グレ・メジナは、警戒心が強く、なかなか釣るのが難しかったりします。グレが普段食べているエサや食性について知ることで状況に合わせた釣りが可能になります。
ここではグレの好物や普段食べているものなどを見ていきましょう。
色の識別
近年では、様々な魚の視力に関しての研究が進み、魚も色を識別しているということがわかってきました。
グレに特化した研究はいまのところ出ていませんが、色はグレ釣りにおいて重要な意味を持っていると考えられます。
フカセ釣りで水中カメラを入れてみたり、シュノーケリングで魚にエサを与えてみて、色によってどのように反応するかを見てみたことがあります。
使用したのはマルキユーのくわせオキアミ食い込みイエローとくわせオキアミv9で前者がイエローのオキアミ、後者はレッドのオキアミになります。
グレパワーv10に生のオキアミを加えたものを撒きながら、それぞれのくわせエサを交互に使用したところ、3回連続で釣れてきたのはくわせオキアミV9でした。
餌に群がっていたコッパグレに、イエローのオキアミとレッドのオキアミを同時に針なしで投げ入れたところ、レッドはすぐに食いついたものの、イエローのオキアミはよっては来るものの口は使わず、代わりにキタマクラがついばんでいました。
この日は圧倒的にレッドのオキアミがグレに人気でした。
しかし、別日に同じことをしてみたところこの日は魚影が薄くなかなか釣れない状態でしたが、イエローのオキアミに変えると、あたりが連発し43cmのグレを釣ることができました。
このように、グレはオキアミの色に関してきちんと認識していると考えられ、釣果としてもそれは現れました。
チヌ釣りにおいては、色によって釣果が変わることはよく言われており、練り餌なども様々な色が販売されています。
グレ釣りもまた、色を変えることで釣果もアップすることでしょう。
オキアミを黄色にする
オキアミを黄色にするのに最も手軽なのは食紅のような食品の着色料を使うことです。
オキアミをハードに加工し、黄色に着色するのにつけ込みにこれだ!ハードを使うこともできます。
オキアミを赤色にする
オキアミを赤色にするには、食紅を使うのが手っ取り早い方法ですが、私のおすすめとしては、グレパワーV9をまぶし粉のようにオキアミにまぶしてあげるといいかと思います。
グレパワーv9はそのまま配合エサとして使えますし、まきエサとの色味の同調も可能になります。
生オキアミかボイルオキアミか?
生のオキアミとボイルのオキアミとどちらがグレの好みかというと生オキアミです。
そもそもボイルされたオキアミというのは自然界には存在しませんし、オキアミは加熱することによって栄養が抜け出てしまいます。
また、オキアミはそれ自体に消化酵素を持っています。しかし、加熱によって消化酵素は失われます。そのため、グレがオキアミを捕食した際にボイルのオキアミだとすぐに消化吸収されず、負担がかかります。
グレを釣って持ち帰ってお腹の中を見てみたときにボイルオキアミは原型が残っており消化されていないことがわかります。
ボイルオキアミも使い方次第
生オキアミのほうがグレの好みであることは間違いありませんが、グレを釣る上ではボイルオキアミのほうが釣れる時もあります。
ボイルオキアミは、加熱により身が締まり、硬くなっています。また沈下速度が遅く、ゆっくりとアピールすることもできるようになります。
餌取りの多い時期や、遠投して探りたい時などボイルオキアミの特性をうまく使うことで生のオキアミよりも有利になることもあります。
シバエビの剥き身も有効
グレ釣りのくわせエサとしてシバエビを使う人もいらっしゃるかと思います。
シバエビが有効なのは、エビを剥いた時に出てくるぬめり成分に豊富なうまみがあるからです。
オキアミを使う際にも、ヌメっとして嫌だなと感じることも多いですが、加工オキアミでなければ大切な集魚成分です。
水に浸していたオキアミや、ボイルオキアミなどぬめりが洗い流されてしまったオキアミは食いつきが悪くなるのはこのためです。
シバエビのむき身を使う際には、このぬめりを洗い流さないようにしましょう。
