目次
1. はじめに
フカセ釣りは、比較的手軽に始められる上に奥が深く、チヌ(クロダイ)やグレ(メジナ)をメインターゲットとして多くのアングラーに親しまれています。私自身も初めてフカセ釣りに挑戦したときは、「魚を寄せるために撒き餌が必要だ」という話は聞いていても、実際にどれくらいの量を用意すればいいのか、まったく見当がつきませんでした。特に釣具店で売られている配合剤やオキアミブロックはサイズもいろいろあり、「これは多すぎるかもしれない」「いや、足りなくなったらどうしよう」といった迷いが生じがちです。
私がまだフカセ釣りを始めて間もない頃、南伊豆の横根という磯へ釣行したことがあります。
その日は朝から天候も穏やかで絶好の釣り日和。「よし、今日はたくさん釣るぞ!」と意気込んでいたのですが、実はそのとき、撒き餌の量をケチってしまったというか、使いどころをうまくつかめずに、最初に十分な量を打たなかったんです。その結果、朝イチでの時合いを逃してしまい、結局「撒き餌をたくさん残した状態」で夕方を迎える羽目になりました。最後に一気に撒いても魚は集まりきらず、「何をやっていたんだろう」という悔しさと恥ずかしさを味わったのです。
後日、フカセ釣りの大会などにも参加しているトーナメンターの方に話を聞いたところ、
「時間配分と餌の使い方は本当に重要。最初にどのくらい打つか、途中でどの程度ずつ打つか、ラストにどれくらい残すのかを考えておかないと、せっかくの時合いを逃してしまうことになるよ」
と教えていただきました。まさにその言葉通り、私の失敗は「時間配分の重要性」を理解していなかったことに尽きます。
そこで本記事では、「フカセ釣りの撒き餌量と時間配分」をテーマに、基本的な目安と使い分けの方法について詳しく解説していきます。特に「3時間・6時間・9時間」の釣行時間を想定した撒き餌量や、チヌとグレではどの程度必要量が変わるのか、そして私自身が体験した失敗談から学んだポイントなども余すところなく紹介します。撒き餌の量が適切かどうかは、釣果を左右する大きなファクターです。ぜひ最後まで読んで、フカセ釣りの奥深さと楽しさを味わうためのヒントをつかんでみてください。
2. 釣り時間別の撒き餌の目安(約3時間・6時間・9時間)
フカセ釣りを楽しむうえで、釣行時間とターゲットとなる魚種によって撒き餌の必要量は大きく変わります。これはあくまで「一般的な目安」ではありますが、釣り雑誌やベテランアングラーの意見から集約した参考量をご紹介します。また、私が過去に同行させてもらったトーナメンターの方が実践している量も含めていますので、ある程度の確度は高いと思います。
短時間釣行(約3時間)
- チヌ狙い
- オキアミ:1.5kg
- 配合剤:1袋(約3kg相当)
- 合計:約4.5kgほど
- チヌは底で餌を食わせるスタイルが多いため、そこまで大量の撒き餌を要しないケースが多いです。ただし、集魚力を高めるために配合剤はしっかり使うのがポイント。
- グレ狙い
- オキアミ:1.5kg
- 配合剤:1〜1.5袋(約3〜4kg相当)
- 合計:約4.5〜5.5kgほど
- グレは比較的上層を回遊する魚なので、拡散性に優れた配合剤があると非常に有利です。潮の流れが速い釣り場だと、もう少し多めに用意する人もいます。
私も最初の頃、3時間くらいの短時間勝負だから「オキアミブロックひとつ(3kg程度)+配合剤1袋あれば十分だろう」と思っていましたが、実際には使わずに終わることもあれば、逆に途中で足りなくなることもありました。
特に朝イチの短期決戦モードになりがちなので、最初にどの程度打ち込み、どれくらい残すかを決めておくと焦らなくて済みます。
短期の釣行では、マルキユーのグレパワーV9の徳用サイズがあれば、比較的なんとかなります。
半日釣行(約6時間)
- チヌ狙い
- オキアミ:3kg
- 配合剤:1〜2袋(約6kg相当)
- 合計:約9kgほど
