フカセ釣りに不可欠なアイテムのひとつが撒き餌ヒシャクです。
ヒシャクのカップやシャフト、グリップなど素材が変わるだけで餌のコントロール精度は大きく変わってきます。
ここではおすすめのヒシャクやとにかく遠投したいとうときに使用するヒシャクなどを見ていきましょう。
この記事は、こんな方におすすめ
- 何かいいヒシャクはないかなと探している人
- 今よりもコマセを遠投したい人
- ヒシャク選びに迷っている人
フカセ釣り初心者におすすめのヒシャク
釣具店のヒシャクコーナーを見てみると各社様々なヒシャクが販売されていてどれを選べばいいのか迷ってしまって、よくわからない人も多いことでしょう。
時間のない人のために結論から書くと、フカセ釣りを始めたばかりであれば3000円前後でプラスチックカップの70cmぐらいのヒシャクを選べば問題ありません。
初心者が買うべきヒシャク
・比較的安価
・プラスチックカップ
・柔らかめのシャフト
・短めのシャフト
その理由は?
まず、なぜヒシャクをそこまで高いものにする必要がないかというと、ひとつの理由としては、よく海に落としたりカップが割れたりするからです。
ヒシャクはどちらかというと消耗品です。 使うほどに傷がつき、コシがなくなり、劣化していきます。
二つ目の理由としては、高いヒシャクだからと言って魚が釣れるわけではないということです。
餌のコントロールは非常に重要です。しかし、まずは餌の質や性能を理解したうえで、その餌をどこに投げればうまく作用するのかを判断できるようにならなければいけません。それができるようになると、どれぐらいのカップの大きさで、この硬さのシャフトが必要だとわかってくるようになります。
これが欲しいからこれが必要になるまでは、基本的な性能を抑えた扱いやすいヒシャクが初心者にとっては最適な選択肢となります。
1,000円円前後のヒシャクやダイソーヒシャクなどあまりにも安いものは、足元にエサを撒く分にはちょうど良いかと思いますが、遠くにエサを投げるフカセ釣りには向きません。
ウキを中心に△三角に餌を撒くなどの扱いは、余計に難しくなります。せめて3000円前後の作りのしっかりとしたヒシャクを用意するようにしましょう。
フカセ釣り初心者におすすめなのは
シマノ(SHIMANO) 遠投ヒシャク アドバンス SY-005Q 62 M
62㎝と短いシャフトなので安定感があります。カップはMサイズがちょうど良いでしょう。
シャフトは長ければ長いほど遠投できますが、安いものだとその分シャフトのねじれやブレが大きくなりエサの着地点にズレが生じます。
シャフトは短いほうがコントロールしやすく、扱いやすくなります。
ゴルフのショートアイアンがロングアイアンより打ちやすいのと同じようなイメージです。
もう一つは
マルキュー(MARUKYU) パワーヒシャクTR-01
68㎝となりますが、エサ離れもよく使いやすいヒシャクです。ただしグリップ部分が濡れると水がしみ込んだり滑りやすくなりますので、できる人は自分の手の大きさに合わせて、カッターなどでグリップを削るのもおすすめの使い方です。
ある程度、ヒシャクが使いこなせるようになれば、もう少し軽いカップのものや長くて遠投しやすいヒシャクが欲しくなるかと思います。
次からは、各ヒシャクのパーツがどのような機能があるのかを見ていきましょう。
カップ素材
ヒシャクのカップには、プラスチックとステンレス、チタン製の3種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがありますので、使用用途や費用に応じて選択するのがいいでしょう。
プラスチックカップ
プラスチックカップは初心者の方や、ヒシャクにこだわのない方におすすめのカップです。
プラスチック成型なので、安くて軽いカップになります。
しかし強度面ではやや弱く、カップ自体が肉厚になりやすい特徴があります。
カップの体積が大きくなりがちで、遠投には向いていません。
堤防周りなどで、足元を狙うときや、潮の流れに乗せてフカセ釣りするのであれば、必要十分でしょう。
ステンレスカップ
ベルモント(Belmont) ミラーエンボスステンカップ MP
ステンレスカップは、プラスチックカップよりも薄く丈夫な作りになっています。
しかし、ステンレス素材は重いので、一日を通してバッカンいっぱいのエサを撒く人には向いていません。
