チヌパワームギスペシャルは、麦やコーンの粒でアピールしながら、マキエを狙った場所へ届けたいときに候補になる配合エサです。マルキユーの製品で、ほかの粉エサを足さず、オキアミと海水を混ぜる使い方もできます。
私が気に入っているのは、配合する種類を増やさなくても、まず一つのエサで水加減と打ち方を考えられるところ。西伊豆の堤防で45cmのチヌを釣ったときも、エサの銘柄だけでなく、仕上がりと仕掛けの動かし方を見直したことが印象に残っています。
ここでは、製品の特徴、基本の作り方、ブレンドを足す判断、反応がないときに私が見直す順番をまとめます。
チヌパワームギスペシャルの特徴と選びどころ
5種類の麦と大粒コーンを生かす配合エサ
特徴は、色・大きさ・形の違う5種類の麦と大粒コーンです。それぞれ沈み方に違いがあり、粒の動きでチヌにアピールする設計になっています。内容量は1袋3,500g。フカセ釣りのベースにも、ほかの配合エサへ混ぜる用途にも使えます。
MP酵母に加え、濃縮したさなぎエキスを使った「チヌにこれだ!!」も配合されています。原材料を自分で何種類もそろえる手間を省けるのは、市販の配合エサを使うよさですね。詳しい製品情報はマルキユーのチヌパワームギスペシャルでも紹介されています。
上の写真は黄色い麦の粒です。粒の色は目につきますが、海へ入れば水色や光の入り方で見え方は変わります。麦が目立つことと、つけエサに食わせられることは分けて考えるのが私の使い方です。
濁りだけに頼らず、粒を届けたいときに使う
特性グラフでは、遠投性や集魚力に特徴があり、濁りは比較的控えめです。ただ、グラフは製品の性質をつかむ目安。練り方や水分量が変われば、実際のまとまり方も変わります。
私は、白い濁りを大きく出すより、打つ位置を決めて粒を送り込みたいときに使いやすいと感じています。一方、濁りを目で追って潮をつかみたいときは、これだけでは見づらいこともあります。そこを補うのがブレンドです。
また、麦やコーンが沈むからといって、打った真下の底にすべて残るわけではありません。潮に運ばれることを見込み、つけエサを通す場所とマキエを打つ場所を考えます。
基本の配合と、水を入れすぎない作り方
オキアミ3kg・1袋・海水900ccが目安
メーカーの単品使用例は、次の組み合わせです。「単品」は、粉エサをムギスペシャル1種類で組むという意味で、袋の中身だけを撒く使い方ではありません。
| 材料 | 単品使用の目安 |
|---|---|
| オキアミ | 3kg |
| チヌパワームギスペシャル | 1袋(3,500g) |
| 海水 | 900cc(仕上がりを見て調整) |
作り方はメーカーの使用例にも載っています。900ccを基準にしつつ、オキアミの水分と仕上がりを見て少量ずつ調整すると、入れすぎを防ぎやすくなります。
混ぜむらをなくしてから、ヒシャクで試す
- ほぐしたオキアミにムギスペシャルを加え、均一に混ぜます。
- 海水を加え、底や角も含めて水分を行き渡らせます。
- ヒシャクでまとめ、実際に打って飛び方と崩れ方を見ます。
- 調整するときは使う分を取り分け、水を少量ずつ足します。
オキアミは、解凍または半解凍で、全体へ混ぜられる状態にします。凍った塊が残ると、後から溶けた部分だけ水っぽくなりやすいので、硬い部分をほぐしてから混ぜると扱いやすいです。
仕上がりは、表面を触っただけで決めません。バッカンの底や角に乾いた粉が残っていないかも確認します。水を足した直後に判断せず、全体へなじませてから、ヒシャクで一杯すくってみてください。
ポイント:仕上がりを見る順番
握れるか→狙った距離までまとまって飛ぶか→着水後にどう崩れるかを順に見ます。手で握れるだけでは、遠投時のまとまりや水中でのほぐれ方までは分かりません。
