「釣り場まで来たのに、餌を忘れた」。長く釣りをしていても、こういう日はあります。釣具店が開いていない時間でも、近くにコンビニがあれば釣りを続けられるかもしれません。
選ぶ目安は、コイなら食パン、チヌならコーン、海の底物を試すならイカ類です。魚肉ソーセージやちくわも代用品になりますが、食品ごとに針持ちや向く釣り方が違います。まずは狙う魚に合わせて一つ選びましょう。
ただし、コンビニ食品なら何でもよいわけではありません。柔らかすぎて針から落ちるもの、油やタレが多いもの、狙う魚に合わないものもあります。釣り歴33年の経験も交えながら、候補になる7種類と付け方、失敗しやすい点をまとめます。
迷ったときの選び方
- 足元で手軽に試す:魚肉ソーセージ・ちくわ
- 餌持ち重視:さきいか・スルメ
- コイ:食パン・コーン
- チヌ:コーン
- 加熱した鶏肉:ほかに餌がないときの試行用
釣り餌として使えるコンビニの代用品7選
代用餌を選ぶときは、匂いの強さだけでなく、魚の口に入る大きさと針持ちを見ます。濃い味付けよりも、できるだけプレーンな食品を選ぶのが基本です。
1. 魚肉ソーセージ
魚肉ソーセージのよさは、指で小さくでき、足元の釣りで試しやすいことです。魚のすり身を使った食品ですが、それだけでどんな魚も寄るとはいえません。ハゼやカサゴなどを狙う際の代用候補として、まず短い距離で針に残るか確かめます。取り扱いは店舗によって異なります。
使い方:小物狙いは5mm角以下を目安に、針の大きさに合わせて切ります。包装フィルムはすべて外し、身の中心寄りへ針を通してください。ウィンナーのような食べられる皮を利用する付け方はできません。何度も刺すと身が割れるので、崩れる場合は小さくするか、餌巻き糸で軽く固定します。
弱点:かなり柔らかく、遠投や小魚のついばみには弱いです。アタリがあるのに針へ掛からないときは、餌が大きすぎるか、針先が隠れすぎていないか確認します。塩をまぶせば必ず硬くなるわけではありません。まずは小さく付け、強く振り切らずに投入するほうが手早いです。
実釣で感じること:餌だけ取られることも少なくありません。ただ、回収した針が空でも、魚が食べたとは限りません。投入直後に一度回収し、身が残るかを見れば、投げたときに外れているのか切り分けやすくなります。餌の評価は、まず針に残せてからです。
2. ハム・ウィンナー
ハムやウィンナーは、動物性の餌を食べる魚に試す候補です。特に食べられる皮付きのウィンナーは、皮へ針を通せるのが利点。ただし、皮なしの商品もあり、魚肉ソーセージより必ず丈夫とは限りません。
使い方:ウィンナーは5mm〜1cmの輪切りにし、皮を残して針を縫うように通します。ハムは細長く切って折りたたみ、2〜3か所を刺します。薄いハムは刺した穴から裂けるため、折り重ねても外れるなら別の食品へ替えます。
選び方:辛味、ニンニク、濃いタレが付いた商品は避け、プレーンタイプを選びます。魚が食べる可能性はありますが、専用餌ほど安定するとは限りません。ウィンナーで一匹釣れても、その後ぱったりということは普通にあります。
なお、食べる分は餌にする前に取り分けておきます。針や釣り場の水に触れたものを口へ戻すのはやめてください。私は釣れない時間が長いと、餌より先に自分が食べてしまうことがあります。
3. フライドチキン・焼き鳥
フライドチキンや焼き鳥は、ほかに餌がないときの試行用と考えます。生の鶏肉を使う釣りと、油や調味料を含む加熱済みの食品は同じ条件ではありません。夜の底釣りでも、匂いが強いという理由だけで優先する必要はないです。
使い方:骨なしを選び、衣や濃いタレをできるだけ外して、身を1cm前後に切ります。繊維を横切るように針を通し、投げるならエサ巻き糸で固定します。焼き鳥はタレの少ないものを選び、裂けにくい身を使います。串は先に抜いて袋へしまいます。
