フカセ釣りの世界で、近年大きな変化が起きているのをご存知でしょうか。
従来のナイロンラインからPEラインへの移行が、着実に進んでいるのです。
私自身、最初は半信半疑でしたが、実際に使ってみてその実力の高さに驚かされました。
今回は、私の経験と様々な知見を基に、フカセ釣りにおけるPEラインの特徴や、実際の使用方法、そしておすすめの製品まで詳しくご紹介していきたいと思います。
目次
なぜいまPEラインなのか
フカセ釣り専用のPEラインの中で、私が現在使用しているのがシマノの製品です。
特に注目すべき点は、水に対する比重が1.4という高比重設計。この特徴により、従来のラインでは悩みの種だった糸ふけが格段に出にくくなっています。
さらに、PEラインならではの特徴として、伸びの少なさが挙げられます。
これにより、オキアミを付けた際の小さな魚の動きまでも、竿先や糸に敏感に伝わってくるのです。
特にグレ釣りでは、この特性を活かしてノーガン玉での釣りが可能になり、スレた魚に対しても自然なアプローチができるようになりました。
PEラインの主なメリット
1. 抜群の遠投性能
PEラインの大きな特徴の一つが、その遠投能力です。
細い糸径によってガイドとの摩擦が少なくなり、ナイロンラインと比べて飛距離が劇的に伸びます。0.8号程度のPEラインであれば、60メートルを超える超遠投も可能です。
2. 圧倒的な感度の良さ
私がPEラインに切り替えて最も驚いたのが、この感度の良さです。
例えば、チヌ釣りでは、これまでナイロンラインでは感じ取れなかった「居食い」(その場で動かずに餌を食べる状態)までもが手に伝わってくるようになりました。
高比重のPEラインに変えてみて、今まで見逃していたアタリの多さに愕然としたほどです。
3. 使いやすさの向上
PEラインは水切れが良く、ラインメンディングが容易になります。
また、リールスプールにくせがつきにくいため、軽い仕掛けでも扱いやすいという特徴があります。
4. 優れた耐久性
紫外線への強さと低吸水性により、ナイロンラインと比べて劣化が遅いのも大きな特徴です。
長期間使用できることで、コストパフォーマンスも優れています。
PEラインを使ったフカセ釣りの実践的セッティング
基本的な仕掛けの組み方
PEラインでのフカセ釣り仕掛けは、従来のナイロンラインとは少し異なる特徴があります。
私が実践している基本的な仕掛けをご紹介します。
まず重要なのが、PE全誘導ではウキ止めが不要という点です。
スイベルまでをPEラインで構成し、ハリスにはフロロカーボンを使用します。
以前は10mほどのフロロラインを結んでいましたが、最近のPEラインは強度が向上しているため、激しい磯場でなければ不要になってきています。
おすすめの仕掛けセット
ロッド選び
シマノの鱗海マスターチューン 06-530を愛用しています。
チヌ釣りにおいては、この竿の繊細な穂先が微細なアタリを見事に表現してくれます。
リールの選定
私が選んだのは、シマノの15 BB-X テクニウム C3000DXGSL 左ハンドルです。
ハンドルが逆回転しない新技術を搭載しており、見た目の美しさだけでなく実用性も兼ね備えています。
ラインの選択
メインラインには、シマノ LIMITED PRO PEG5+ サスペンド(200m 0.8号 イエロー)を使用しています。
比重が1.4と重めに設定されているため、水中での扱いやすさが格段に向上しています。
150mバージョンもあり、シーズン前の巻き替えにはこちらでも十分です。
ウキの選定
全誘導釣法に適したウキの選択が重要です。
シマノの鱗海 ZEROPIT 遠投SP FL-00CMがおすすめですが、釣研のファステック PE-1やキザクラの17Kz GTRも優れた選択肢です。
ハリスとフック
ハリスは シマノのファイアブラッド EX ハードタイド フロロカーボン(1.2号)か、ベーシック EX フロロカーボン(1.5号)を使用。フックは金龍の勝負ちぬフックやがまかつのファインチヌ(2号)が定番です。
実践的なテクニック
タナ取りの基本
海の状況が掴めないときは、00号ウキからスタートして、どの水深に魚がいるのかを探ります。
タナが決まれば、その日の風向きや潮通しに応じてウキの浮力を調整していきます。
万能ウキの活用
場所を選ばず対応できるウキとして、キザクラの大知モデル 大知遠投60 LLがおすすめです。
重さがあって使いやすく遠投も可能で、チヌ、グレ、真鯛と幅広い魚種に対応できます。1,500円程度とコストパフォーマンスも良好です。
理想的なライン号数の選択
堤防釣りが主体なら0.6号で十分ですが、より汎用性を求めるなら0.8号がベストです。
0.8号であれば60mの超遠投も可能で、遠距離でのアタリも確実に伝わってきます。
