深場のフカセ釣りは、浅場の延長で考えると一気に難しくなります。水深20mを超えるポイントでは、いつもの軽い仕掛けでは狙いのタナまで届かず、コマセとツケエサもずれやすく、アタリもぼやけます。
ただ、結論から言えば、水深20m以上でもフカセ釣りは十分に成立します。むしろ深ダナを攻略できるようになると、マダイ、チヌ、イサキ、グレ、青物、ヒラメ系の外道まで、浅場では出会いにくい魚が射程に入ってきます。
この記事では、私自身が深場で苦戦した経験も交えながら、深場フカセで大事になる「仕掛けを沈める」「コマセと同調させる」「底を取り切る」という3つの考え方を整理します。
水深20m超えのフカセ釣りで最初にぶつかる壁
浅場の磯フカセに慣れている人ほど、深場では最初に戸惑います。理由は単純で、今まで通用していた軽い仕掛けや撒き方が、そのままでは効きにくいからです。
| 起きやすい問題 | 現場での症状 | 修正の方向 |
|---|---|---|
| 仕掛けが沈まない | 途中で潮に取られ、狙いのタナに届く前に流される | ウキ浮力とガン玉を上げ、落とす力を作る |
| コマセとズレる | ツケエサだけ違う筋を流れ、魚が食う場所に入らない | コマセを重めにし、潮上から合わせる |
| アタリが分かりにくい | ウキやラインに小さな変化しか出ない | ラインテンションを管理し、指先でも変化を見る |
深場フカセで最初に意識したいのは、「きれいに流す」より先に「まず狙いの層まで届ける」ことです。ここを外すと、どれだけ良いエサを使っても、魚のいるレンジに届かないまま時間だけが過ぎてしまいます。
仕掛けは「沈める力」を先に作る
私が水深20m以上のポイントで初めて本格的にフカセをしたとき、いちばん苦戦したのは仕掛けの沈みでした。浅場の感覚でG5やG3を少し打つ程度では、仕掛けが底に入る前に横へ引かれ、ツケエサがどこを通っているのか分からなくなったのです。
そこで意識を変えました。深場では、軽さにこだわりすぎるより、一度きちんと深ダナまで入れてから釣りを組み立てる方が結果につながりやすいです。
道糸はPEを使うと深場を探りやすい
深場で有利に感じるのは、道糸をPEにしたときです。ナイロンよりも潮の抵抗を受けにくく、ラインの変化も手元に伝わりやすいので、仕掛けを送り込む釣りと相性が良いです。
高比重PEを使うなら、シマノのPEG5のようなタイプは候補になります。価格は少し高めですが、深場で仕掛けをなじませたい釣りでは、道糸の差がそのまま操作感に出ることがあります。
ウキは半遊動か全遊動で深いタナを探る
水深がある場所では、ウキ止めを高めに取った半遊動、またはウキ止めを使わない全遊動が使いやすくなります。特に全遊動は仕掛けを自然に落とし込みやすく、潮の筋を見ながら深い層へ送り込めます。
ただし、全遊動は「放っておけば釣れる」仕掛けではありません。ラインを出しすぎるとアタリがぼやけ、張りすぎると仕掛けが浮きます。道糸を人差し指で触りながら、軽く張ったり抜いたりして沈下を確認するのが実戦的です。
ウキ浮力とガン玉は大胆に上げてよい
深場でよくある失敗は、「フカセだから軽くしなければ」と考えすぎることです。潮が速い日や二枚潮の日は、BやG3だけでは足りない場面もあります。1号前後のオモリや、B〜2Bクラスのガン玉を段打ちするくらいで、ようやく狙いのタナへ入る日もあります。
以前、通っていた釣り場の船長から「この潮なら、BやG5では流される。1号オモリくらいを怖がらず使った方がいい」と言われたことがあります。試してみると、今まで表層をさまよっていた仕掛けが一気に安定し、底付近で出る小さなアタリも拾いやすくなりました。
コマセとツケエサは「同じ深さ」に届ける
深場フカセのもう一つの肝は、コマセとツケエサの同調です。浅場では多少ずれても魚が浮いてくることがありますが、20m以上の深場では、コマセだけ流れたり、ツケエサだけ沈んだりすると一気に釣りがぼやけます。