使い方:骨なしを選び、衣や濃いタレをできるだけ外して、身を1cm前後に切ります。繊維を横切るように針を通し、投げるなら餌巻き糸で固定します。焼き鳥はタレの少ないものを選び、裂けにくい身を使います。串は先に抜いて袋へしまいます。
⚠ 注意:油で手が滑る状態で餌付けしないでください。ペーパーで油を軽く拭き、指先を針の進行方向へ置かないようにしてください。水面へ油や衣を捨てず、余りは袋へ戻して持ち帰ります。
4. さきいか(スルメ・塩辛)
餌持ちを優先するなら、さきいかやスルメが有力です。イカの匂いがあり、繊維が針へ絡むため、小魚につつかれても残りやすいのが強み。まずはアナゴやカサゴなど、海の底物を狙う代用候補にします。生のイカと同じ食い込みになるとは限らず、タコ狙いなら専用の仕掛けも必要です。
使い方:乾いたスルメは、少量を容器の水に浸し、針が通る硬さまで戻します。柔らかいさきいかはそのまま使えるものもあります。小型の魚には細く短く裂き、大きめの餌を使う場合も2〜5cmほどを目安に針へ縫い刺しにします。長すぎると端だけを引っ張られるので、針先から出す部分は短めが基本です。
塩辛も試せる代用品ですが、身の硬さは商品によって違います。まず身を一切れ取り、針へ付けてみてください。柔らかくて抜ける場合は餌巻き糸で補助します。汁漏れすると車内が大変なことになるので、蓋付き容器と二重袋を用意してください。
実釣で感じること:アメリカナマズのように匂いへよく反応する魚には、塩辛が効く場面があります。強烈な匂いと引き換えに、手袋、密閉容器、釣行後の道具洗浄が必要です。
5. 食パン・ロールパン
食パンは、特にコイ狙いで実績のある代用餌です。水面のパンへ反応するコイがいれば、食う瞬間を見ながら狙えます。フナなどの小物に試す場合は、白い部分を小さく練って使います。パンの耳は白い部分より弾力があり、針に残りやすいです。
使い方:白い部分は指でよく練り、針を包むように小さな団子にします。浮かせる場合は耳を1cm角ほどに切り、角へ浅く針を掛けます。撒き餌が認められた場所でも、反応を見るための少量にとどめます。食べ残しを増やす必要はありません。
初心者への注意:パンは水を吸うとすぐ崩れます。仕掛けを入れたまま長く待たず、数分ごとに餌が付いているか確認します。クリームやチョコレートが入った菓子パンではなく、味付けの少ない食パンやロールパンを選んでください。
子どもとパンを浮かべてコイを待つと、水面が割れた瞬間に歓声が上がります。ただ、コイがパンに近づいただけで竿を上げると空振りします。口に入るところまで見て待つ。釣果だけでなく、食うところを一緒に観察できるのがパン餌の面白さです。
浮かせたパンが糸に引かれると、不自然に動いて見切られることがあります。Honda釣り倶楽部のパンコイ解説でも、パンを自然に流すための調整が紹介されています。餌を増やす前に、道糸がパンを引っ張っていないか見てください。
6. 缶詰コーン
コーンはコイやチヌのくわせ餌として選びやすい食品です。小さなフナに粒を丸ごと付けると大きすぎることがあり、ヘラブナ用の練り餌と同じ感覚では使えません。海ではオキアミをすぐ取られる状況でも、コーンだけ残ることがあり、餌取り対策として役立つ場合があります。
使い方:プレーンなコーンの汁を容器内で切り、まず1粒から付けます。大きい針でチヌなどを狙う場合は、2〜3粒へ増やす付け方もあります。粒の中心ではなく、皮のやや硬い部分へ針を通すと外れにくくなります。最後の一粒で針先を隠しすぎると掛かりが悪くなるので、針先はわずかに出します。
実釣で感じること:チヌのフカセ釣りで餌取りが多い日に、半信半疑でコーンを入れたところ、数投後にチヌが食ってきたことがあります。いつでも効く万能餌ではありませんが、オキアミが底まで届かない日の手札として覚えておくと助かります。