PEラインの注意点とデメリット
1. 根ずれへの脆弱性
私が実際に経験して最も注意が必要だと感じたのが根ずれに対する弱さです。この点は特に強調しておきたいと思います。
実体験をお話しすると、私がPEG5+の0.6号イエローを使用していた際のことです。
堤防からのチヌやグレ釣りでは、35cmのグレや48cmのチヌまで難なく釣り上げることができました。
しかし、渡船で足場の悪い磯に上がった時に想定外の事態が発生しました。
仕掛けのセッティング中、風にあおられたPEラインが岩場に絡まってしまったのです。
ナイロンやフロロであれば、手で優しくなぞって確認し、テンションがかかっていなければそのまま使用できたはずです。
しかしPEラインは、わずかな接触でも表面に毛羽立ちが生じ始め、その後の使用に不安を感じるレベルまで劣化してしまいました。
試しに岩に軽く擦り付けてみただけでも、パツッ!と切れてしまう程の脆さを実感。0.6号という細さを考慮しても、予想以上の弱さでした。
2. 取り扱い時の注意点
ライントラブルが起きやすい:柔らかく細いため、穂先に絡みやすい特徴があります
高切れのリスク:伸びが少ないため、急激な力がかかると切れやすいです
結束の難しさ:特性を活かすためには、FGノットやPRノットなどの特殊な結び方が必要です
ショックリーダーの必要性:衝撃に弱いため、状況によってはフロロカーボンのリーダーが必須です
実践的な対策と装備の充実
必須アイテム:竿受けの活用
上記の経験から、私は第一精工のバッカン受三郎を必需品として持ち歩くようになりました。
これがあるだけで仕掛け作業が格段に楽になり、不要なラインの擦れも防げます。
各社PEラインの特徴比較
さまざまなメーカーのPEラインを試してきた経験から、以下のような特徴が見えてきました:
シマノ PEG5:磯専用設計で使いやすく、穂先への絡みも少ない
よつあみ高比重PE:アタリの表現力が優れ、風にも強い特性
キザクラ黒魂PE:高品質だが、使用タイミングの見極めが重要、悪くもないが、単色でラインアタリは見にくい
比重1.2とやや軽めで、自然なラインメンディングが可能だが、風の影響を受けやすい
まとめ:PEラインを使いこなすために
PEラインは確かに優れた特性を持っていますが、その特性を理解し、適切に扱うことが重要です。
私の経験から、以下のポイントを意識することをお勧めします:
使用環境に応じた号数の選択
岩場での慎重な取り扱い
適切な竿受けなどの補助具の活用
定期的なライン状態のチェック
これらの点に気を配ることで、PEラインの持つ高い性能を最大限に活かすことができます。
特に初めてPEラインを使う方は、まずは堤防や波の穏やかな場所から始めることをお勧めします。
装備を充実させ、技術を向上させることで、これまで口を使わなかった魚も釣れるようになっていくはずです。
PEラインは確かに繊細な面もありますが、その特性を理解して使いこなせば、フカセ釣りの新たな可能性を広げてくれる心強い味方となることでしょう。
以上で、PEラインのフカセ釣りに関する総合的な解説を終わります。この記事が皆様の釣りライフの参考になれば幸いです
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あとがき
今回の記事を書き終えた今、改めて振り返ってみると、自分自身の釣りへの取り組み方や考え方、そしてその奥深さに、あらためて気づかされる機会になったと感じています。フカセ釣りという釣り方は、一見シンプルに思えても、タックルやラインの選択、エサの付け方、そして魚との駆け引きまで、実に多彩な要素が織り込まれているものです。今回PEラインを取り上げたのは、私自身が従来のナイロンライン一択だった頃から「PEを使うともっと釣りが変わるらしい」という噂を耳にしてはいたものの、どこか半信半疑だったからにほかなりません。しかし実際に使ってみると、その感度や飛距離、さらには魚のアタリをより繊細にキャッチできる特性に、すっかり虜になってしまったのです。記事の中ではそのメリットや注意点を整理しながら紹介しましたが、自分の釣り経験を重ねるほどに、PEラインのポテンシャルはまだまだ掘り下げる余地があると確信しています。
さて、ここからはこのブログ記事を執筆するに至った背景や、私自身が体験してきたエピソードについて、もう少し詳しくお話ししたいと思います。まず、PEラインへの関心が一気に高まったきっかけは、広島で開催された大知アドバイザーのエサ教室に参加したことでした。私はもともとチヌ釣りを中心にフカセ釣りを楽しんでいましたが、その日は普段お会いできない方々と直接交流できる絶好の機会だったので、「エサ教室」という名前に惹かれて申し込みを決めたのです。すると、まさに目から鱗が落ちるような話が次々と飛び出しました。大知アドバイザーと直接話す中で、「PEならではの感度」をどう活かすか、アタリを取るタイミングをどこに置くかなど、具体的なポイントがわかりやすく解説されていて、私がこれまで抱えていた疑問が次々と解消されていきました。
