棒ウキというとチヌ釣りというイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、棒ウキはグレ釣りにも使える万能なウキです。
グレ釣りにおける棒ウキのメリットやデメリットおすすめのウキなどをみていきましょう。
それではまず、棒ウキのメリットやデメリットを見ていきましょう。
目次
棒ウキのメリット
特に冬場においては、棒ウキのメリットが多くあります。
ウキが見やすい
まず特筆すべきは海面より上にウキのトップが出るため遠投してもウキの位置が把握しやすく視野性に優れています。
多少の波があってもウキのトップが見えているため、円錐ウキよりも見やすいです。
見やすいということはアワセも遅くならず、魚に飲まれてしまったり、小さな抑え込むようなアタリを逃す心配がありません。
また、棒ウキのアタリは、ウキがスパッと消し込んだりと爽快なアタリを出してくれることも魅力のひとつでしょう。
逆光に強い
朝方などの太陽の逆光にも強く、円錐ウキではどこにあるか見えない状態でも、棒ウキであれば、シルエットが見えるためウキが把握できます。
砂浜からの釣りに使われる渚釣りのウキには、トップがすべて黒く塗ってあるものもあり、これは逆光時に黒いウキとして見やすくなっています。
感度抜群
棒ウキは通常の円錐ウキに比べて、底面の体積が小さく、アタリがあったときに水中に沈みやすくなっています。
また、トップにメモリがあるため、小さなアタリでも良く見えます。
円錐ウキは上から見て水中に沈んでいくアタリを見るため小さな抑え込むようなアタリはなかなか難しくなっています。
タナまで仕掛けを入れやすい
棒ウキはスイベルを使いますので、道糸とウキとの接点が少なく、スイベルの輪のみ道糸がふれることになり、抵抗が少なく糸落ちがスムーズです。
一方で円錐ウキはウキの中心を道糸が通るため、道糸に対して抵抗が大きくなります。
そのため、棒ウキは軽い仕掛けであってもスムーズにタナまでエサを送り込むことができ、餌取りの多い時期に仕掛けを入れるスピードで餌取りをかわすことができます。
風に強い
一見すると風の影響を受けやすく見えますが、道糸との接点が海面下であり、竿先からウキまでの道糸を沈めることができます。
円錐ウキも−0号や00号など オモリ調整でウキを沈めれば問題ありませんが、竿先や道糸でアタリを取らなくてはならないため、難易度が上がります。
棒ウキは、道糸が沈んでいるためウキが手前に風であおられることが少ないものメリットと言えるでしょう。
棒ウキのデメリット
残念ながらデメリットもあります。
まず、円錐ウキと比較して形が大きく道糸や仕掛けが絡まりやすくなっています。
風が強い時など道糸をうまく扱っていないと棒ウキのスイベルに絡まってしまったりします。
次に、操作性が悪いことが挙げられます。
流れに乗せるのであれば問題ありませんが、コースを外したり、仕掛けを流す筋を変えたりしたい時には、扱いにくいウキです。
10センチ、20センチずらしたいなど繊細な釣りをするのであれば、円錐ウキが優れています。
おすすめの棒ウキ
ここでは使いやすいおすすめの棒ウキをご紹介します。
DAIWA ベガスティックタフ
国産の桐材を使ったウキで、タフなスイベルに加えて、浮力のブレがほとんどないため、同じ号数のオモリを使えば一発でオモリ合わせができます。
ケミホタル25も装着可能なので、夜釣りにも使えるウキになっています。
ベガスティックタフ 遠投
上記ベガスティックの遠投モデルになります。
沖のワキグレや潮目までダイレクトに狙うことができ、遠投しても見やすいトップなので、安心して遠投できます。
遠矢ウキ
チヌ釣りの名ウキはグレにも使えますし、稀にグレウキが手に入ることもあります。
売られている店舗も限られますが、見やすく使いやすいウキです。
通信販売でも売り切れが多いです。
ただし、浮力表記はあくまで目安程度です。手作りゆえに浮力バランスはご自身で調整しましょう。
黒魂BS自立 キザクラ
感度と飛行姿勢を重視した設計で、太いトップのため遠投しても見やすくなっています。堤防から磯場、チヌからグレまで使える万能ウキです。
トップの透明部分は黒マジックで塗りつぶしてしまった方が私は見やすく感じました。
鬼馬棒 釣武者
ボディーカラーも特徴的で、下膨れの形状のため遠投時のブレを抑えて、潮乗りも良くなっています。ボディーカラーの塗り分けによりブレるような小さなアタリもとりやすくなっています。
まとめ
ここでは、棒ウキを使うことによるメリットやデメリット、そしておすすめのウキなどを見てきました。
使うシーンによって使うウキを変えることで、今まで攻めきれていなかったポイントやタナなどを釣ることができるようになり、出会えなかった魚に出会うことができるようになるかもしれません。
グレ釣りは円錐ウキというイメージが多いかとも思いますが、棒ウキを使用するトーナメンターや愛好者も多くいらっしゃいます。
ウキの形状ではなく、釣り方に合わせてウキを選択することで釣りが一層うまくなることでしょう。
【あとがき】