個人的には、ちゃんとしたものが欲しいのであれば次にご紹介するチタン製のカップをおすすめします。
そこまでこだわらない人は安価なプラスチックで十分ですし、ステンレス製のヒシャクはそれなりの価格はするもののさほど機能的とは感じられないので、中途半端な素材だなと感じます。
チタンカップ
軽いヒシャクやエサ離れの良いヒシャクが欲しい人や、遠投したい人はチタン製のカップをおすすめします。
チタン製のカップは、軽くて耐久性に優れており、錆びにくい特徴があります。
スルっとエサが離れるので投げていて気持ちがよく、よく飛ぶヒシャクと言えばチタンカップとなります。
軽いので、一日使っていてもプラスチックのヒシャクと比べると疲労感が違いますし、バッカンの中でエサを押し付けたときの成形もきれいに決まります。
チタンカップは耐久性に優れているので無くさず大切に扱えば、数年は使い続けることができます。
しかし、チタンカップは製造の加工が難しく、価格が高いのが特徴的です。
カップだけでプラスチックのヒシャクが買えてしまうぐらいのものもあります。
ポイント
・手軽に始めるなら安価な プラスチック製
・ちょっといいものが欲しいなら ステンレス製
・ちゃんとしたものが欲しいなら チタン製
カップの大きさ
カップの大きさには主に3種類あります。
それぞれの使用用途に応じて使い分けます。
メモ
・Sサイズ 16~18cc 空気抵抗少なく遠投向き
・Mサイズ 18~20cc バランスの取れたサイズ感
・Lサイズ 22~30cc 足元ドカ撒き仕様
カップサイズが小さいほど遠投向きです。
大きな塊のほうが飛ぶようなイメージがあるかもしれませんが、エサの塊に空気抵抗が大きくなりますので、実際に使ってみると大きなカップほど飛ばないことがわかります。
遠投するなら間違いなく小さいカップが有利です。
大きいカップほど空中で分解しやすく、着地点がばらばらになりがちです。
エサはカップでしっかりとバッカンの内壁に押し付けて空気を抜くようにしてください。
Lサイズはトーナメントなどで、とにかく魚を早く寄せたいときや隣の人に寄せ負けたくないときに使うことが多いです。
主には足元にドカドカと撒いて、エサ取りが沖に出ないようにする時や、シマアジなどの煙幕に突っ込んでくる魚を寄せるときなどにも使えます。
深い堤防で足元にチヌを浮かせたいときなどにも有効で、手っ取り早く、エサをたくさん撒きたいときには必要でしょう。
シャフト
シャフトの硬さは使い手の体力や筋肉量などによっても合うものや合わないものがでてくるので、個人的な好みが分かれるところです。
柔らかいシャフトの特徴
柔らかいシャフトの特徴としては非力な人でもシャフトの弾性力を使って飛ばせるということです。
もちろん筋力のある人でも、力を込めてエサを撒かずにシャフトのしなりを使って飛ばすので疲れることなくエサを撒くことができます。
しかし、シャフトのしなりと投げるタイミングがズレると思わぬ方向に飛んでいってしまったり、山なりのエサ撒きになりやすいので、風の強い日などにはポイントが定まらず撒きにくいかと思います。
グレ釣りなどの比較的軽いコマセを撒くのに最適で、力を使わずに流れるようにエサを撒きたい人や、腕が疲れるのが嫌な人は柔らかめのシャフトがおすすめになります。
硬いシャフトの特徴
硬いシャフトは遠投したい人や、重たいチヌ餌を正確なポイントに撒きたい人におすすめです。
シャフトが硬いと軸のブレが少なくなるので思ったポイントに正確に撒けるようになります。
また粘りのあるエサや重たいエサを撒く際には、硬いシャフトでないとエサをきれいにカップに収めることができず、エサに隙間が生じて空中分解してしまう可能性があります。
コマセを撒いたときに、まとまりのあるエサを使っているのに、なぜかエサの塊が空中で割れてしまうという人はシャフトが原因かもしれません。
デメリットとしては、シャフトのしなりを使うにはそれ相当の筋力が必要になり、非力な人ではシャフトの硬さが活かせない可能性があるのと、やはり筋力で遠投している部分が大きいので一日通して使うと少し疲れてしまうというのはあるかと思います。
柔らかいシャフトか硬いシャフトのどちらを選ぼうかと思っている人は
ポイント
・軽いエサを近くに撒くグレ釣りでは、柔らかいシャフト
・重く粘りのあるエサを一点に撒くチヌ釣りでは、硬いシャフト
