フカセ釣りでメインとなるエサは、やはりオキアミではないでしょうか。チヌはもちろん、グレや真鯛なども狙え、まず用意しておきたいエサです。
ただ、オキアミだけでは、エサ取りに先に食べられてしまう日もあります。反対に、エサ取りを避けようとコーンに替えたものの、今度は何の反応もなくなることもあります。
チヌ釣りのエサ選びは、オキアミを基本に、練りエサやコーン、サナギを使い分けると考えると分かりやすいでしょう。季節を目安に準備し、釣り場では回収したエサの状態から次の一手を決めます。
ここでは、ハリに付けるサシエを中心に、春夏秋冬の選び方とローテーションの考え方を見ていきましょう。
チヌ釣りのエサは季節とエサ取りで選ぶ
最初からすべてのエサをそろえる必要はありません。迷ったらオキアミと練りエサを用意し、エサ取りの多い時期にはコーンやサナギを加えると、違いを試しやすくなります。
| 季節 | まず試すエサ | 使い分けの目安 |
|---|---|---|
| 春 | オキアミ、むきエビ、練りエサ | 食い込みとエサの残り方を見る |
| 夏 | オキアミ、練りエサ、コーン | 狙うタナまでエサを残す |
| 秋 | オキアミ、サナギ、コーン、練りエサ | エサ取りの変化に合わせて戻す |
| 冬 | オキアミ、小さく付けた練りエサ | エサの種類とタナを分けて考える |
同じ春でも、地域や水温によって乗っ込みの進み方は違います。冬でもエサ取りが多い釣り場はあるため、「この季節ならこのエサだけ」と決めないことが大切です。
春のエサ|オキアミを軸に食い込みを見る
乗っ込みを狙う春は、オキアミやむきエビから試しやすい時期です。エサ取りが少なければ、柔らかいサシエを狙うタナまで届けやすくなります。アオイソメやゴカイなどの虫エサも選択肢です。
ただし、産卵前だから必ず柔らかいエサしか食べない、ということではありません。コーンや練りエサにも反応するため、オキアミが残り続けるなら別のエサも試してみましょう。
私は春の波静かな堤防で、底付近を流してもオキアミが丸ごと戻る時間がありました。練りエサへ替えてみても、そのまま戻ってきます。エサの好みが違うと考えていましたが、それだけでは説明できませんでした。
そこで底を取り直し、サシエを流す位置を少しずつ変えました。オキアミに戻して流していると、ウキがゆっくり押さえられ、チヌを掛けることができました。私には、エサを替えることに気を取られて、魚が食える場所へ届いているかを見落としていた釣りでした。
春にエサが残るときは、サシエの変更と一緒に、タナや流す筋も見直してみましょう。
夏のエサ|コーンや練りエサで本命まで届ける
夏はチヌの反応だけでなく、エサ取りの勢いも気になる時期です。オキアミがすぐになくなるなら、コーンやエサ持ちのよい練りエサを試してみましょう。
私は夏の堤防で、撒きエサを入れると足元に小魚が集まり、仕掛けがなじむ前にオキアミを取られたことがあります。コーンに替えると、今度はハリに残って戻るようになりました。ただ、それでチヌがすぐに釣れたわけではありません。
足元に集まった小魚と仕掛けを離すように投入位置を変え、底付近まで流せるかを確かめました。その時間は本命のアタリを出せませんでしたが、少なくともサシエが残る状態で探れるようにはなりました。エサが残ったことと、チヌが食ったことは別として見るようにしています。
夏のエサ替えは、まず「チヌのいるタナまでサシエを残す」ために行います。コーンやサナギも他の魚に食べられるので、チヌ専用のエサと思い込まない方がよいでしょう。
カニや貝、スイカも食べるが、釣り方を合わせる
チヌはカニやイガイなどの貝類も食べ、スイカを使った釣りもあります。カメノテやフジツボなど、岸際に付着する生き物も食性の幅を考えるうえで興味深いところです。
ただ、これらをフカセ釣りのオキアミと同じ感覚で全部使えるわけではありません。カニやイガイは落とし込みなどでも使われ、スイカにはそれに合わせた釣り方があります。フカセ釣りを始めるなら、まずオキアミ、練りエサ、コーンの違いを覚える方が実用的でしょう。
なお、文部科学省のスイートコーンの食品成分データは食品としての成分を示すものです。「オキアミとアミノ酸の配列が似ているからチヌが好む」という説明とは分けて考える必要があります。
秋のエサ|サナギとコーンに頼り切らない
秋はチヌの活発な食いを期待する一方、エサ取りも多い時期です。サナギ、コーン、練りエサを用意しておくと、オキアミが持たない場面に対応しやすくなります。