深場では比重のあるコマセが使いやすい
水深がある場所では、軽い配合エサだけで広く撒くより、比重のあるエサで狙いの層まで届ける考え方が大切です。オキアミに遠投用や深場向けの配合エサを混ぜ、ややまとまりを持たせると、コマセが底付近まで届きやすくなります。
特に潮が速い日には、コマセをドカ撒きするより、潮上に絞って打つ方が効果的です。仕掛けがなじむ場所をイメージし、その上流側にコマセを入れて、ツケエサが同じ筋へ入るように調整します。
チヌパワー激重のような高比重エサを使う
深場や潮流の強いエリアでは、「チヌパワー激重」のような高比重の配合エサが役立ちます。チヌ用の印象が強いですが、目的は魚種名ではなく、オキアミを深いレンジまで届けることです。マダイ、グレ、イサキ狙いでも、底付近にエサを効かせたい場面では使えます。
配合エサの考え方は、マルキユーのインストラクターから聞いた話でも印象に残っています。深場では「魚を寄せる」だけでなく、「狙った層にエサを残す」意識が必要で、潮が速いほど比重とまとまりが釣果に直結します。
使い方の目安としては、単体で硬めに仕上げる、またはオキアミ3kgに対して比重のある配合エサを足し、潮の速さに合わせて水分を調整します。ベタベタに柔らかくしすぎると途中で散りやすいので、深場では少しまとまりを残す方が扱いやすいです。
詳しい配合例は、こちらの記事でも紹介しています。
チヌパワー激重の使い方とブレンド紹介。集魚剤最強の重さでポイントが作れる
仕掛け投入とコマセ投入のタイミング
私が深場でよく使うのは、先に仕掛けを入れて沈み始めたところへ、少し遅れてコマセを打つ方法です。潮が素直な日は、仕掛け投入から数秒後に潮上へコマセを入れると、沈んでいく途中でツケエサとコマセが重なりやすくなります。
反対に、潮が複雑なときは先にコマセを打ち、その流れ方を見てから仕掛けを入れることもあります。どちらが正解というより、その日にコントロールしやすい方を基準にするのが深場では大事です。
深場フカセで狙える魚
深場フカセの魅力は、狙える魚種の広さにあります。浅場では警戒して出にくい魚も、深いレンジでは口を使うことがあります。ここでは代表的なターゲットを整理します。
マダイ
水深のあるポイントでまず期待したいのがマダイです。特に潮通しの良い沖堤防や沖磯では、底付近から中層にかけて回遊してくることがあります。仕掛けをしっかり沈め、コマセが効いたタイミングでツケエサを入れられると、チャリコだけでなく良型が混じることもあります。
チヌ
チヌは底付近を意識した釣りと相性が良い魚です。深場ではアタリが派手に出ないことも多く、ラインが少し止まる、わずかに重くなる、といった変化を拾う必要があります。底を取り切ったあと、仕掛けを張りすぎず、ツケエサを安定させると食わせやすくなります。
イサキ、グレ、青物
イサキは深い層で群れに当たると連発することがあります。グレも浅場だけの魚ではなく、居着きの良型ほど深いレンジに残っている場面があります。さらに、コマセに小魚が寄ると青物が回ることもあり、深場フカセは何が来るか分からない面白さがあります。
ただし、青物が混じるポイントではハリス切れも起こりやすくなります。マダイやチヌ狙いでも、明らかに走る魚がいる日は、ハリス号数やドラグ設定を少し強めにしておくと安心です。
実釣で分かった深場フカセの修正ポイント
強風と二枚潮では、軽い仕掛けを捨てる
ある冬の日、推定25mほどの沖堤防で竿を出したとき、表層は風で滑り、底潮は別方向に動く二枚潮でした。最初はウキ下10mほどから探りましたが、仕掛けがまったくなじまず、ラインばかりがふけてしまいました。
そこでウキを1号に上げ、ガン玉も段打ちに変更しました。最初は「ここまで重くしていいのか」と迷いましたが、実際にはその重さでようやく釣りが成立しました。仕掛けが底付近に入るようになると、夕方前にモゾッとしたアタリが出て、45cm近いチヌを取ることができました。