- 「オキアミ3kg+配合剤3kgで3時間」が一つの基準と言われることが多く、6時間となれば倍量を考えます。ただし、チヌはそこまで大量の撒き餌を必要としないため、配合剤を1袋多くしたり少なくしたりして微調整可能です。
- グレ狙い
- オキアミ:3kg
- 配合剤:2〜3袋(約6〜9kg相当)
- 合計:約9〜12kgほど
- グレは回遊性が高く、表層〜中層に広く撒き餌を拡散させる必要があるため、チヌよりも多めの量が推奨されます。エサ取り(木っ端グレや小サバなど)が多い季節はさらに多めに用意すると安心です。
私が横根で経験した際は、実質6時間程度の釣行でした。オキアミ3kgに配合剤2袋を用意して臨んだのですが、最初に「節約しよう」と思って強めに撒かなかった結果、朝マズメの時合いを逃してしまい、後半になってから焦って撒き餌を大量に撒いたのです。しかし、すでに潮が変わっていて魚の活性も落ち気味になっていたため、思うように釣果が伸びませんでした。あのとき、最初の1〜2時間で「魚を寄せるための全体のうち、どれくらいを使うか」を考えておけば、もう少し良い結果になったかもしれません。
長時間釣行(約9時間:朝6時〜15時など)
- チヌ狙い
- オキアミ:4.5kg
- 配合剤:2〜3袋(約9kg相当)
- 合計:約13.5kgほど
- 一日まるまる釣りをする場合、釣り場の状況に合わせて余裕を持った量を用意する人が多いです。特に潮が動き出すタイミングや、昼前後の活性が下がるタイミングなどを見計らって撒き餌量をコントロールします。
- グレ狙い
- オキアミ:6kg
- 配合剤:3〜4袋(約12kg相当)
- 合計:約18kg〜20kgほど
- グレを狙う場合は、朝から夕方までやるならオキアミ6kgに配合剤4袋というのも珍しくありません。私も大会でグレを狙っている人を見たときは、その大量の撒き餌に驚きました。実際、それだけ撒くと釣れる魚のサイズも段違いにアップする場面があります。
まとめポイント
- チヌは比較的少なめでOK:底付近でエサを食わせやすく、配合剤の拡散よりもポイントを作ることが大切。
- グレは多めに必要:浮いてきたグレを広範囲に寄せつつ、長時間食わせ続けるためには、ある程度の量が必要になる。
- 釣り場や潮の流れで調整が必要:同じ6時間でも、潮の流れが速いポイントか、魚の活性が高いかで必要量は増減する。
「たくさん残してしまって無駄になった」あるいは「途中で足りなくなって思うように釣りにならなかった」という失敗は、私も含め多くのアングラーが通る道です。失敗を重ねながらも、少しずつ自分なりの適正量を見極められるようになるのもフカセ釣りの醍醐味と言えるでしょう。
3. 撒き餌の役割と重要性(なぜ適量が必要なのか?)
フカセ釣りにおいて、撒き餌(マキエ)は「必須」と言っても過言ではない要素です。特にチヌやグレを狙う場合、魚を寄せる・足止めする・ツケエサと同調させる という3つの役割が大きなカギを握ります。それぞれを深掘りしながら、なぜ「適量」が重要なのかを解説します。
1. 魚を寄せる
もっともベーシックな役割は、魚を寄せることです。広範囲に匂いと視覚的アピールを拡散させることで、回遊しているチヌやグレ、あるいはエサ取りを含む様々な魚を足元や狙いのポイントに引き寄せます。
- オキアミの匂いと配合剤の相乗効果
オキアミそのものに含まれるタンパク質やアミノ酸の匂いは非常に強力です。さらに配合剤には、粘りを出したり拡散力を高める成分が含まれており、海中でゆっくりと広がっていく効果があります。つまり単体でも有効ですが、組み合わせることで集魚力が何倍にもなるのです。 - 匂いの拡散スピード
たとえば潮の流れが速いエリアでは、撒き餌を投下してもすぐに下流(あるいは横方向)に流されてしまいます。そのため、「ある程度まとまった量」を一気に打ち込み、狙ったコースに餌が通るように工夫するのが大事。逆に、潮が緩い場所では一度に大量に撒きすぎると、魚が散ってしまう恐れもあるので、少量を小まめに撒くスタイルが有利になることもあります。