西伊豆で気になった、着水前のこぼれ
春の西伊豆の堤防では、粒を早くほぐしたくて水分を控えめにしたところ、少し沖へ打つとマキエの一部が途中でこぼれました。手では握れるのに、着水点が毎回ばらつく。これでは同じ場所へエサを送り続けにくい、と感じました。
そこで、バッカンの手前で使う分だけを混ぜ直し、少量の海水をなじませました。次に見たのは魚の反応より、ヒシャクから離れたマキエが一つにまとまって飛ぶかです。こぼれは減りましたが、それだけですぐにアタリが出たわけではありませんでした。
私には、この確認が大事でした。「バサバサにすればよい」と仕上がりを固定するより、まず狙う距離へ届けられる状態にする。足元へ軽く入れる日と、沖へ打つ日で、同じ感触にこだわる必要はないと思います。
ブレンドは、足したい役割を決めて選ぶ
最初から何種類も混ぜるより、単品で困った点を一つ決め、その役割を補う方が違いをつかみやすいです。粒を増やしたいのか、白い濁りが欲しいのかで、選ぶエサも変わります。
白い濁りを足したいならV10白チヌ
「チヌパワーV10白チヌ」は、白い濁りで潮の動きを見やすくしたいときの候補です。ムギスペシャルの粒に、濁りの要素を加える組み合わせになります。製品の特徴はV10白チヌの公式ページにまとまっています。
私もムギスペシャルに白チヌを混ぜたとき、着水後に白い部分が横へ伸びるのを見て、ウキだけを眺めていたときより流れの向きをつかみやすく感じました。ただ、見えている濁りの先端に底の麦まで全部そろっている、と考えるのは早計です。つけエサの残り方と合わせて、流す筋を判断しています。
V10白チヌを1袋加えるなら、粉エサの量も大きく増えます。単品時の海水900ccを、そのままブレンド全体の完成量にしないでください。加える製品の作り方を参考に、混ぜむらとまとまりを見ながら水分を調整します。
さなぎとコーンも加えたい場合の公式ブレンド例
メーカーには、オキアミ1.5kg、ニュー活さなぎミンチ激荒1袋、ムギスペシャル1袋、海水900ccという使用例もあります。単品使用例とはオキアミの量が違うので、ここは混同しないようにします。
元の記事で挙げていた、ムギスペシャル1袋+V10白チヌ1袋+チヌパワースペシャルMP半袋+ニュー活さなぎミンチ激荒1袋+オキアミ3kgという組み合わせは、複数のエサを使う配合例です。最初の一回から、この量を全部そろえる必要はありません。
私は、エサを足すほど何が効いたのかを判断しづらくなるところが悩ましいと感じています。まずムギスペシャルだけで釣り、次は濁りを足す、と比較する方が自分の釣りには取り入れやすいです。
爆寄せチヌなど別の配合エサも選択肢ですが、反応がないからと次々追加する前に、マキエが狙いへ届いているかを確認したいところです。
マキエとつけエサを合わせる、西伊豆での釣り方
麦のアピールを生かすには、粒が流れていく先へ、つけエサをどう通すかを考えます。ここでいう「合わせる」は、水面でウキとマキエを重ねることだけではありません。つけエサが狙う深さまで入ったときの位置を近づける、という意味です。
泡だまりより、仕掛けとマキエの流れ方を見る
泡が集まる場所は流れを考える手掛かりになりますが、泡だまりがあるだけで、底にもエサがたまるとは決められません。表面は風の影響も受けますし、上と下で流れ方が違うこともあります。
西伊豆で釣ったときも、最初は見える粒の近くへ仕掛けを入れていました。ところが、海面の道糸がふくらんで、ウキだけが先へ出ていく流し方になりました。マキエの位置を変える前に、余分な糸を置き直し、つけエサを引っ張りすぎないようにしました。