今回、棒ウキを使ったグレ釣りに関する記事を書き終えて、改めてその奥深さと可能性の大きさに胸が高鳴る思いです。グレ釣りといえば円錐ウキが定番というイメージをお持ちの方も多いかもしれませんが、棒ウキならではの魅力を少しでも多くの方に伝えたいという気持ちが、執筆の大きな原動力になりました。 棒ウキの見やすさや感度の良さはもちろん、その操作性や取り回しの難しさも含めて深く掘り下げることで、自分自身も「釣りの技術とは何なのか」を改めて問い直す機会になったように感じています。なかでも、棒ウキを使うことで拾える小さなアタリや、逆光における視認性の高さは、グレ釣りをさらに楽しく、そして繊細にしてくれる要素だと再認識できました。
さて、この記事を書くきっかけには、いくつかの自身の体験が大きく関わっています。特に印象的だったのは、城ヶ島の渡船でグレを狙ったときのことです。船長が「朝一がやっぱりチャンスだぞ」と教えてくれたので、期待に胸を膨らませて磯に立ち込みましたが、何しろ太陽がまだ低い位置にあるため、正面から強烈な逆光を浴びてしまいました。手前に仕掛けを投げるとウキが見えなくなるほどで、円錐ウキだと位置を見失いがち。そんなときに頼りになったのが、長いトップがしっかりと海面上に突き出る棒ウキでした。逆光でもトップのシルエットがはっきり分かり、仕掛けの流れを追えるので、「こんなに目が疲れないものなのか」と驚くほど快適だったのを今でもよく覚えています。朝一にグレがヒットする確率が高いのに、ウキが見えなくてアワセのタイミングを逃しては本末転倒。その日、何とか良型を釣り上げられたのも、棒ウキの見やすさがあったからこそだと今でも思います。
もうひとつ忘れられないのが、真鶴半島の赤壁という、切り立った岸壁が続く磯での体験です。足場の悪い場所を苦労して降りたものの、当日はまさに「激渋」という言葉がピッタリなほど魚からの反応が乏しく、一緒に釣りをしていた仲間も苦戦を強いられていました。そこで試したのが、棒ウキによる超繊細なアタリの拾い方。いつも円錐ウキであれば、「小さな押さえ込み程度のアタリは見逃してしまうのでは?」と思うような絶妙なタッチでも、棒ウキならトップがわずかにピクッと沈むのが視認できるんですね。まさに糸を張りすぎない絶妙な送り込みが成功して、なんとかグレの口を使わせることができました。サイズこそ伸びませんでしたが、「渋い日は棒ウキが冴える」という一つの成功体験になったことが、今回の記事執筆にも大きく影響したと思います。
こうした体験談を支えてくれたのは、渡船の船長や釣具店の店員さんたちのアドバイスです。城ヶ島の渡船では、船長が「ウネリの強い日は無理をせず、安全第一でやるように」としきりに声をかけてくれます。磯に降りる前に「今日は朝日がまぶしいから棒ウキの方がいいかもしれないぞ」と具体的な提案ももらいました。さらに、小田原マリンの店員さんからは、「風が強いときは道糸を海面下に沈めるよう工夫すると、棒ウキでもブレが少なくなるよ」といった細かなポイントを教えていただきました。実際に試してみると、竿先を少し下げて道糸を沈めるだけで、ウキが手前に流されにくくなるので思った以上に釣りがしやすい。その差がハッキリわかると、自分の中で「棒ウキは円錐ウキに負けない武器になる」という確信が生まれ、記事を書く際にもその点をぜひ伝えたいと思うようになったのです。
改めて振り返ると、棒ウキは「誰が使っても簡単に釣れる」という魔法の道具ではありません。しかし、見やすさや感度、仕掛けの落下スピードなど、円錐ウキとは異なる強みを持っています。今回の記事を通して、少しでも多くの釣りファンの方に「こんなアプローチもあるのか」と感じてもらえたら嬉しいです。そして、読者の皆さんには、次の休みの日にでもいつもの磯や堤防で棒ウキを試してみるきっかけにしてほしいと思います。上級者の方には「もっと釣りの幅を広げられるヒント」として、これからグレ釣りを始めようという方には「円錐ウキにとらわれず、いろいろ試してみる楽しさ」を感じ取ってもらえれば幸いです。
私自身、棒ウキを初めて見たときは「チヌ釣りのイメージが強い」程度の先入観しかなかったのですが、使い始めてからは、その汎用性の高さに感動した覚えがあります。棒ウキがなければ見逃していたであろう繊細なアタリや、逆光下でのストレスの少なさ。そうした新たな発見があるからこそ、釣りという趣味は奥深く、続けるほどに面白さが増していくのだと感じます。今回ご紹介したウキの数々も、どれも個性豊かで、実際に手に取ってみると、それぞれが持つ感度や遠投性能などに微妙な違いがあり、「自分が快適に使えるかどうか」という視点で選ぶことの大切さを学びました。
最後に、この記事が読者の皆さんの釣りライフを少しでも豊かにしてくれれば、それほど嬉しいことはありません。「釣れた」という結果ももちろん大切ですが、その結果に至るまでに試行錯誤を重ねる時間こそが、釣りの最大の醍醐味だと私は思っています。棒ウキは、そんな試行錯誤の一助となり、グレ釣りをさらに深く、楽しく味わわせてくれる道具の一つです。もしこの記事を読んで「ちょっと自分も試してみようかな」という気持ちが芽生えたのであれば、ぜひ次の週末に釣り場で実践してみてください。きっと新しい発見や感動が待っているはずです。そして、釣り人同士が交流しながら知識や経験を共有していくことで、より安全に、より充実した釣りの時間が過ごせるよう願っています。
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