2. 足止めする
次に重要なのが、寄せた魚をその場に留めておく(足止め)こと。せっかく魚が集まってきても、撒き餌がなくなってしまったり、魚の興味を引き続けることができなければ、あっという間に散ってしまいます。
- 連続的に撒き餌を打つメリハリ
「魚がたくさん寄ってきた!」と思ったら、次の一投、さらに次の一投というように、ある程度のリズムで撒き餌を打ち続ける必要があります。とはいえ、むやみに撒きすぎると「エサでお腹いっぱい」になってしまうこともあるため、魚がいる状態をキープしつつ、食わせのタイミングを生むような量を見極める必要があります。
私自身、足止めを意識せずに撒き餌をポンポンと投下し続けてしまい、「周りが撒き餌だらけになって魚がこっちを向かない…」という失敗をしたことがありました。特にグレ狙いで魚が浮いている時は、足止めしつつツケエサを自然に食わせるさじ加減が難しいと感じます。
3. ツケエサを同調させる
そして最後に、魚が寄ってきたタイミングでいかにしてツケエサを口に入れさせるか がフカセ釣り最大のテーマです。撒き餌と同じタイミング、同じ層をツケエサが流れるように仕向けることで、自然と本命の魚に口を使わせます。
- 同種エサがベスト
ツケエサにオキアミを使う場合、撒き餌にも同じオキアミを含ませておくと「違和感」を与えにくくなります。魚は、撒き餌の中にあるオキアミの塊からひとつをついばむ感覚でツケエサにアタックするのです。 - フリーに近い状態で流す
仕掛けを自然に馴染ませるテクニックとして、道糸に張力をかけず、潮に乗せてツケエサを漂わせる方法があります。撒き餌の帯の中にツケエサがあるとき、一番食わせやすいのは同調した自然な漂い方です。潮と風、竿さばきを考慮しながら撒き餌と合わせていくのは難しい反面、フカセ釣りの醍醐味でもあります。
適量の大切さ
こうした3つの役割を考慮すると、
撒き餌は「多すぎてもダメ、少なすぎてもダメ」という絶妙なバランスが必要
だとわかります。
多すぎる場合のデメリット
- 魚が満腹になり、ツケエサを食わなくなる
- 撒き餌が海中に散乱しすぎて、ポイントが散らばりすぎる
- 無駄にコストがかかる
少なすぎる場合のデメリット
- 十分に魚が寄らず、釣れるチャンスが極端に減る
- 次の時合いまでに足止めができない
- 合わせて時間配分を意識しないと、最初の時合いでせっかく寄せた魚をすぐに散らせてしまう
私の南伊豆横根での失敗談も、「朝イチに魚を寄せきれず、あとでまとめて撒いても効果が薄かった」という典型的な例です。そこから学んだことは、最初の1時間〜2時間で寄せきるためには、撒き餌の“使い所”こそが重要 だということでした。時間ごとの配分を考えないまま「一応多めに持って行ったけど、いつ使えばいいんだ?」と迷っていると、結局タイミングを逃してしまうのです。
トーナメンターの方いわく、「1時間ごとにどのくらい使うのか最初に仮で割り振る」くらいのイメージを持つと、余裕を持って調整ができるとのこと。これは私なりに大変参考になりました。フカセ釣りは奥が深いですが、撒き餌の役割を理解し適量を意識するだけでも、釣果は驚くほど変わってきます。
4. 時間別の撒き餌配分(釣り時間ごとの撒き方)
それでは具体的に、6時間釣行を例として「時間帯ごとにどれくらい撒き餌を配分すればいいのか」を見ていきましょう。もちろん3時間や9時間の場合でも応用が可能です。トーナメンターの方のアドバイスと、私自身の経験を交えながら解説します。
開始〜1時間目(朝イチ・魚を寄せる時間)
撒き餌の量:全体の20〜30%を使用
ポイント
朝イチは魚の活性が高いことが多く、時合いになりやすい時間帯。特にグレやチヌは夜明け前後から活動を活発化させることがあります。