船長の「まず底を取れ」はかなり重要
高知方面の沖磯で釣ったとき、渡船屋の船長から「ここは底付近に魚がたまることが多い」と言われたことがあります。それでも最初は、いつもの癖で5m〜8mの浅いタナを探ってしまい、まったく反応がありませんでした。
思い切ってウキ浮力を2号に上げ、B〜2Bのガン玉を複数打って全遊動で送り込むと、10mを超えたあたりからラインに違和感が出始めました。最初にマダイ、そのあとイサキが続き、「深場ではまず底を取る」という意味を体で理解した釣行でした。
深場フカセの判断基準まとめ
- 仕掛けがなじまないとき:ウキ浮力、ガン玉、オモリを上げる。軽さにこだわりすぎない。
- コマセと合わないとき:潮上へ打つ位置を変え、比重のある配合で深い層へ届ける。
- アタリが分からないとき:ラインを出しっぱなしにせず、指先でテンションを確認する。
- 魚が浮かないとき:浅ダナを引っ張らず、底付近まで探る。
- 大型が混じるとき:ハリス、結束、ドラグ、レバーブレーキ操作を見直す。
深場フカセは、浅場のようにテンポよく答えが出る釣りではありません。仕掛けがなじむまで時間がかかり、コマセの効き方も見えにくいです。それでも、底まで届ける準備と、同調を修正する観察力があれば、十分に勝負できます。
初心者の方は、まず「深い場所ではいつもより2段階重めに考える」くらいから始めると分かりやすいです。実際の海では潮の速さや風向きで正解が変わるので、軽い仕掛けで流され続けるより、早めに重さを変えて底を取りに行く方が、釣りを組み立てやすくなります。
まとめ
水深20mを超える深場フカセ釣りは、難易度こそ高いものの、攻略できたときの見返りが大きい釣りです。マダイ、チヌ、イサキ、グレ、青物など、浅場では届きにくい魚との出会いがあります。
大切なのは、仕掛けを深ダナまで入れる勇気、コマセを同じ層へ届ける工夫、そして底を取り切る意識です。軽い仕掛けで反応がないときは、思い切ってウキ浮力やガン玉を上げてみてください。そこで初めて、深場の魚がいる世界に仕掛けが届くことがあります。
深場は、分かりにくいぶん面白い釣りです。次の釣行で水深のあるポイントに入る機会があれば、ぜひ「底まで届ける」ことを第一目標にして、深場ならではの一匹を狙ってみてください。
【あとがき】
今回の記事を書き直しながら、深場フカセ釣りはやはり「浅場の応用」だけでは足りない釣りだと改めて感じました。仕掛けを重くする、コマセを沈める、底を取り切る。言葉にすると単純ですが、実際の釣り場では風、潮、波、エサ取りの動きが重なり、毎回同じ答えにはなりません。
この記事を書くきっかけの一つは、千葉の釣り仲間から「今度入る場所がかなり深いらしい。どうやって仕掛けを入れればいいのか」と相談されたことでした。浅場中心でフカセをしている人ほど、20mを超える水深は不安になります。私自身も最初は同じで、軽い仕掛けを信じすぎて、ツケエサが狙いの層へ届かないまま時間を使ってしまった経験があります。
転機になったのは、現地のベテランや船長から「深場は沈めることに遠慮しない方がいい」と教わったことでした。ウキを1号、2号へ上げる。ガン玉を複数打つ。PEラインとレバーブレーキリールで沈下中の変化を見る。こうした調整を受け入れてから、深場の釣りは一気に組み立てやすくなりました。
もちろん、重くすれば何でも釣れるわけではありません。重くした分だけ、コマセとの同調、ラインテンション、投入点の修正が必要になります。それでも、まず魚のいるレンジへ届けられなければ始まりません。深場フカセでは、この順番を間違えないことが大事だと思います。
これから深ダナに挑戦する方は、最初から完璧に流そうとしなくても大丈夫です。まずは仕掛けが本当に底付近まで入っているかを確かめる。次にコマセの位置を合わせる。そして小さなアタリを拾う。この積み重ねが、深場ならではの一匹につながっていきます。