それでも、しばらくはエサが残りました。糸を直せばすぐ釣れる、という話ではありません。ただ、仕掛けを落ち着かせてからの方が、次にタナや投入位置を変えたときの違いは見やすかったです。
小さく誘ったあと、45cmのチヌが食った場面
その日の西伊豆では、反応がない時間のあとに、ウキがふわりと入る動きが出始めました。すぐには掛からず、待ち続けるか、少し動かすか迷うところでした。
私は、仕掛けがなじんでから、竿をゆっくり立ててつけエサを持ち上げ、また戻す誘いを入れました。意識したのは、動かし続けず、戻したあとに間を置くこと。勢いよく引いて、せっかく入ったタナから大きく外さないようにしました。
西伊豆の堤防での一枚
その後、ウキが一瞬横へ動き、すっと引き込まれました。アワセると重たい引きが伝わり、途中で根へ向かいそうになる魚をいなしながら取り込んだのは45cmのチヌ。これは嬉しかったです。
誘いを入れたあとに釣れたことは確かですが、粒エサだけの効果や、誘い一つの効果とは切り分けられません。それまで打ったマキエや、魚が入ってきたタイミングも関係していたと思います。私には、同じ流し方を続けるだけでなく、食わせる間を作ってみるきっかけになった一枚でした。
なお、元の記事で触れた「潮下へ約10m流す」という距離にこだわる必要はありません。まず今通している筋の前後を探り、反応が出た場所を基準にします。遠くへ流すほどよいわけではなく、周囲の仕掛けと交差しない範囲で試します。
釣れないときは、配合を増やす前に確認する
最初にマキエの着水点、次に仕掛けのなじみ、最後につけエサの残り方を見ます。全部を同時に変えると、何が合わなかったのかが分からなくなります。
反応に応じて、変えるものを一つにする
| 見えている状態 | 先に試すこと |
|---|---|
| マキエが空中でこぼれる | 使う分の水分と混ぜむらを見直す |
| 道糸がふくらみ、ウキが引かれる | 余分な道糸を置き直す |
| つけエサが残り続ける | タナを確認し、流す筋を少しずつ変える |
| 早い段階でつけエサがなくなる | 回収を早めて、取られるタイミングを確かめる |
つけエサが残ると、私も「寄せが足りないのかな」と考えます。ただ、西伊豆で流し方を直したときも、しばらくは残ったままでした。エサが残ることだけで、魚がいないとも、集魚力が足りないとも決めないようにしています。
底付近を狙うなら、先に水深を測ってタナの基準を作ります。そのうえで少しずつ調整し、つけエサが底へ入りすぎていないか、逆に浮きすぎていないかを探ります。浅い場所でも深い場所でも、製品名だけで最適なタナは決まりません。
他の魚が釣れたときも、エサの残り方を見直す
チヌ狙いでも、イスズミなど別の魚が釣れることはあります。それを「特定成分が効いた証拠」とまでは考えず、今のつけエサが、どの層で取られているかを見直す材料にします。
投入直後にエサがなくなるのか、十分なじませてから取られるのか。回収を少し早めて比べれば、少なくとも同じ流し方を続けるかどうかの判断には使えます。チヌを待つつもりでマキエを増やし続ける前に、つけエサを狙う深さへ届けられているかを見てください。
残った粉エサと、釣り場で作ったマキエは分けて考える
乾いた製品は、直射日光・高温多湿を避けて保存します。使いかけは口を閉じ、水が入らないように扱います。
オキアミや海水を混ぜたマキエは、乾いた製品と同じ状態ではありません。釣り場では日なたに放置せず、ふたを使って乾燥や雨水の混入を抑えます。暑い日のつけエサは小分けに出すと扱いやすいです。練り込みを控えたから長持ちする、と考えるのは避けたいですね。