ここでケチると、まさに私のように「魚が集まりきらないまま時間だけが過ぎる」状態になりかねません。多少思い切って撒き餌を打ち込み、ポイントを作る意識が大切です。
私はこの配分を意識してからは、「最初からそこそこ撒いて大丈夫なんだ」と踏ん切りがつき、魚が寄ってきた感覚をより早く得られるようになりました。
2〜3時間目(安定させる時間)
撒き餌の量:全体の30%を使用
ポイント
魚が寄ってきたら、次はその状態をキープすることが重要。ここで一気に撒きすぎると満腹にさせてしまう可能性もあるため、ツケエサと同調させながら 適度に撒いていきます。
潮の流れや魚の反応を見ながら、投入のペースを調整しましょう。エサ取りが増えてきたなら、あえて粘りのある配合剤を追加で混ぜるなどの対策をする方法もあります。
2〜3時間目は釣りが一番面白いと感じる時間帯でもあります。「どれだけ魚をキープできるか」が後半の釣果にも影響してきます。
4〜5時間目(勝負の時間)
撒き餌の量:全体の20%を使用
ポイント
ちょうど潮変わりや昼前後など、魚が活性を落としやすい時間帯が重なることが多いです。ここで状況を見極め、ピンポイントに撒き餌を打ち込んでいく技術が必要になります。
私の経験では、この時間帯に釣り座を少し変えたり、タナ(仕掛けの深さ)を調整したりすることで、新たな魚に出会うチャンスが増えました。特にチヌの場合は昼近くになってから活性が上がることもあるため、ラッシュが来る可能性を意識して撒き餌を温存しすぎず、しかし無駄打ちはしないというバランスが難しいところです。
6時間目(ラストスパート)
撒き餌の量:残りの10%を使用
ポイント
「最後の寄せで一発大物を狙う」ために、少し強めにまとめて打つ人もいます。ただし、最終盤までまったく撒き餌を使っていなかった場合は、ここで大量に撒いても魚が集まる前に終了時刻を迎える可能性もあるので注意が必要。
私は過去にここを残しすぎてしまい、「余った撒き餌を一気にぶちまける」ことをやってしまったのですが、時すでに遅しで魚は寄りきらずにタイムアップ。
やはり最後の10%程度を的確に使うからこそ意味があるのだと痛感しました。
配分を考えるメリット
- 計画的に釣りが組み立てられる
前述のように章ごと(時間帯ごと)に撒き餌をざっくり割り振るだけでも、心の余裕が全然違います。どのタイミングでどのくらい撒けるのか、見通しを立てるだけで迷いが減り、集中して釣りに臨めるようになります。 - 適切な仕掛けの変更や場所移動を判断しやすい
「この時間帯は魚が浮きづらいから深く狙おう」とか、「ここで潮が変わるならポイントをずらそう」といった判断を、撒き餌の残量とリンクさせて考えやすくなります。使える撒き餌の余力と、自分の釣りたいイメージをすり合わせるのです。 - 撒き餌の無駄が減る
時間配分を意識することで、「気づけば撒き餌が余りまくっていた」「あと30分しかないのに半分以上残っている」という状況を避けやすくなります。その分コストの無駄を減らし、効率よく魚を寄せられます。
こういった時間配分の考え方は、私が横根で失敗した際にトーナメンターの方から教わったことの結晶でもあります。「釣りの終盤にまとめて使う撒き餌は、序盤に魚を寄せておけばもっと効果的だった」というのは、今でも忘れられません。同じ量の撒き餌でも、使う時間を間違えると効果はまったく違ってくるのです。
5. 釣り場・状況に応じた撒き餌の調整方法
フカセ釣りは、場所ごとに潮の流れや地形、魚の分布状況などが大きく異なります。そのため、時間配分と同じくらい大切なのが「釣り場や状況に応じた撒き餌の調整」です。一度に大量に撒くべきか、少量を小刻みに撒くべきか、あるいは配合剤をどの程度混ぜるべきかなど、判断材料はいくつもあります。
1. 潮が速い場所 → 多めに撒いて流れに乗せる
特徴
潮の流れが速い場所では、少量ずつ撒いてもすぐにポイントから流されてしまい、魚を留めることが難しくなります。
