深場フカセ釣りには、浅場とは異なる魅力が詰まっています。水深20mを超えるエリアでは、マダイやチヌ、イサキ、グレ、さらには青物まで、さまざまなターゲットが狙えます。しかし、深場ならではの攻略法を知らなければ、思うように釣果を得るのは難しいでしょう。本記事では、実際の釣果体験を交えながら、深ダナで狙える魚の特徴や、アタリを引き出すコツを詳しく解説します。
目次
1. 水深20m超えのフカセ釣りは可能か?
まず結論から言えば、水深20m以上でもフカセ釣りは可能です。しかし、通常の磯フカセ(3〜10m)とは違い、以下の3つの課題をクリアしなければなりません。
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仕掛けを深く沈めるのが難しい
軽い仕掛けだと沈むまでに時間がかかり、途中で流されてしまいます。 -
コマセとツケエサの同調がしにくい
深場に届く前に潮に流されると、コマセとツケエサがバラバラになり、魚を狙いのレンジに集めにくくなります。 -
魚のアタリを捉えにくい
水深が深いほど、アタリの変化やラインの動きがわかりにくくなります。
これらを攻略するために、仕掛けの組み方、コマセとツケエサの使い方、そして潮の状況を読む力が重要になってきます。
深場フカセ攻略の魅力
なぜわざわざ深場のフカセ釣りに挑むのか? それは、水深のあるポイントには大型の魚が潜んでいる可能性が高く、磯際や浅場では出会えないようなサイズや種類の魚と出会えるチャンスがあるからです。また、レンジが深いことで魚のプレッシャーが比較的少なく、思わぬ大物がヒットする可能性も秘めています。
実際の経験談:20m超えの釣行で感じたこと
実際に私が水深20m以上のポイントで釣りをしたときの経験では、開始当初は思ったよりも仕掛けを沈めるのに苦戦しました。 まだ浅場メインでフカセ釣りをしていた頃の感覚で仕掛けを組んでいたため、ガン玉やウキの浮力設定が軽すぎて、狙いのレンジに到達する前に潮で流されてしまったのです。
しかし、「仕掛けを一気に沈める」という意識に切り替え、ガン玉の号数を上げたり、ウキの浮力をやや重めに変更したりしたところ、狙いの棚をしっかり探れるようになりました。すると、深いタナをキープしたままコマセとの同調が取りやすくなり、釣果は一気に上向きました。
マルキユーのインストラクターからのアドバイス
プロのインストラクターに聞いた話では、深場のフカセ釣りでは「ラインコントロール」がカギになるとのこと。 特に潮が速い場所や二枚潮の起きやすいエリアでは、仕掛けを素早く落としつつ、ラインを送り込みすぎないように注意する必要があるそうです。
具体的には、ウキ止めを付けない全遊動スタイルにして仕掛けをフリーに落としながらも、道糸はPEを使用し、レバーブレーキリールで常にラインテンションを把握するという方法を推奨していました。これにより、仕掛けが浮き上がることを防ぎ、結果的に釣果が安定するそうです。
2. 深場フカセ釣りの基本戦略
ここからは、深場フカセ釣りで意識すべきポイントを具体的に解説していきます。深場特有の難しさをクリアするためには、まず仕掛けをしっかり沈めることが最重要となります。
(1) 仕掛けをしっかり沈める
沈め探り釣りの活用
深場を狙うフカセ釣りでは、ウキを表層に浮かせておくだけではなく、積極的にウキごと沈めていく「沈め探り釣り」というテクニックが有効です。
- 道糸をPEにする
ナイロンより比重が重いPEを使うことで、潮の抵抗を受けにくく、仕掛けが沈みやすくなります。
シマノ PEG5のような高比重PEがいいでしょう。やや高いですが、長く使えるし釣果にもつながると思います。
- ウキを半遊動 or 全遊動に設定
深いタナを探るためにウキ止めを高めにセット、あるいは付けない全遊動を選び、仕掛けが自然に落下する時間を確保します。 - ウキとガン玉のバランス
ウキ浮力をBや1号程度に設定し、必要に応じてG3〜Bクラスのガン玉をハリスに分散して打つことで、エサを効率よく沈めます。
