多くあります。AURAはコストパフォーマンスの高さで人気を集めており、初心者にもおすすめです。
おすすめのウキの選び方
ウキ選びで重要なのは、釣るターゲットや釣り方に合ったものを選ぶことです。
ウキの性能だけでなく、視認性や使い勝手なども考慮しましょう。
初心者は使いやすさを重視し、上級者は繊細なアタリへの反応を求めるなど、自分のスキルレベルに合ったものを選ぶのがポイントです。
耐久性も大切な要素の1つです。ウキは消耗品でもあるので、壊れにくく長く使えるものを選びましょう。
まとめ
日本には優れたウキを製造するメーカーが数多くあります。
キザクラ、ダイワ、デュエル、釣研、シマノなどが特に人気で、それぞれ特徴のあるウキを提供しています。
ウキ選びの際は、釣りのスタイルやターゲットに合ったものを選ぶことが大切です。視認性、感度、耐久性なども考慮しながら、自分に合ったウキを見つけてください。
【あとがき】
今回の記事を書き終え、改めて「ウキ」というアイテムの奥深さと、釣り全体に与える影響の大きさを強く感じました。書き進めながら、自分自身もこれまでの釣行体験を振り返り、ウキ選び一つで釣果が変わる事実を再確認できたのは大きな収穫です。特に全層釣法をはじめとするフカセ釣りは、ウキの特性をどれだけ活かせるかがポイントになると改めて痛感しました。今回取り上げた各メーカーの技術や思想を見直すことで、今後もさまざまな角度からウキを使いこなしていきたいと思います。
さて、この記事を執筆する背景には、私自身の釣行体験や、周囲の釣り仲間との意見交換が大きく関係しています。実はこの記事を書こうと思い立ったきっかけは、私が以前参加した地磯でのフカセ釣りの際に「どうしてこんなにもウキによって感触が違うのか?」と強く疑問を抱いたことでした。そこで釣行後、MFG(マルキュー・ファングループ)に所属する友人や、がまかつのファンクラブに属する友人、そしてジャパンカップトーナメンターとして活躍している磯釣り好きの仲間たち総勢8名に声をかけ、みんなが普段愛用しているウキとその良し悪しについてじっくり話し合う機会を作ったんです。というのも、釣りの情報やギアに関してはどうしても個人の好みやスタイルに大きく左右されますし、たとえば「感度の良さを優先する人」と「遠投性能を最重視する人」では評価基準も変わってきます。そこでまずは、いくつかの観点——たとえば「遠投性能」「安定感」「感度」「耐久性」「価格帯」「ブランドの信頼度」など——をリストアップし、それぞれ10点満点で評価してもらいました。
この作業は思った以上に盛り上がりました。私自身はフカセ釣りでもグレ狙いが好きで、特にキザクラの全層釣法用ウキを好んで使うことが多いのですが、磯グレ釣りに熱中する友人は「感度とライン馴染みが一番大切」と主張してデュエル派を強く推していました。一方で、チヌ釣りのトーナメントに参戦している別の仲間は、強風の状況でもブレずに投げられるダイワの棒ウキを高く評価していたり、がまかつファンクラブに属する友人は「がまかつ製の hooks(針)の相性がいい」と雑談交じりに力説していたり……。いずれにしても、単なる「みんなが知っている人気メーカー」以上に、実戦でのリアルな使用感や成功体験・失敗体験に基づいた意見が次々飛び出してきたのは非常に面白かったですね。互いに「ここのウキはいいけど値段が張る」「こっちは初心者におすすめしやすい」など、忌憚なくコメントし合うことで、私自身も記事をより客観的にまとめるヒントを得ることができました。
さらに執筆の過程では、昔の釣行をいくつも思い出しました。特に印象的だったのは、波止場でウキを変えた途端に大物チヌがヒットしたエピソードです。あのときは棒ウキから円錐ウキに変えるかどうか迷っていたのですが、同行していた釣り仲間から「今日は潮が速いから、もう少し流れに乗せやすいウキに替えたほうがいいよ」とアドバイスを受け、思い切ってキザクラの円錐ウキに切り替えました。すると仕掛けの沈み込みが安定し、マキエとの同調がスムーズに決まっていたのか、すぐにチヌがヒットしたんですよね。あのときの衝撃は今でも脳裏に焼き付いています。あまりにも嬉しくて、同じような局面に出くわしたら「迷ったらウキを換える」というのを実践するようになりました。これもまた、ウキが釣果を左右する代表的な例ではないでしょうか。
また、タックルショップの店員さんや、釣りメーカーのプロスタッフさんとのやり取りも、今回の記事をまとめるうえで重要な手がかりになりました。地域密着型の釣具店では、地元の海況やシーズンごとの魚の動向をよく知っているスタッフが多いですから、「この場所だとデュエルの遠投モデルが使いやすいですよ」「磯場ならシマノのゼロピットはすぐウキ交換できて便利です」など、それぞれのメーカーが強みを活かせるシチュエーションを事細かに教えてくれたんです。こういった生の声は、カタログやウェブ上の情報だけでは補いきれない貴重な財産です。今回の記事をまとめる際にも、私自身がそうした情報をどう咀嚼し、自分の経験と照らし合わせるかを丁寧に意識しました。
この記事のランキング形式は、一見すると主観的な評価に偏りがちですが、前述したように私を含めた8名の釣り好きがあれこれ議論しながら評価した結果をベースにしています。そのため「ウキの性能」「価格」「汎用性」「耐久性」など、複数の角度から点数をつけ、総合的に判断しやすい形になるように配慮しました。ただし最終的には私自身の視点も加味しているので、あくまで参考程度として読んでいただけると嬉しいです。各メーカーのウキには、それぞれの釣り方や対象魚に応じた得意分野がありますから、読者の皆さんにもぜひ「自分が釣りをする環境」でどんなウキが合うのかを考えていただければと思います。
こうして振り返ってみると、ウキという道具はまさに釣りそのものを象徴しているように思います。大きさや形状、浮力の微妙な違いがもたらす釣果の差は、まさしく釣りの醍醐味そのもの。だからこそ各社メーカーがこぞって技術開発に力を注ぎ、最新モデルを発表し続けているのだと感じました。キザクラの全層釣法向けウキや、デュエルの遠投モデル、シマノのゼロピット機能など、それぞれのブランドが独自の技術で釣り人のニーズを満たそうとしている点は本当に興味深いです。
もちろん今回取り上げなかったAURAや工房大知、遠矢ウキなども含め、まだまだ魅力的なウキメーカーがたくさんあります。ひとくちに「海釣り用のウキ」と言っても、各社が狙うターゲットや釣法の違いによって強みが異なりますし、自分のスタイルに合うウキを探す旅は終わりがありません。そうした奥深い世界を少しでも多くの人に知ってもらいたい、それが今回の記事を書いた大きな理由でもあります。釣り場での一瞬一瞬のアタリを感じられる喜び、そして道具を使いこなす楽しさ――それらがこの記事を通して少しでも伝われば幸いです。
最後になりますが、この記事が皆さんのウキ選びの一助となり、また新たな釣行での発見や、釣り仲間との会話のきっかけになることを心から願っています。
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