そこで、「ある程度まとまった量」を連続的に打ち込むことで、一部は流されても一部はポイント付近に残り、魚を寄せることが可能になります。
ポイント
無闇に大量に撒くのではなく、「このラインを流すとちょうど自分のツケエサが通る」というコースをイメージし、そのコース上で数回に分けて打ち込むのがコツ。
潮下側に流されることを想定し、ツケエサもやや上流側に投入して同調させていくと、魚に見切られるリスクが減ります。
2. 潮が緩い場所 → 少量を的確に撒く
特徴
波や潮の動きが穏やかな場所では、撒き餌を大きく拡散させにくい一方で、少しの量でもしっかりとポイントに溜まる傾向があります。
大量に撒きすぎると、魚が餌を食べきれないまま残り続け、かえってツケエサへの反応が悪くなったり、エサ取りが活発化してしまう恐れも。
ポイント
「狙いたいレンジ(層)」をしっかり把握し、そこに合わせて粘りのある配合剤をブレンドするなどして、撒き餌を団子状にまとめて投入すると狙いやすくなります。
私が磯でチヌを狙うときは、わざとやや沈下速度の遅い配合剤を使って、釣り座の足元から少し先の沈み根周辺に溜めるように撒くことがあります。潮が緩いときほど、ピンポイントに溜めやすくなるのです。
3. エサ取りが多い場合 → 粘りのある撒き餌や粒子を変更
特徴
夏場など水温が高いシーズンや、小型の魚が群れをなしている場所では、撒き餌を投入するとすぐにエサ取りが寄ってきて、本命のチヌやグレが落ち着いて口を使うタイミングを奪われやすいです。
私も、神子元島で回遊してきた小サバや木っ端グレに苦戦した経験があります。そのときは配合剤を変えたり、オキアミに集魚剤を追加したりして対処しました。
ポイント
粘りのある配合剤を使うと、撒き餌がまとまりやすく、海中で一気に拡散しにくくなります。 結果的にエサ取りの食い散らかしを減らし、底や中層にいる本命魚にアピールしやすくなります。
一方、超速攻性のある配合剤を混ぜて、小粒子で表層にいるエサ取りを引き付け、ツケエサをその下層で流すというテクニックもあります。あえてエサ取りを分離してしまうわけです。
4. 季節と海況に合わせた調整
冬場(水温が低い)
活性が下がりやすいので、魚が寄るペースも遅くなりがち。過剰に撒きすぎると満腹になってツケエサを見向きもしないケースがあります。時間をかけながら少しずつポイントを作るイメージです。
チヌやグレも、寒い時期ほど底付近にいることが多いので、少し重めの配合剤を使って底へ撒き餌を送りやすくする手も有効です。
夏場(高水温期)
エサ取りが多く、魚の活性が高いぶん、撒き餌も早いペースで使ってしまう可能性が大。ただし、やはり満腹になるのも早いので、まとまった量を打つときと、少量だけを打つときをメリハリつけると良いでしょう。
特にグレ狙いで表層に浮いてくる場合は、一気に寄せて一気に釣る戦法がハマることがあります。私も夏場にグレを狙った際は、朝の短い時合いで一気に撒いて数枚上げるスタイルでハマった思い出があります。
5. トーナメンターのアドバイス事例
「5m四方を自分の釣り座にする」
あるトーナメンターは、撒き餌を投げるコースを非常に限定的に管理していました。常に同じ場所、同じ軌道で撒き餌を投入し続けることで、魚の反応を把握しやすくするのです。
潮が変わったらその分だけ角度や投入地点を微調整し、常に自分の狙いのレンジに撒き餌が通るようにコントロールします。これを徹底するだけで、無駄な撒き餌の流出を防ぎ、本命を狙い撃ちできるとのことでした。
私自身も仁科の沖磯で再挑戦した際は、この手法を一部取り入れて、なるべく一定のコースに撒き餌を入れるよう意識しました。その結果、以前ほど「撒き餌がどこかへ流れていってしまう」不安が減り、魚が寄ってきたときの感覚を掴みやすくなりました。「ここに打てば、数秒後にはこのあたりをグレが泳いでくるはず」というイメージが持てると、釣りが一段と楽しくなります。
6. まとめ(撒き餌の量で釣果が決まる!)