その直後、さらに理解を深めようと確認したのが、百合野インストラクターの動画です。正直に言うと、最初は「映像を見ても本当にわかるのかな?」と半分疑いの気持ちを持っていました。しかし、実際に見始めると、PEライン特有の特性を活かしたフッキングのコツや、糸ふけを抑えるためのラインメンディング術など、想像以上に実践的な情報が詰まっており、一つひとつが腑に落ちる感覚がありました。特に「ノーガン玉でも糸ふけが出にくい」「チヌやグレの居食いさえ手に取るようにわかる」という具体的な解説は、これまで頭の中だけで断片的に理解していた内容を、はっきりと整理してくれたのです。百合野インストラクターのアドバイスを何度も巻き戻して見ているうちに、「これを実際の釣り場で再現してみたい」という好奇心がどんどん高まり、気づけば連休の予定はすべて釣行計画で埋まっていました。
しかし、人間というのは欲張りなもので、新しいタックルやラインを試していると、もっと別の角度からのアドバイスも欲しくなってきます。そこで足を運んだのが大阪のフィッシングショーでした。釣り好きにはたまらないこのイベントで、偶然にも大知アドバイザーに再びお会いする機会が訪れたのはまさに幸運でした。すでに広島のエサ教室に参加していたことをお伝えすると、大知アドバイザーは「おっ、あのときの! その後PEはどうですか?」と気さくに声をかけてくださったのです。そして私が「使い始めてからは感度の良さに驚かされっぱなしです。でも根ずれ対策が難しくて、磯場でラインが傷むのが心配で……」と相談すると、「磯場でのやり取りは、ライン角度を常に意識しておくのがコツ。魚が走り出したら竿を立てるだけでなく、あえて横に倒して根の反対方向に引き離すようにすると良いよ」と、きめ細かなアドバイスをいただけました。こうした何気ない一言が、後の釣行で大きな違いを生み出すのだから、実際に現場で活躍するプロの言葉の重みは本当にすごいと感じます。
また、記事の中で触れたシマノ社のPEラインを選択した背景には、シマノ社員の方とのやり取りも大きく影響しています。磯釣りのイベント会場でお話しする機会があり、そこで聞いた「高比重設計で糸ふけが少なくなるだけでなく、最近は耐久性もかなり高まっていますよ」という言葉が、最初に興味を持ったきっかけでした。私の中では「PEライン=根ずれに弱い」というイメージが先行していましたが、確かに昔と比べると技術が格段に進歩しているようです。私の場合、磯の釣行が多いので「0.8号で遠投する際に、いかにトラブルを防ぐか」を特に気にしていましたが、シマノ社員の方は「慣れるまでは堤防で練習しておけば、PEの操作性にすぐ慣れますよ。FGノットのコツは…」と具体的なノットの組み方まで丁寧に教えてくれました。その言葉通り、自宅で何度かノットの練習をしてから釣行に臨んだおかげで、釣り場でのラインブレイクがかなり減ったと実感しています。
以上が今回の記事を執筆するにあたって、大きなインスピレーションを与えてくれた出来事の数々です。実は、このブログを読んでくださる方の中にも「PEラインに興味はあるけれど、ナイロンから切り替える勇気が出ない」「高切れや根ずれが怖い」といった不安を抱えている方が少なくないのではないでしょうか。私も最初はそうでしたし、実際に使用してみて感じるリスクもゼロではありません。しかし、だからこそその強みを理解して対策をしっかり講じれば、PEラインはフカセ釣りを進化させ、より繊細かつダイナミックな世界に連れていってくれるのだと確信しています。折れやすいからこそ強さを磨ける、という言葉もありますが、釣りにおいてもまさに「繊細ゆえの力」が存在するのだなと、PEラインを扱いながら実感する今日この頃です。
最後に、この記事を読んでくださった皆様には、ぜひ「まずは一度試してみる」行動を起こしていただけたら嬉しいと思っています。釣りというのは、たった一つの工夫や道具の変化で、驚くほど結果が変わる可能性を秘めています。初めてのPEラインやノーガン玉での釣りにワクワクしながら挑戦してみて、もしうまくいかなかったとしても、その経験はきっと次の一手につながるはずです。そして、次の週末にでも、ぜひ釣り場でこの記事の内容を思い出しながら、自分なりにカスタマイズした仕掛けや釣り方を試してみてください。
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