重めのガン玉を打つ
潮が速い日は、G3やBのガン玉だけでは不十分な場合があります。1号前後のオモリをプラスして一気に沈めることで、狙いのレンジに仕掛けを留めやすくなります。
また、水深20mを超えるような場所では、仕掛けが着底するまでの間に撒いたコマセが流されることも多いため、適切な重さとコマセとの相性が釣果に直結します。
道糸の管理をしっかりする
道糸が潮に流されると、仕掛けが思うように沈みません。
- 適度に張る:道糸を張りすぎると仕掛けが浮き上がりますが、たるませすぎるとアタリが取りにくくなります。
- 仕掛けが馴染むまで待つ:深場ではエサが落ちるまで時間がかかるため、焦って巻き取らず、しっかりと仕掛けが沈むのを待ちましょう。
- ラインを人差し指で触る:ラインを送り込みつつ、適度にテンションを掛けたいときに有効です。潮の変化やアタリを敏感に感じ取れます。
船長のアドバイス:仕掛けの重さ選び
このポイントの通っている釣り場の船長に聞いたところ、「潮の流れが速い日は、BやG5程度のガン玉だけじゃ流されてしまうことが多い。1号オモリくらいを果敢に使って沈めることが大事だね」とのこと。 実際に試してみると、潮に対する仕掛けの安定度が大幅に向上しました。あれだけ横に流されていた仕掛けが、狙いたいタナのレンジ付近をキープできるようになったのです。結果、アタリの出方も分かりやすくなりました。
実体験:ガン玉の使い分けで釣果アップ
実際に試したところ、G3やBなどのガン玉を複数個分散して打つことで、仕掛けが適度なスピードで沈み、底までスムーズに到達しました。 逆に、軽めのセッティングにしてしまうと、エサが潮に流されて表層にとどまりがちになり、魚がまったく口を使ってくれない日もありました。
重い仕掛けに調整して狙ったタナをキープできるようにすると、底付近でのアタリが増え、結果的に大型のチヌやマダイに出会う確率が一気に上がったという実感があります。
3. コマセとツケエサの同調を意識
深場でのフカセ釣りを成功に導くもう一つの要素は、コマセとツケエサの同調です。
浅場のフカセでは比較的合わせやすいポイントですが、深場では仕掛けがエサと一緒にスッと落ちる間に潮の影響を受けるため、コマセとのズレが生じやすくなります。
(1) コマセを重めにする
水深があるポイントでは、通常の軽い配合エサだけではなく、遠投用や深場用の比重が重いエサを使うと効果的です。
- オキアミ+配合エサ:遠投や深ダナ対応の配合エサを使い、コマセ自体も底付近までしっかり届かせる。
- ドカ撒きではなくピンポイントに投入:深場で闇雲にドカ撒きしても、潮に散らばってしまい、魚を集めきれません。仕掛けが馴染むタイミングや場所をしっかり意識して撒くのがコツです。
- 仕掛け投入から少し遅らせてコマセを撒く:仕掛けがある程度沈んだ段階でコマセを入れることで、流されてきたコマセが同じレンジのエサと同調しやすいです。もしくは先にしっかりコマセを撒いたところに、仕掛けを投入します。どちらでもいいですが、コントロールしやすい方をあとから追わせるようにするといいかと思います。
(2) コマセとツケエサを同調させるテクニック
- 仕掛け投入 → 5秒後にコマセ
コマセが仕掛けと同じレンジで効くように、タイムラグを利用します。 - 広範囲+ピンポイントの使い分け
コマセに余裕があれば、広く撒いて魚を寄せ、仕掛けを投入するときはピンポイントで集中打ちしてターゲットを狙う、といったハイブリッドな撒き方が有効です。
(3) 「チヌパワー激重」を活用
深場でのフカセ釣りや潮流の強いエリアで頼りになるのが、**「チヌパワー激重」**のような高比重の配合エサです。
- 単体使用:「チヌパワー激重」1袋(4kg)に対し、海水約1,800ccを加えてしっかり混ぜる。
- ブレンド使用:「チヌパワー激重」1袋にオキアミ3kg+他の配合エサ(例:「チヌパワーVSP」)を足して、ターゲットや状況に合わせた撒き方をする。
- 水分量の調整:やや硬めに仕上げることで、深場でもしっかり沈む効果を狙う。