おすすめの激荒は、撒きエサに混ぜるだけでなく、サシエを拾える点が便利です。ニュー活さなぎミンチ激荒には、サシエに使える粒状のサナギとカットコーンが入っています。混ぜる前に、ハリに付けやすいものを少量取り分けておくとよいでしょう。
ただし、エサ取りが多いからといって、撒く量まで一度に増やす必要はありません。まずは今の撒きエサにどんな反応が出ているかを見ます。
私は秋の釣りで、朝はオキアミが持たず、サナギを中心に流していたことがあります。ところが途中からサナギがほとんど触られなくなり、試しにオキアミへ戻すと、それも残ってきました。
朝の状態のまま「オキアミは使えない」と決めていたのですが、海の中の反応は変わっていたようです。その後もオキアミを交ぜながら流し、ウキが入り込むアタリでチヌを掛けました。エサ替えだけが理由とは言えませんが、戻してみなければその反応は拾えませんでした。
サナギやコーンでエサ取りを避けながら、ときどきオキアミへ戻して変化を確かめましょう。
冬のエサ|小さく食べやすく、タナも丁寧に
冬はオキアミと、小さく付けた練りエサを軸に、反応を丁寧に見ていきたい時期です。低水温だからと大きなエサを長く置き続けるより、ハリとのバランスを整えて流します。
まだエサ取りが動いているなら、練りエサで持たせながらオキアミとローテーションします。活きたアオイソメなど、動きのある虫エサを試す方法もありますが、動かせば必ず食うというものではありません。
冬にエサが残り続けると、柔らかさばかり気になることがあります。しかし、魚がいる層へ届いていなければ、エサを替えても反応は出ません。エサの大きさを整えたら、次は底付近を落ち着いて流せているかを確認します。
柔らかいエサも、途中で外れてしまっては使い物になりません。食い込みとハリ持ちの両方を見て調整しましょう。
一年を通して基本になるオキアミ
オキアミはチヌのフカセ釣りで使いやすく、サシエにも撒きエサにも利用できるエサです。チヌ以外にグレや真鯛も口にする一方、エサ取りにも食べられやすいという特徴があります。
使いやすさを生かすには、ハリの大きさに合う身を選び、崩さずに刺すことから始めましょう。尾羽を取り、尾側から身の中心に沿ってハリを通す付け方なら、形を整えやすくなります。
身の表面だけを浅く拾うと、投入時に外れやすくなります。反対に、無理に大きなハリへ押し込むと身が裂けます。回収するたびに、エサだけでなくハリ先やハリスの状態も見るとよいでしょう。
オキアミがなくなったときは、魚に取られた場合と、投入時に外れた場合を分けて考えます。近くへ軽く入れて短時間で回収するなど、まず付け方を確かめると判断しやすくなります。
年中使える練りエサ|柔らかさより先にハリ持ちを確認
練りエサのよさは、大きさ、形、硬さを調整できることです。同じ一袋でも、エサ取りを避けたいときと、食い込みを見たいときでは付け方を変えられます。
遠投やエサ取り対策では、まとまりを優先する
遠投するときは丸くまとめ、振り込んでも外れない状態にします。ただ小さくすればよいわけではなく、エサ取りが多ければ狙うタナまで残る量も必要です。
大きく付けたらウキが沈みすぎる場合は、サシエの重さが仕掛けへ与える影響も見直します。エサを替えた前後で、ウキのなじみ方がどう変わったかを見ておきましょう。
柔らかくするときは、一回分ずつ試す
私は練りエサを柔らかくしようと、水を足しすぎたことがあります。指では付けやすくなったのですが、沖へ入れて回収するとハリが空でした。近くへ軽く入れたものは残ったため、魚に取られたと決めず、投入に耐えるまとまりが足りないと考えました。
手を加えていない分から付け直すと、同じように振り込んでも残るようになりました。以来、調整は一回分ずつにしています。一袋全部を柔らかくしてしまうと、その日の釣り方に合わなかったときに困ります。
練りエサは「柔らかいほどよい」ではなく、狙う場所まで残る範囲で調整するのが基本です。製品によってはそのまま使え、手水を加えて練ることで粘りが出るものもあります。加水や練り方は製品の説明に合わせましょう。
形を少し平たくして沈み方を変える方法もありますが、流れに押されて狙うタナへ入りにくくなっていないかを確認します。形の使い分けは、マルキユーのエサの付け方も参考になります。