食用のエビのむき身は、このぬめりは洗い流されているため、スーパーなどのエビを使う際は、殻付きのものを選ぶと良いでしょう。
まとめ
グレ・メジナのくわせエサについてみてきました。
くわせエサは直接グレと接触し食わせるための最重要な餌になりますので、ハリ付けや色使い、むきエサなどこだわりをもって釣りに挑むと良い釣果に恵まれることでしょう。
マルキユーのアミノ酸αなどのアミノ酸添加剤もおすすめです。
真鶴の三ツ石でのフカセ釣りのエピソードをご紹介したいと思います。今回のテーマに取り組むきっかけとなったのは、あの日の朝の出来事が大きく影響しています。
その日の朝は、まだ薄明かりの中で、いつものように釣り具を整えながら、真鶴の三ツ石に向かいました。あの場所は、岩が海に突き出していて、普段とは違った特別な雰囲気が漂っています。潮風に乗って運ばれる塩の香りや、波の軽いざわめきが心地よく、まさに自然との対話を感じさせる瞬間でした。
現地に着くと、穏やかな朝の光に照らされた三ツ石周辺は、普段の釣り場とはまた違う静かな空気が漂っていました。そんな中、フカセ釣りコマセの準備をしていると、警戒心の強いグレが、波の中に見え、ひっそりと存在感を示しているのを感じたのを覚えています。普段からなかなか手強いこの魚ですが、その日はいろいろな実験を通じて、その行動パターンを少しでも解明できないかと考えたのです。
実は、その日、どんな餌を使えばこの慎重なグレに近づけるのか、ずっと頭を悩ませていました。そこで、これまでの経験をもとに、あえて色違いのオキアミを使ってみるという試みを行うことにしたのです。まずは赤いオキアミから試してみました。赤いオキアミを投入すると、水中でグレが素早く反応し、警戒心はありながらも餌に近づいてくる様子が見られました。赤の刺激が、グレの反応を引き出すのに有効だったのか、とても興味深かったです。
ところが、その日の環境は刻一刻と変化しているようで、潮流や水の透明度、光の加減が微妙に変わる中、同じ実験を黄色いオキアミで行ったところ、予想以上の効果が現れました。黄色いオキアミは、まるで海の中でひときわ目立つ存在のようにグレの注意を引き、その結果、大物のグレを釣り上げることができたのです。この体験は、単なる偶然ではなく、グレ・メジナが実際に色彩に敏感であるということを肌で感じさせてくれました。
また、フカセ釣りという手法自体が、普段の釣りでは気づかなかった魚の行動や細かな反応を観察する絶好の機会になりました。水中カメラを活用して、グレが餌に反応する瞬間をしっかりと捉えることができ、細かい動きを見逃さずに記録できたのは、技術と工夫の賜物だと思います。三ツ石の周辺では、自然の中で釣りという行為を通じて、自分自身がいかに自然とコミュニケーションを取っているのかを改めて実感することができました。
正直なところ、あの日の体験は、単に釣果を上げるための実験以上の意味がありました。長年の釣行で得た知識や経験、そしてその日の環境条件が絶妙に噛み合った結果、グレ・メジナの敏感な色彩感覚に気づくことができたのです。
さらに、名古屋港水族館でのエサやり体験も、私の視野を大きく広げるきっかけとなりました。水族館では、普段自然界で見られるものとは異なる環境下で、魚たちがどのようにエサに反応するのかを間近で観察することができます。水槽内での餌やりの様子をじっくりと観察する中で、エサの色彩や質感が魚たちの行動にどのような影響を及ぼしているのか、また、人工的な環境下でも本能的な反応が残っていることを実感しました。この体験は、私にとって「色」という視点が持つ意味を改めて深く理解する大切な一幕となり、記事内で紹介した実験結果とリンクする部分も多々あったのです。
ある日の夕方、釣具店に立ち寄った際、ベテランの店員さんから「生オキアミとボイルオキアミ、どちらがグレに好まれるかは、その日の水温や魚の活性によって変わる」と、具体的なアドバイスをいただきました。普段から多くの釣り師たちが実践している知恵や工夫が、こうして言葉として伝えられることは、私にとって非常に励みになりました。店員さんとの何気ない会話の中で、エサの種類や調整方法、そして餌に含まれる微妙な違いが釣果に直結するという話を聞くたびに、自分自身ももっと深く学び、試行錯誤を重ねていかなければと強く思いました。