釣り餌メーカーにもくわせ用のコーン製品があります。ただし、専用餌は成分や仕上げが調整されており、食品のコーン缶と性能が同じという意味ではありません。食品を使うときも、粒が割れずに針へ残るかを確かめます。
7. ちくわ
ちくわは魚のすり身で作られ、焼き目のある外側を残して刺せるのが利点です。ハゼや小型のカサゴを足元で試すときは、口に入るよう細かくします。アジのサビキ釣りで使うアミエビを、そのまま置き換えられる餌ではありません。
使い方:5mm幅の輪切りにしてから、さらに魚の口に合わせて小さくします。表面の皮を残して針を通すと、白い身だけを刺すより外れにくくなります。遠投には向きませんが、足元や短い距離のウキ釣りなら十分使えます。
柔らかくて針へ付けやすいため、子どもが自分で餌付けを覚える練習にも向いています。⚠ 注意:子どもの餌付けには大人が付き添ってください。コイなど大きい魚が掛かる釣りでは、竿を持ったまま水際へ引かれないよう、大人がすぐ支えられる位置で行います。
虫餌に触れにくい子どもでも扱いやすい食品ですが、針先から指を離して付ける練習は必要です。⚠ 注意:子どもの餌付けには大人が付き添ってください。コイなど大きい魚が掛かる釣りでは、竿を持ったまま水際へ引かれないよう、大人がすぐ支えられる位置で行います。
魚種別に選ぶコンビニ餌
| 狙う魚 | 試しやすい代用餌 | 使い方のポイント |
|---|---|---|
| コイ | パン、コーン | パンは浮かせ、コーンは底へ |
| 小型のフナ | 小さく練ったパン | 針先へ米粒より小さく付ける |
| ナマズなどの底釣り | 魚肉ソーセージ、イカ類(試行用) | 底へ入れ、餌巻き糸で固定する |
| ハゼ・根魚 | ちくわ、イカ類、魚肉ソーセージ | 口に合わせて細く小さくする |
| チヌ | コーン | 餌取りが多い日のローテーションに加える |
同じ魚でも、その日の活性や普段食べているものによって反応は変わります。代用品を一種類だけ投げ続けるより、反応がなければ大きさや付け方を変え、それでも駄目なら別の食品へ替えるほうが現実的です。
コンビニ餌を針から外れにくくするコツ
柔らかい餌は小さくし、針へ縫い刺しする
初心者が失敗しやすいのは、魚に目立たせようとして餌を大きく付けすぎることです。大きな塊は投げた衝撃で外れやすく、魚が端だけをくわえても針まで届きません。まずは針の幅と同じくらいまで小さくするのが基本です。
外れやすさに合わせて付け方を変える
- 小さくする:針の曲がりを大きな塊で埋めない
- 汁気を取る:ペーパーで表面を押さえ、手元で滑りにくくする
- 餌巻き糸:柔らかい餌を軽く固定する。締めつけて切らず、針先は出す
- 皮を残す:ウィンナーやちくわは、硬い外側へ針を通す
- 投入直後から空の針になる:小さく付け直し、足元へ静かに落として確認する。
- 端だけ欠けて針掛かりしない:針先から垂れる部分を短くする。
- 形が残り、アタリもない:底へ届いているか、魚のいる位置へ入っているかを確認する。
プレーンな食品を選ぶ
唐辛子、濃いタレ、大量のニンニク、甘いクリームが付いたものは避けます。魚が絶対に嫌うとは言い切れませんが、手が汚れ、餌持ちが悪くなり、水面へ余分な油や調味料を落とす原因になります。
使用時の注意
- 釣り場ごとの餌・撒き餌・持ち帰りルールを確認する
- 食品を大量に撒かない。缶の汁や塩辛の汁も水辺へ捨てない
- 余った餌、串、缶、袋、糸は必ず持ち帰る
- 開封した食品は保冷し、食べる分と餌にする分を分ける
- 油や塩分が付いた針や道具は、帰宅後に真水で洗う