を選ぶのが最適かと思います。
シャフトの長さ
シャフトの長さは長いほどによく飛び扱いが難しくなります。短ければ扱いやすいですが、遠投性能は落ちてしまいます。
65㎝から80㎝越えまでの長さがあり、遠投しながら扱いやすい長さは70~75cmとなります。
立った状態からバッカンのエサをヒシャクですくうので、身長が高い人ほどバッカンのエサから離れるので長いヒシャクが必要になります。
身長170~175㎝の人で70~75㎝のヒシャクが使いやすいでしょう。
身長引く100㎝ぐらいを目安にヒシャクの長さを決めるとわかりやすいかもしれません。
とにかく遠投したい人はより長いものを選び、正確に撒き餌を撒きたい人は必要十分に遠投できる短いヒシャクを選ぶと良いでしょう。
グリップ
グリップ形状や素材にも様々なものがあります。
ここでは、どれがおすすめかというよりは、これはやめておいた方がいいというものを記載しておきます。
やめておいた方がいいのこの3つになります。
・コルクグリップ
・プラスチックグリップ
・サメ皮グリップ
どれも一般的なグリップではないかもしれませんが、変わっているからといって買ってしまうと後悔しかねません。
まず、コルクグリップはルアーロッドなどにもよく使われており、軽いという特徴がありますが、エサを使う釣りでは、エサがコルクの隙間に入り込んで汚れたり、濡れた手で触ると意外と滑りやすいというデメリットがあります。
プラスチックグリップは安いヒシャクに多く、硬いので手が疲れますし、これも滑りやすいです。
最後にサメ皮を使っているものは非常に高価で手作りのものが多く、しっかりとグリップでき、滑りにくい特徴があるのですが、素手では痛くて使えませんし、グローブを使っていてもサメ皮と接触している部分はすぐに破れてしまいグローブの消耗が激しくなります。
ヒシャクのグリップについては、EVA樹脂やラバー製のものがほとんだと思いますので、できれば実際に釣具店などでグリップを握ってみて、しっくりとくるお好みのグリップを選ぶことをおすすめします。
おすすめのヒシャク
ここまでは、ヒシャクの各パーツやその役割などを見てきました。
以上を踏まえたうえで、おすすめできるヒシャクを3つご紹介します。
カップはチタン製で長さが扱いやすい75~78㎝、カップサイズは20ccを基準にしています。
ダイワ(DAIWA) トーナメント ロングキャスター2
フッ素加工されたチタンヒシャクカップで、エサ離れがよくグレでもチヌでも使いやすいヒシャクです。
シャフト部分がテーパー状の作りになっており、トーナメント仕様のゴールドデザインは他のシャフトとは一線を画すおしゃれで高級感のあるデザインになっています。
シャフトのグリップ側はしっかりとしていて太目で、先端が軟らかく細くなっている先調子のヒシャクなので、軽い力でエサを撒くことができ、足元のエサ取りに対してエサを切るような、散らして撒くコマセワークがしやすくなっています。
繊細なコントロール性を備えたヒシャクで、どちらかというとグレ釣りのトーナメントにおすすめのヒシャクです。
ウキの右側30㎝にピンポイントで撒きたい時や、同じ場所に連投したいときなどにも使えます。
シマノ(SHIMANO) FIRE BLOOD コンペエディション遠投ヒシャク レッド 75cm SY-323R
コンペエディション遠投ヒシャクの特徴としては、軽量のチタンカップが9°傾いていて、止めて弾性力で飛ばすダイワのロングキャスターと違い、振り切って撒き餌の塊の回転で飛ばすという面白いヒシャクです。
ヒシャクを思い切って振り抜けるので、腕の負担も少なく、エサがホップアップ回転し普通のヒシャクなら落ちるであろう地点よりも先まで飛距離が伸びてくれます。
ヒシャクのカップにエサを押し付けるようにしっかりと形成するのがコツで、バッカンの内壁にエサを押し付けますが、コンペエディション遠投ヒシャクはグリップがやや太めにできているので、力が入りやすくしっかりとまとまったエサをカップに入れることができます。
手の小さい人にはグリップが大きいので、やや扱い辛いかもしれませんが、一般的な手の大きさの人ですとしっかりとグリップが握れる感覚がわかるかと思います。