フカセ釣りにおいて、撒き餌の量や配分、そして状況に合わせた調整がいかに重要か、ここまで詳しく説明してきました。最後にポイントを整理して、この記事を締めくくりたいと思います。
- チヌは比較的少なめ、グレは多めが基本
チヌは底での攻略がメインになるため、そこまで大量の撒き餌を要しないことが多いです。オキアミと配合剤を合わせて「寄せるポイント」を作り、足止め できれば十分に釣果を伸ばせます。
一方でグレは、特に表層〜中層を回遊する性質から、撒き餌の拡散力をフルに活かす必要があります。そのため、多めのオキアミ+複数袋の配合剤 というスタイルが標準的です。初心者の頃は多いと感じるかもしれませんが、実際にやってみるとその効果に驚くはずです。 - 釣り時間に応じた撒き餌の量と配分
「3時間・6時間・9時間」の釣行時間別に大まかな目安を示しましたが、最初の頃はこの目安をもとに準備をすると安心です。
撒き餌の配分は、朝イチ(開始〜1時間目)で20〜30%、中盤(2〜5時間目)で50%程度、終盤(ラスト1時間)で残りの10〜20% といった形で組み立てると良いでしょう。
私の失敗談のように、「最後に撒き餌が大量に余ってしまう」「朝イチで寄せきれずに時合いを逃す」などは初心者あるあるですが、計画的に配分していけば防げるようになります。 - 状況に応じた撒き方で釣果を伸ばす
潮の流れが速いか緩いか、エサ取りが多いか少ないか、季節はいつか、海底の地形はどうなっているか。これらの要素は撒き餌の投入方法に大きく影響します。
特に粘りのある配合剤や、拡散性の高い配合剤などを使い分けることで、思ったよりも釣果がガラリと変わる ことがあります。道具やテクニックだけでなく、「撒き餌の質を変える」というアプローチも楽しんでみてください。 - 時間配分の大切さを教わった横根での経験
私自身、南伊豆の横根で「撒き餌を使い切れず、途中で魚が寄らないまま時間だけが過ぎる」という痛恨の失敗を経験しました。
その後、フカセ釣りのトーナメンターの方に教えてもらったのは、「最初の時合いこそ肝心。ある程度しっかり撒いて、魚を寄せきること」、そして「時間帯ごとの残量をイメージしながら使っていくこと」 でした。
それを意識してからは、明らかに釣果が安定し、最終的に「余ってしまう撒き餌」も減り、コスト面でも無駄が少なくなりました。 - 実践してこそわかるフカセ釣りの奥深さ
ここまで読んでみて、「結局は状況次第なんだな」「正解はひとつじゃないんだな」と感じる方も多いでしょう。まさに、フカセ釣りの奥深さはその“現場対応力”にあると言っても過言ではありません。
どんなに理論を学んでも、実際に海に立って風を感じ、潮を見て、魚の反応を探りながら撒き餌を投入する時間は、何ものにも代えがたい貴重な体験です。
失敗を重ねるたびに、次はどうすればうまくいくかを考える。その繰り返しが、フカセ釣りの醍醐味でもあり、楽しみでもあると私は思っています。 - 最後に
「撒き餌の量で釣果が決まる」と言っても、言い過ぎではありません。 「足りないよりは多いほうがいい」と準備する人も多いですが、やみくもに持って行っても使い切れない可能性があります。
大切なのは、どのくらいのペース配分で使うか という設計です。6時間釣行なら6時間分、9時間釣行なら9時間分で細かく区切ってみると、意外と無理なく使いこなせるようになります。
ぜひ皆さんも自分の釣行スタイルに合わせた撒き餌プランを立ててみてください。そうすると、釣りそのものがさらに楽しく、そして結果的に「狙った魚をしっかり釣れる」ようになっていくはずです。
【あとがき】
今回の記事を書き終えて、改めてフカセ釣りの奥深さを実感しました。特に、「撒き餌の量と時間配分」がこれほどまでに釣果を左右し、しかも状況に応じて変化させる必要があるという点は、私自身が何度も失敗を重ねて学んできたことです。この記事ではその学びを整理し、初心者から中級者の方に向けて分かりやすくまとめるつもりで執筆しましたが、振り返ってみるとまだまだ語り足りない部分があるくらい、フカセ釣りは魅力と奥行きに満ちていると感じます。個人的に強調したいのは「朝イチの寄せ方」と「配分のイメージづくり」で、これらは私が最も苦手だった分野でもあり、同じ失敗を繰り返さないよう強く意識してきたポイントです。