プロのアドバイス:深場のコマセワーク
プロのフカセ釣りインストラクターによると、深場でのコマセワークは『仕掛けの沈下速度を意識して撒く』のがポイントとのこと。 特に潮流が速くなる時間帯や二枚潮が起きている状況では、コマセ自体が狙ったポイントに届きにくいので、やや重めかつ粘り気のあるエサを混ぜて塊で落とすように撒くと同調率が高まるそうです。
さらに、コマセを撒く位置は「仕掛け投入位置のやや上流(潮上)に落とすのが基本」ですが、風や波の向きで潮流が複雑に変化するときは、その都度、投げる位置を微調整することが大事だとアドバイスされました。
体験談:コマセ配合での反応の違い
私自身の経験では、『チヌパワー激重』を使ったときに、明らかに底付近の魚の反応が良くなったように感じました。 特に風が強く、潮も速かった日には、軽めの配合エサだとコマセが広範囲に拡散しすぎてしまい、狙いたいタナに魚を留めておくのが難しかったんです。
そこで試しに「チヌパワー激重」にオキアミともう一種類の配合エサをブレンドして、やや粘り気のあるコマセをゆっくり沈む固まりの状態にして投入。すると、底付近に群れができはじめ、アタリが途切れなくなりました。 特に、チヌやグレが集中した時間帯があり、仕掛けを投入するたびに反応が返ってくるほどで、コマセの種類と使い方でこれほど釣果が変わるのか、と驚いた経験があります。チヌ餌ですが、深場を狙いたいときには真鯛でも、グレでも使うことはできます。特にグレ餌にはない高比重なので、他の人が攻め切れていない居着きのグレなどを狙うのにも使えます。要はオキアミを水深20m以上まで届けられればいいのです。
4. 深場フカセ釣りで狙える魚
前編では、深場フカセ釣りにおいて重要となる「仕掛けを沈める技術」や「コマセとツケエサの同調」について詳しく解説してきました。これらのポイントを押さえることで、20mを超えるような深ダナでも十分にフカセ釣りを楽しむことが可能です。そして、深場ならではの魅力として挙げられるのが、狙える魚種の多彩さです。ここでは、代表的なターゲットをいくつかピックアップして解説します。
(1) マダイ
深場フカセ釣りといえば、まず真っ先に挙がるターゲットがマダイです。マダイは水深20m前後のポイントでも十分狙えますし、潮通しの良い場所ではさらに深いエリア(30m以上)に身を潜めていることもあります。
- 潮の流れ
潮流が速い場所を好む傾向があり、特に上げ潮・下げ潮がハッキリ効いているタイミングに活性が上がることが多いです。深場の場合は表層と底層で潮の流れが異なる二枚潮になることもしばしばあるので、仕掛けを確実に底付近まで落とすテクニックがものをいいます。 - エサの選択
オキアミやエビ系のツケエサはもちろん、配合エサを工夫してコマセとの同調を図ることが大切です。 - アタリの出方
全誘導の時には、深ダナではウキの動きよりも、道糸やリールのドラグに伝わる微かな抵抗感でアタリを察知することが多いです。ウキ下を大きく取っているため、微妙な変化を見逃さない注意力が必要になります。
船長のアドバイス:深場でのマダイ攻略
**このエリアの船長が言うには、「上げ潮のタイミングで潮が一気に動き出すと、群れで回遊してくるマダイが増える」**とのこと。実際、潮目が変わり始めたタイミングで大きめのウキ(1号〜2号程度)を使って仕掛けを沈めると、50cmクラスの良型マダイがヒットしたというケースも珍しくありません。深場では「中途半端なタナにいるより、底付近まで落としてから探ったほうがマダイとの遭遇率が高い」ともアドバイスされました。
(2) イサキ
イサキは回遊性が高く、群れで行動する魚です。磯際や浅場でも見られますが、実は深ダナ付近でまとまって回遊しているケースもあります。
- 群れの時合
イサキの群れが回ってくるときは、複数匹が連続でヒットするなど、「時合」の勢いが顕著に現れます。 - 潮と光量
夕マヅメや夜釣りのイメージが強いイサキですが、日中でも潮さえ動いていれば深場で当たることがあります。 - コマセの影響