執筆中は、実際の釣行で感じたリアルな感動や、失敗と成功の両方のエピソードが次々と蘇ってきました。例えば、ある日の朝、風もなく穏やかな水面に向かい、静かに仕掛けを落とした瞬間、ふと「今日こそは大物が釣れるかもしれない」という期待と共に、まさにその期待が現実となった瞬間の感動は、今でも鮮明に覚えています。その時、グレが餌に対して示した鋭敏な反応と、仲間たちと分かち合った喜びは、言葉では表現しきれないほど貴重な体験でした。こうした数々の体験が積み重なり、今回の記事に込めた思いとして具現化されたのだと実感しております。
また、エサの工夫においては、単なる色の変更に留まらず、使用する添加剤やエサそのものの状態にもこだわりを持っています。マルキユーのアミノ酸αなどの添加剤を使うことで、エサの魅力をさらに引き出し、グレのくわせ反応を促すことができると考えています。生オキアミの鮮度や、シバエビの剥き身に含まれるうまみ成分、そしてそのぬめりがもたらす集魚効果など、細部にまで目を向けることで、釣りという行為が単なる趣味以上の奥深い芸術であることを改めて感じることができました。こうした知見は、日々の釣行で得た経験と、釣り仲間との情報交換、そしてたまたま耳にした先輩たちのアドバイスの積み重ねから生まれたものであり、私自身が常に学び続ける姿勢の大切さを実感させてくれます。
振り返れば、今回の記事を執筆するにあたって、様々なエピソードや経験が頭を駆け巡り、文章にする過程で改めて釣りの奥深さや、その裏に潜む自然の神秘に対する敬意を新たにすることとなりました。釣り場での静かな時間、仲間との笑い合い、そして時には思いもよらぬ失敗から学ぶことの多さは、私にとってかけがえのない宝物です。これからも、日々の釣行や小さな発見を通して、より豊かな知見を得ながら、皆さまとその魅力を分かち合っていければと心から願っております。
最後に、この記事を通して読者の皆さまにも、ぜひ自分自身の釣行体験やエピソードを重ね合わせ、エサの細かな工夫や魚との対話の面白さを感じ取っていただければ幸いです。自然とのふれあいや、そこから生まれる小さな発見の数々は、私たちに生きる喜びや感動をもたらしてくれます。これからも、共に釣りの魅力を探求し、その一瞬一瞬を大切にしていきたいと思います。
このあとがきを締めくくるにあたり、改めて筆をとったのは、皆さまとの出会いや釣りという趣味に対する情熱、そして日々の小さな積み重ねがあるからに他なりません。どんなに技術が進歩し、情報が飛び交う現代であっても、自然が教えてくれる普遍の真理や美しさは決して色褪せることはありません。釣り場で感じる風の音、波のささやき、そして魚がエサに反応する瞬間の儚い輝き。これらすべてが、私たちにとっての生きる喜びの一部であり、未来へと受け継がれるべき貴重な体験なのだと思います。
今後も、この記事で共有した知識や体験が、皆さまの次なる釣行のヒントとなり、また新たな発見や感動のきっかけとなることを心より願っています。
【著者としての感想と振り返り】
今回のテーマを選んだ理由は、何気ない日常の中でふと気づいた「色」という要素が、実は魚の反応に大きな影響を与えているのではないかという疑問から始まりました。グレ・メジナは、普段のエサや食性の研究が進んでいないにもかかわらず、実際の釣行で感じるその敏感な反応は、単なる偶然ではなく、確固たる理論や生態が背景にあるのではないかと考えさせられました。記事を執筆する過程で、釣りの技術だけでなく、魚の生態や餌の細部に至るまで改めて興味を抱かせる要素が数多く存在していることに気づき、釣りの魅力や奥深さを存分に味わうことができました。特に、赤と黄色のオキアミを使った実験結果が示すように、細かい違いが釣果に直結するという点は、今後の釣行にも大いに役立つと確信しています。