まとめ:まず一つの配合で、届け方をつかむ
チヌパワームギスペシャルは、粒のアピールを生かしながら、マキエの打ち方を組み立てたいときに使いたいエサです。最初はオキアミ3kg、1袋、海水900ccを目安に作り、狙う距離に合わせて仕上がりを確認します。
ブレンドを増やす前に、同じ場所へ届けられるかを確かめる。そこが整ってから白い濁りなど必要な要素を足すと、次の釣行で何を試すかも決めやすくなると思います。
ほかの配合エサの選び方は、こちらの記事でも紹介しています。
チヌの集魚剤のおすすめランキング3選。単品で釣るためのマキエ選別
あとがき
今回の記事を書くきっかけは、2025年に横浜で開かれた釣りフェスで、マルキユーのブースへ立ち寄ったことでした。エサ作りの説明を聞きながら、配合エサは袋を開けたところで完成ではなく、釣り場で自分が仕上げるものなのだと、改めて感じたのを覚えています。
それまでの私は、新しい配合エサを見ると、まず何が入っているかに目が向いていました。麦が多い、さなぎが入っている、よく寄るらしい。そういう特徴を知るのが楽しくて、次の釣りではこれを混ぜてみよう、と考える時間も好きでした。ただ、自分が海へ入れた一杯がどうなったかとなると、案外きちんと見ていなかった気がします。
西伊豆でマキエを作ったときも、最初は教わったことを再現する気持ちが強くありました。水分を控え、粒がほぐれるようにしたつもりなのに、沖へ打つと途中でこぼれる。そのときは、せっかく考えて作ったのに、という小さな不満もありました。でも、魚から見ればこちらがどれだけ丁寧に作ったつもりかは関係なく、届いたエサがすべてなのですよね。
混ぜ直して着水点がそろうようになると、少し気持ちが落ち着きました。まだ釣れていないのに、それだけで竿を持つ余裕が戻ってきたのは、自分でも意外でした。私は釣れない時間が長くなると、次の一手を急ぎがちです。粉を足す、遠くへ投げる、タナを変える。どれも試したくなるのですが、一度に変えると、後で釣れても何がよかったのか思い出せません。
あの日の45cmは、もちろん嬉しい一枚でした。重たい引きを受けている間は、それまで何を考えていたかもどこかへ飛んでしまい、取り込んでからようやくほっとしました。ただ、時間がたって思い返すと、魚の大きさと同じくらい、アタリがない間にバッカンの中を見直したことが残っています。少なくとも、うまくいっていない部分を一つ直してから、釣りを続けられたからです。
一方で、誘いを入れなければ釣れなかったのかは、今も分かりません。たまたまチヌが入ってきた時間だった可能性もありますし、もう少し待てば同じ魚が食ったのかもしれません。釣れたあとにはつい、自分の選択が全部正しかったと思いたくなります。けれど、その一枚を理由に、次も同じ手順で必ず釣れると考えるのは、少し違う気がしています。
以前なら、釣れた配合をそのまま覚えておけば安心でした。今は、それに加えて、なぜその配合にしたかを残しておきたいと思うようになりました。濁りが欲しかったのか、飛ばしにくかったのか、それとも単に新しいエサを試したかったのか。目的が違えば、同じ釣果でも受け取り方は変わります。うまくいかなかった部分も残しておいた方が、次に同じ場所へ行ったときの自分を助けてくれそうです。
次に試したいのは、使う配合を大きく変えず、マキエを打つ位置とつけエサを入れる位置をもう少し丁寧に比べることです。エサを追加したくなる気持ちもありますが、まずは今ある一袋でどこまで釣りを組み立てられるかを知りたい。釣れた理由を決めつけず、次に確かめたいことを一つ持ち帰る。ムギスペシャルを使った西伊豆の釣りは、私にとって、そんな楽しみ方を考えるきっかけにもなりました。