イサキはコマセに対する反応が良く、深場であってもコマセを的確に打てば十分寄ってきます。特に、沈下速度の速い比重の重いコマセを使うと、イサキのタナに合わせやすいです。
体験談:イサキのラッシュを経験した日
以前、南伊豆横根の渡船で深場をフカセ釣りしていた際、イサキの猛ラッシュに遭遇したことがあります。 最初はチヌ狙いで底付近を丹念に探っていたのですが、コマセを打ち続けていると、急に道糸が横走りをし始めました。「何か違和感のある動きだな」と思って合わせると、30cm前後のイサキが連発。しばらくはチヌ以上の勢いでイサキがヒットし、「深ダナ=チヌやマダイだけでなく、イサキも活性が高いときは十分ターゲットになる」と実感した一日でした。
(3) グレ(メジナ)
田子沖の水深22mでヒットしたグレ
グレは磯際のイメージが強い魚ですが、実は深ダナで大型が回遊していることも珍しくありません。特に寒グレシーズンにおいては水温の安定した深場へ下る傾向があるため、浅場での釣果がイマイチなときでも深場で好釣果が得られるケースがあります。
- エサ取り対策
浅ダナでよく見られるエサ取り(スズメダイや小サバなど)が少ない分、本命のグレにエサが届きやすいというメリットがあります。 - ヒット時のやり取り
深ダナでのグレは根に走ろうとする力も強いため、合わせた直後はドラグをややキツめに設定して一気に浮かせることが重要です。
船長のアドバイス:深場のグレの時合
**船長によると、「下げ潮が緩やかになったタイミングで、沖のボトム付近にグレの群れが停滞していることがある」**とのこと。その際は、ウキを小さめ(B〜G2程度)にしてガン玉で沈めていくと、警戒心の強い大型グレが口を使うケースが多いそうです。浅ダナと比べて一発の引きが強烈なので、ハリスは1.5号〜2号を基準とし、万が一の大物に備えるべきというアドバイスをいただきました。
(4) 青物(ワラサ、カンパチなど)
フカセ釣りでは、思わぬゲストとして青物がヒットすることもあります。特にワラサやカンパチの若魚(いわゆる“ショゴ”サイズ)が回遊していると、コマセに寄ってくることがあります。
- パワフルな引き
青物系は何よりも引きが強く、やり取りを存分に楽しむことができます。ただし、フカセタックルではパワー不足になりがちなので、いざという時のドラグ調整や腕力勝負が求められます。 - アタリの特徴
ウキが一気に消し込むような“豪快なアタリ”が出ることもあれば、深いタナで横走りする違和感だけで判別することも。いずれにしても、青物は走り出したら止まらないくらいのパワーを見せるので注意が必要です。
船長のアドバイス:青物回遊のタイミング
「西伊豆エリアの船長が言うには、『黒潮系の暖かい潮が入ってきたとき、イワシやアジなどのベイトが寄ってくるタイミングで青物も回遊してくる』とのこと。 特に真夏から秋にかけては水温が高くなり、青物が活発に動く時期でもあります。朝イチや夕マヅメの時間帯にフカセのコマセに青物が群がってくることもあるので、「こんな深ダナでまさか」と油断せず、いつでもファイトできる準備をしておくのが良いでしょう。
5. 独自の体験談:深場フカセ釣りで得た学び
ここまで、深ダナで狙える主な魚種や、その特徴・攻略法についてご紹介してきました。とはいえ、実際の釣り場では予想外の事態や現場ならではの発見が多々あるもの。ここでは、筆者が今までに体験したエピソードの中から、深場フカセ釣りで特に印象に残っているものを2つほど紹介し、その中で得た学びや気づきをまとめます。
(1) 強風+二枚潮でも諦めなかった一日
ある冬の日、静岡県の沖堤防(推定水深25m)でフカセ釣りに挑んだときのことです。天気予報では穏やかな海況とのことでしたが、実際に現場へ到着すると予想以上の強風。さらに、表層と底層で潮が異なる二枚潮の状態で、コマセをまいてもあっという間に表層は流され、底付近は動きが鈍いという厄介なシチュエーションでした。
- 仕掛けがまったく落ちない…