特にたくさんの回数エサを撒くトーナメントやその試釣など、エサを撒けば撒くほどにグリップの太さの安定感が好ましくなるかと思います。そこまでたくさんエサを撒くことがないという人は、グリップは細めの他のヒシャクを選ぶか、発泡EVA素材ですのでカッターで削ってお好みの太さに調整することもできます。メーカー推奨ではありませんので、あくまでも自己責任でお願いします。
シャフト部分は竿と同様のスパイラルXというカーボン素材をクロスするように巻き込んだ強いシャフトで、デザイン性はありませんが、シンプルで機能的なシャフトになっています。
がまかつ(Gamakatsu) まきーなFINE SPECIAL2 (三角) GM840 780mm-20cc
マキーナの特徴としては、チタンカップが下膨れの三角形になっているところで、主には遠投を考慮した作りになっています。
シマノ社のように回転で飛ばすのではなく、エサ離れをよくして初速の抵抗を減らして塊で飛ばすヒシャクになります。
カップ幅の下側が比較的広く作ってあるので、水分の少なめのグレ餌やボイルオキアミなども撒くことができます。
飛ばした際に塊がやや大きく、空気抵抗は受けやすいですが、風のない日などでは、通常の丸形カップよりも綺麗にエサが離れて飛んでいってくれます。
遠投性を重要視しているのでシャフトはやや硬めですが、ガチガチのシャフトというわけでもありません。程よい硬さのシャフトでエサ離れの良いヒシャクとなっています。
ダイワ、シマノ社と比べるとやや値段が高い気もしますが、がまかつ愛好家の人には、ロッドとデザインを揃えてビジュアル的に楽しむこともできます。
尻手ロープは必要か?
ヒシャクは意外と無くしやすく、テトラの隙間に落としてしまったり、磯で流れてしまったり、チタンカップでも割れてしまったりすることはあります。
特に無くしやすいのが風のある日で、ヒシャクは軽く作られており、撒き餌をカップに詰めた状態でバランスが保たれるようになっているので、ヒシャクスタンドに入れている状態ではしっかりと水を張っていないと飛ばされたりヒシャクスタンドごと倒れたりして磯から転がり落ちる可能性が高くなります。
それを防止するのが尻手ロープになります。
ヒシャクのグリップエンドには尻手ロープを取り付けるリングがついていてこれにロープを付けて落下を防止します。
1万円ほどするヒシャクを落とすのは痛手ですし、ヒシャクがなくなってしまえばその日のフカセ釣りは絶望的です。
安心して釣りをしたい人は尻手ロープがあってもいいかと思います。
しかし、尻手ロープにはデメリットもあります。
ロープ自体が操作性を邪魔してヒシャクが非常に使いづらくなります。これは個人的な感覚になりますが、せっかくいいヒシャクを使うのであれば、ロープによって可動域を制限されるのはもったいない気がします。
そのため、2,000円~3,000円ほどの安いヒシャクがあれば予備でロッドケースに入れておくことをおすすめします。
私の場合は、チヌ、グレ、遠投、足元でヒシャク自体を変えるので少なくともチタン製の特徴の違う3本は常備しておくようにしています。
近くは短いもので撒いて遠投は80㎝のヒシャクを使うという分けた使い方もできます。この使い方はかなり便利でヒシャク選びも楽しくなります。
ただし、海の落としてしまったりすることもあり、その時にはかなりの痛手を負うことになりますので、覚悟が必要になります。
まとめ
フカセ釣りにおいて欠かせないのがヒシャクです。
カップの形状やシャフトの硬さ、グリップ形状など様々でどれを選べばいいか迷ってしまう人も多いことでしょう。
私も自分にしっくりとくるヒシャクを選び続けて10年以上になります。
年々メーカーの技術も発達し、より使いやすい、そして軽いヒシャクがリリースされてはその使い心地に驚かされるばかりです。
釣りの技術向上と共に使いたいヒシャクや長さなども変わってきます。
様々なヒシャクを試すのもまた釣りを面白くしてくれますので、釣具店に行った際はじっくりとヒシャクを吟味してみたり、釣り友達にヒシャクを借りてみたりしてヒシャクにもこだわったフカセ釣りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
いいヒシャクを使うのであれば、長年大切に使いたいものです。ヒシャク専用のケースもありますので以下の記事もご参照いただければ幸いです。
シマノ 柄杓ケースを使ってみた。シマノとダイワ、がまかつの違いは?