コンビニ餌は、あくまで餌を忘れたときや急な釣行を助ける選択肢です。専用餌より釣果が安定するとは限りません。それでも、魚の口に合わせて小さくし、針へきちんと残せば、何もせず帰るはずだった一日を楽しめる可能性があります。
まとめ:魚種と餌持ちで選べばコンビニ食品も使える
コンビニ食品(セブン)のなかには、釣り餌の代用品として使えるものがあります。コイにはパン、チヌにはコーン、海の底物にはイカ類を目安に、狙う魚から選ぶと迷いません。
大切なのは、強い匂いの商品を選ぶことより、狙う魚の口へ入る大きさにし、針から外れないよう付けることです。代用餌だからこそ、一投ごとに餌が残っているか確認してください。
餌を忘れた日は少し落ち込みますが、身近な食品で工夫するのも釣りの面白さです。ゴミと余った餌をきちんと持ち帰り、釣り場を汚さない範囲で試してみてください。
あとがき
チヌのフカセ釣りでコーンを使い、数投後に食ってきたことは、今でも餌を選ぶときに思い出します。オキアミを取られる時間が続くと、針に何も付いていない仕掛けを流しているようで落ち着きません。かといって、普段使っている餌を外すのも少し不安です。黄色いコーン一粒を見て、これをチヌが食うのかと半信半疑になる。自分で付け替えておきながら、気持ちの中ではまだオキアミを頼りにしているようなところがありました。
それで実際に釣れると、今度はコーンを必要以上に信用したくなります。釣り人は勝手なもので、ついさっきまで疑っていた餌が、一匹で急に頼もしく見えるんですよね。ただ、その一匹がコーンの味を好んだのか、オキアミより残りやすかったからなのかは、釣れたという結果だけでは分かりません。ちょうどチヌが餌を拾い始める時間と重なったことも考えられます。そこまで言い切れる記録は残っていないので、今なら「そのときの選択肢として役に立った」と受け止めます。
この違いは、記事を書くときにも気になります。「コーンでチヌが釣れた」は自分の経験ですが、「オキアミよりコーンのほうが釣れる」と書くと、話がずいぶん大きくなります。読んだ人がコーンだけ持って出掛け、釣れずに困ることもあるでしょう。反対に、条件を付けすぎて何を勧めたいのか分からない文章にもしたくありません。だから、食われるまで餌を残したいときに試す、という使いどころまで伝えるほうが、自分の経験を無理なく渡せると思っています。
魚肉ソーセージも、同じように考えたい餌です。魚に取られたと思っていても、柔らかい身が投げたときに飛んでいたら、魚の好みを比べたことにはなりません。釣れない時間はどうしても水中のことばかり想像しますが、針へ付けた時点で形が崩れていないかという、手元の問題もあります。長く釣りをしているから全部見抜けるということではなく、経験がある分だけ原因を早合点してしまうこともある。こういう身近な食品を使う話ほど、その点を忘れないようにしたいです。
それと、コンビニで餌を選ぶときには、人間が食べたいものに目が向きます。元の記事にも書きましたが、釣れない時間が長いと、餌より先に自分が食べてしまうことがあります。ウィンナーもパンも、釣りに使うためだけの商品ではないので、その気軽さは好きです。ただ、食べる分を最初に取り分けておけば、針や水に触れたものと混ざりません。全部を餌箱へ入れる必要もなく、少量を試して、残りを無駄にしない使い方ができます。
次にコーンを試すときは、釣れた一投だけでなく、その前にどんな状態で餌が戻ったかも見ておきたいと思っています。粒がつぶれたのか、きれいに残ったのか。オキアミへ戻したときにも反応があったのか。そういう小さな違いが分かれば、次の釣りで選びやすくなります。一匹釣れた喜びと、釣れた理由を決めることは分けて考える。半信半疑で付けたコーンを振り返ると、私がもう少し丁寧に見たいのは、そこです。