最初はウキ下を深め(10m程度)に設定して様子を見たのですが、仕掛けが思うように沈まず、途中でラインが風に煽られて大きく弛んでしまいます。アタリを取るどころか、仕掛けがどこにあるかすら把握しづらい状況でした。 - 思い切ってオモリを追加
そこで、ウキ浮力は1号にチェンジ、ウキがトップ4メモリになる程度までガン玉をとにかく追加。「こんなに重くして本当にフカセなのか?」と思うほどのセッティングでしたが、結果的にこれが功を奏しました。仕掛けがしっかりと底付近まで到達し、潮に流されにくくなったのです。 - コマセは潮上に投入
この日はとにかく「仕掛けとコマセの同調」を最優先に考えました。風と潮がバラバラに吹き流される中でも、仕掛けを投入するときは「潮上」にしっかりコマセを打ち、仕掛けを沈めきった後にもう一度コマセを追加で撒くという手順を徹底しました。 - 思わぬ良型チヌがヒット
夕マヅメ前に、底付近で「モゾッ」としたアタリを感じて合わせると、45cm近いチヌをキャッチ。さらに、その後はマダイの幼魚(チャリコ)やソゲ(小型のヒラメ)まで姿を見せました。あまりに苦戦した一日でしたが、**「深ダナほど仕掛けをしっかり重くする」「コマセは潮上に投入」**といった基本を貫いた結果、最終的には満足のいく釣果に結びついたのです。
(2) 渡船屋の船長から学んだ「まずは底を取り切る」重要性
もう一つは、高知県の沖磯で深場フカセ釣りをしたときの体験です。ここは岸壁からすぐに10m以上落ち込み、遠投すると一気に20mを超えるようなドン深ポイントでした。渡船屋の船長に「ここは底付近に大物が溜まっていることが多い」と言われ、初めて挑戦する私としては期待に胸を膨らませながらの釣行でした。
- 最初は浅棚狙いで不発
船長から「底をしっかり探れ」と言われたにもかかわらず、私は慣れ親しんだ浅棚フカセの感覚でウキ下5m〜8m程度を中心に攻めていました。しかし、まったくアタリなし…。コマセを撒いても、魚が浮いてくるような気配がなく、焦りが募るばかりでした。 - 底取り重視のセッティングへ移行
そこで一念発起して、ウキ浮力を2号に変え、大きめのガン玉(B〜2B)を段差で複数個打つ方法に切り替えました。さらに、船長の助言どおり、ウキ止めは付けずに全遊動で仕掛けをどんどん底に送り込むスタイルを採用。道糸をPEにしてレバーブレーキリールで調整しながら、着底を感じ取れるほどじっくり沈めました。 - マダイとイサキの連続ヒット
すると、タナが10mを超えたあたりから、道糸が微妙に動くアタリを感じ始めました。最初にヒットしたのは約40cmのマダイ。その後、さらに深いレンジまで落としてみると今度はイサキが連発しました。船長からは「ほら、やっぱりここは底狙いが正解だろう?」とニコニコ笑われつつ、私も「深場フカセの醍醐味」を思い知った次第です。 - 学んだこと
これまで浅場中心でフカセをしていた私にとって、深場ではまず「底を取る」という意識が何より大事だと痛感しました。仕掛けがしっかりとボトム付近を探っているか否かで釣果は激変し、むしろ浅棚を捨てて深ダナ一点集中の方が結果を出せることも多いのです。渡船屋の船長いわく、「魚は意外と深いところに潜んでいる。浅ダナに浮いてくるのを待つだけじゃ、深場の潜在力を活かしきれないよ」とのことでした。
6. まとめ
深場フカセ釣りは、浅場メインのフカセとは一味違った難しさがあります。仕掛けをしっかり沈めるテクニック、コマセとツケエサの同調、そしてタナ取りの徹底が求められ、最初のうちは苦戦することもあるでしょう。しかし、その分、レンジの深い世界で出会える大物や多彩な魚種とのファイトは、ほかでは得られない魅力と達成感があります。
- 深場フカセは難易度が高いが、一発の夢がある
普段は回遊してこないような良型のマダイ、チヌ、あるいは青物までもが射程圏に入る可能性を秘めています。 - 仕掛けは重めに設定&ラインコントロールを入念に