また、ハリを飲まれたことだけで、違和感なく食ったと断定はできません。アタリを捉えるタイミングも関わるため、飲ませることを目標にせず、ウキや道糸の変化から合わせどころを探しましょう。
エサのローテーションは、回収した状態から決める
サシエを替える順番に、決まった正解はありません。私は「なくなる」「そのまま残る」「一部が崩れる」を見て、次に何を試すか考えます。
使い分けの目安
- すぐになくなる:付け方を確認し、コーンやハリ持ちのよい練りエサを試す。
- そのまま残る:タナと流す位置を見直し、オキアミへ戻すかエサを小さくする。
- 一部が崩れる:魚の接触だけでなく、底への接触や練りエサの溶けも考え、ウキの変化と合わせて見る。
エサ、タナ、投入位置を一度に変えると、何が反応につながったのか分かりにくくなります。まず一つを変え、回収した状態を比べると、その日の傾向がつかみやすくなります。
まとめ
チヌ釣りでは、オキアミを基本にしながら、季節とエサ取りに合わせて練りエサ、コーン、サナギなどを使い分けます。
サナギで釣ったチヌをさばくと、腹の中にもサナギが目立つことがあります。コーンやオキアミでも似たことがあり、食べているエサに偏りを感じる場面です。ただ、それだけでほかのエサを食べないとまでは言えないでしょう。
持っていくエサは季節で選び、使い続けるエサは目の前の反応で選ぶ。まずはオキアミと性質の違うサシエを一つ用意して、残り方を比べてみてはいかがでしょうか。
あとがき
エサ箱に何種類も並んでいると、それだけで少し安心するところがあります。私も以前は、釣れない時間に備えて種類を増やしていました。オキアミでだめならコーン、その次はサナギ、さらに練りエサ。替えられるものが手元にあると、まだ何かできるような気がしたのです。
ところが、帰りに振り返ると、どのエサがどうだったかをうまく思い出せない日がありました。何種類も試したことは覚えているのに、いつからオキアミが残ったのか、練りエサはどのくらいの大きさだったのかが曖昧なのです。釣れなかった理由を考えるつもりが、使ったエサの名前を並べるだけになっていました。
特に覚えているのは、静かな堤防で、ウキにほとんど変化が出なかった日のことです。最初はオキアミを付けていたのですが、残ってくるのでコーンに替えました。それも残るので練りエサに替え、待ちきれずに流す場所も変えました。最後にはウキ下まで触り、何を比べているのか自分でも分からなくなっていました。
その日は、エサを交換する手だけはよく動いていたと思います。何もせず待つのが落ち着かず、変えることで釣りを進めているつもりになっていたのでしょう。けれど、ウキが静かな時間にこそ見ておくべきことは、手元のエサ箱以外にもあったはずです。
片付けながら、初めのオキアミをもう少し丁寧に見ておけばよかったと感じました。丸ごと残っていたのか、頭だけ落ちていたのか。仕掛けが十分になじむ前に回収していなかったか。そこを覚えていれば、次の釣りに持ち帰れるものが少し違った気がします。魚がいなかったのか、釣り方が合わなかったのかは、結局分からないままでした。
それからは、替える前の一投を覚えておくようになりました。細かな記録を毎回付けているわけではありません。ただ、ハリからエサを外す前に一度見て、次は何を確かめたいのかを考えます。今日は持ちを見たいのか、食い込みを見たいのか。それが一つ決まるだけでも、エサを選ぶときの迷いは少なくなりました。
もちろん、考えたとおりに釣れるわけではありません。コーンを残せるようになっても最後までアタリが出ない日もありますし、しばらく使っていなかったオキアミに戻したところで反応が出ることもあります。そういうとき、さっきまでの判断は何だったのだろうと思います。それでも、前の状態を覚えていれば、少なくとも変化したことには気付けます。
一匹釣れると、そのエサをずっと使いたくなる気持ちもあります。私も、釣れた直後は同じ付け方をできるだけ再現しようとします。ただ、時間がたって反応がなくなっても、その一匹に引っ張られすぎないようにしたいところです。釣れたときのエサには意味がありますが、その後も同じ条件が続くとは限りません。
私にとってエサの種類は、答えを増やすものというより、海の中を確かめる手段になってきました。次の釣行でも、まずは目の前の一投をよく見たいと思います。使い切れないほどのエサを並べるより、持ってきたエサがどう戻ってきたかを覚えて帰る。その小さな積み重ねを、次に同じような場面に出会ったときに使えたらよいのではないでしょうか。