さて、ここからはこの記事を執筆するに至った経緯や、裏側で思い出していたエピソードを少し詳しくお話ししましょう。記事でも触れたように、執筆のきっかけのひとつは、会社の後輩から「フカセ釣りで西伊豆に行こうと思うのですが、どれくらい撒き餌を持っていけばいいですか?」と相談されたことでした。その後輩はフカセ釣り初心者で、「配合剤は1袋だけでいいのか、多めに2袋買っておくべきか、それとももっと?」と真剣に悩んでいたんです。私も最初は同じことで頭を抱えたなあ、なんて昔を思い出しながらアドバイスをしているうちに、「そういえば、自分が書いたフカセ釣りの雑感や、撒き餌の目安に関するノートがあるな」と思い出しまして。それをまとめて記事化すれば、後輩だけでなく、同じように悩む方々にも役立つかもしれないと感じたのが最初のスタートでした。
その後、執筆中に特に鮮明に思い出したのが、横根や大根でエサをケチって失敗した話です。私がまだフカセ釣りを本格的に始めたばかりの頃、南伊豆の横根へ意気揚々と渡礁したものの、朝イチに撒き餌を出し渋りしてしまい、まさかのボウズに近い結果で帰ってきたことがあります。その日は波も穏やかで条件は悪くなかったのに、最初に「撒き餌をもったいない」と思い込んで少ししか使わなかったために、時合いをものの見事にスルーしてしまいました。気づいたときには魚の姿すら見えず、後半になって残っていた撒き餌を一気に投下しても遅い。思い返せば、フカセ釣りは“魚に寄ってもらう”ためのプロセスがすべてで、朝イチの勢いと魚の活性をしっかり捉えないことにはスタートラインにすら立てなかったのです。
あまりに悔しかったので、後日、地元の釣具店に顔を出して、フカセ釣りのトーナメンターでもあるプロスタッフに相談しました。すると、「時間配分を考えずに撒き餌をケチってしまうのは新人あるある。最初に魚を寄せきるかどうかで、その日の釣果は8割方決まるし、最終的に余らせないためにも最初から投資する感覚が大事なんだよ」と言われました。その言葉が私の中で強く響き、「そうか、撒き餌は“回収できない投資”みたいなものなんだ。出すべきタイミングで思い切って出さないと、あとからいくら出しても取り返せないんだな」と、まさに目からウロコが落ちる思いでした。
そして、もうひとつ印象的だったのが、後悔した経験をバネに「朝一は結構撒くとグレが釣れるようになった」という成功体験です。それもまた横根でのこと。前回の失敗を踏まえて、朝イチこそ思い切り撒くことを意識したんです。すると、今まで散漫だった魚の反応が全然違うんですよね。最初の1時間で撒き餌の3割くらいを使い切る勢いでバラ撒いた結果、海面にグレが浮いてきて明確に水面をもじるのが見えて、一気にテンションが上がりました。結局、これが功を奏して30センチクラスのグレを複数枚仕留めることができ、「やっぱり最初の打ち込みを惜しんではいけないんだな」と再認識しました。これをきっかけに、時間配分の大切さと、朝イチの集中投下がどれほど効果的かを身をもって学ぶこととなり、その後はいろんな磯での釣果が安定したように思います。
また、釣り仲間や釣り場で出会った方々との会話の中でも、撒き餌の最初の打ち込みや配分の話題は必ずといっていいほど登場しました。ある大会常連の方なんかは、「開始から30分のうちに、どれだけ自分の周囲を“餌の海”にできるかが勝負。チヌでもグレでも、結局は魚に自分のポイントを“美味しそう”だと思わせることがすべてだからね」と力説されていましたね。そういう生の声を聞けば聞くほど、フカセ釣りは撒き餌の芸術でもあるなと感じざるをえません。そしてそうした積み重ねが、この記事で紹介した「3時間・6時間・9時間」の撒き餌配分の目安や、チヌとグレでの必要量の違いについての理解につながっているわけです。
今回の記事で詳しくお伝えしたいのは、何も「とにかく大量に持っていけばいい」という話ではなく、“使いどころ”を考慮したうえで必要量を用意することが大切、という点です。私自身、横根や大根での痛い失敗を経て、「全部で何kg持っていくか」と同時に「どのタイミングでどれくらい放出するのか」をセットで考えるようになりました。そうすることで撒き餌の無駄も減り、余ったときに慌てて大量にぶちまけて失速するなんてことも減ったのです。「準備した量を、どう分配して使いきるか」――これこそがフカセ釣りの勝負どころだと、今は胸を張って言えます。
以上のようなエピソードや経験談が土台となって、今回のブログ記事は完成しました。もしこの記事を読んでくださった方が、ちょうど「どれだけ撒き餌を持っていけばいいんだろう?」「朝イチの配分をもうちょっと具体的に知りたい」と悩んでいるなら、私の失敗と成功の両方を、ぜひ反面教師と参考例にしていただければ幸いです。
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