ガン玉やオモリを大胆に使って沈める、PEラインとレバーブレーキリールで繊細にアタリを捉えるなど、浅場よりも工夫が必要です。 - コマセは潮の流れを読んでピンポイント投入
「チヌパワー激重」のような高比重エサで底まで届かせる、潮上にコマセを打って仕掛けと同調させるなど、繰り返し調整しながらベストなポイントを探ります。 - 多彩なターゲットが狙える
マダイ、チヌ、イサキ、グレ、青物など、深場ならではのゲストが登場しやすいのも魅力。時期や潮次第では思わぬ大物との出会いに胸を弾ませることができます。 - 初心者はまず“深ダナを確実に取る”ところから
深場フカセ釣りはテクニカルですが、基本を押さえれば初心者でも十分挑戦可能。最初はウキ下を大きく取り、しっかりエサを沈める練習をするだけでも、今後のスキルアップに大いに役立ちます。
「深場フカセ釣りは難易度が高いですが、しっかりとしたタックル選びと仕掛けの沈め方さえ習得すれば、大物のチヌやマダイ、さらに青物に出会うチャンスも十分あります。実際に私も重い仕掛けに調整して深ダナを丹念に探ったことで、40cmオーバーのグレや良型マダイをゲットしたことがあります。初心者の方は、まずウキ浮力とガン玉の号数を上げて、確実に底付近までエサを届けるイメージを身に付けるところから始めてみてはいかがでしょうか。」
深ダナを攻略する最大のコツは、「底まで探る勇気」と「コマセの投入ポイントを見極める観察力」にあると感じています。
最初のうちは失敗も多いかもしれませんが、その分、成功したときの喜びは格別です。ぜひ皆さんも、次回の釣りで水深20mを超えるポイントにチャレンジし、深場ならではのフカセ釣りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
チヌパワー激重の使い方とブレンド紹介。集魚剤最強の重さでポイントが作れる
【あとがき】
今回の記事を書き終えてみて、改めて「深場フカセ釣りには未知の可能性がたくさん詰まっている」と強く感じました。水深20mを超えるエリアを攻略するには、仕掛けを重くする工夫やコマセとの同調など、浅場とは違う視点が必要になりますが、その分だけ釣果を得たときの達成感は格別です。特に、深ダナに身を潜める良型の魚に出会えるチャンスがあるという点は、フカセ釣りの醍醐味をさらに広げてくれるものだと痛感しました。
じつはこの記事を執筆するきっかけになったのは、千葉県に住む釣り友達からの相談でした。彼が「今度フカセ釣りの遠征を計画しているんだけれど、どうやら水深がかなり深いポイントらしい」と教えてくれたのです。普段は磯際や浅場がメインの彼にとっては未知の領域だったらしく、「どうやったらそこまで仕掛けを沈められるのか」「コマセはうまく同調させられるのか」といった具体的な疑問をいくつも投げかけられました。私自身も浅場でのフカセ釣りを長くやってきたとはいえ、20mを超えるドン深ポイントを本格的に攻略するのはそう簡単ではありません。そこで、自分の過去の釣行記録を引っ張り出したり、プロスタッフや釣具店の店員さんから仕入れた情報を総合して、彼にアドバイスを送ったことがこの記事の出発点だったのです。
このアドバイスにあたって思い出したのが、以前、伊豆方面の沖堤防で経験した「深場ならではの大苦戦」です。あの場所は足元から一気に10m以上落ち込んでおり、さらに少し沖へ振りかぶってキャストすると、20m前後のドン深ゾーンを攻められるというポイントでした。私も最初は「ウキの浮力は小さめ、ガン玉も最小限」という、いわゆる浅場中心の軽めセッティングで挑んでいたんです。ところが、当然のごとくエサが想定通りに沈んでいかず、途中で潮に流されて行方不明になるばかり。焦ってコマセをまいても、エサとの同調はうまく取れず、ウキもどこを漂っているか把握できない状態が続きました。
そのとき釣り場で出会った地元のベテランは「深場は沈めることに遠慮したらダメだよ」と、さらりとアドバイスをくれました。具体的には「ウキ浮力は最低でも1号、状況によっては2号以上でもいい。ガン玉もBや2Bを複数個つけるくらい思い切って重くしないと、狙ったタナには届かない」というものでした。正直、フカセ釣りの“繊細さ”を追いかけていた私にとっては、当時かなり衝撃的な言葉だったんです。しかし実際に彼の言うとおりにセッティングを変えてみたところ、それまでぐだぐだと表層をさまよっていた仕掛けがストンと落ちていき、狙っていた深ダナに安定してとどまるようになりました。ほどなくしてアタリを明確に感じられるようになり、底付近でヒットしたのは良型のチヌと嬉しい外道のイサキ。確かに“フカセ釣り”と呼べるのか迷うほどの重め装備でしたが、深場の魚を釣るにはこのくらい徹底したアプローチが要るのだと痛感したのです。
この体験を活かして千葉の友人に伝えたのが、「まずは仕掛けをしっかり沈める準備を整える」ことでした。ウキやガン玉の号数設定はもちろん、道糸やハリスの素材感まで含めて、「この重さで本当に大丈夫なのか」というくらい大胆に調整するのが重要だと。実際、友人は最初かなり躊躇していたものの、「自分のイメージより2ランクほど大きいウキとガン玉を使ったら、底を明確に取れるようになって一気に釣りが組み立てやすくなった」と喜んでいました。また、彼にはプロスタッフのインタビューで得た知識も共有しました。いわく、ラインコントロールが重要で、特にPEラインとレバーブレーキリールの組み合わせは深場狙いで威力を発揮するとか、全遊動スタイルでウキ止めを使わず、潮に合わせて仕掛けを送り込むテクニックが有効だとか。こうした生きた情報は、やはり現場経験豊富なプロや現地の船長から直接聞くと説得力があります。
さらに言えば、コマセの使い方ひとつ取ってもエリアの潮流や深さによって大きく変わります。ある釣具店の店員さんは「深場なら、‘チヌパワー激重’のように比重が重い配合エサがオススメです。底までしっかり落として、そこにエサを置いて魚を待たせるイメージ」と話してくれました。私も当初は、「グレ用の軽い配合エサでも何とかなるだろう」と甘く見ていたクチなので、その言葉を半信半疑で試してみたところ、明らかに底近くに魚が寄る速度が変わったのを実感したことがあります。潮が速いときでも塊状のままスッと落ちてくれるので、撒き餌とツケエサの同調がぐっと取りやすくなるんですね。こういったさまざまなノウハウを総合して、友人には「深場ではどれだけ仕掛けとコマセを“底まで届ける”かが肝心」というポイントを強調して伝えました。
それからというもの、私自身も浅場メインのフカセ釣りから一歩踏み込んで、わざわざ深場のポイントを選んで釣行に出かける機会が増えました。例えば、水深25mクラスの沖磯に渡船で上がり、最初から“深ダナ一本勝負”の設定で臨むというスタイルです。そこではグレやチヌはもちろん、思わぬ青物やヒラメなんかも顔を出してくれて、「何がヒットするか分からない」というワクワク感がたまりません。反面、深いだけに仕掛けが馴染むまでに時間がかかり、さらにエサ取りや二枚潮の影響もあり……。正直、難易度は浅場の比ではないですが、だからこそ上手くハマった時の快感が大きいと思うのです。
今回の記事であらためて深場フカセのエッセンスを書き出してみて、私自身も「まだまだ研究し足りない部分がある」と思わされました。仕掛けの組み方にしてもコマセの配合にしても、いざ現場に出るとその日の潮の具合や風向き、ベイトの入り方などで状況が激変します。実釣で試行錯誤するうちに新たな発見があり、そこからまた新しい攻略法が生まれるのが釣りの面白さ。深場の釣りには、そんな無限の可能性と魅力が詰まっています。
最後になりますが、この記事を通じて少しでも「深場フカセ釣りのおもしろさ」をお伝えできていれば幸いです。とっつきにくい印象があるかもしれませんが、正しいタックル選びと仕掛けの重みの調整、そしてコマセの投入ポイントさえ押さえれば、意外とすぐに結果を出せることもあります。これから深ダナに挑戦しようという方は、ぜひ恐れずに一度試してみてください。どんなターゲットが待ち構えているか分からない深場の世界で、素晴らしい一匹との出会いがあることを心から願っています。