釣り餌のひとつとしてサナギがあります。
ここではサナギの特徴や使い方、サナギでチヌが釣れる時期などを見ていきましょう。
目次
釣りのサナギとは?
そもそも釣りのサナギというのは、絹(シルク)を作る蚕(カイコ)という蛾の一種がサナギになった状態のものです。
このサナギは高蛋白で、ビタミンも多く含まれており、栄養価の高いエサになります。
日本ではめったに食べられることはありませんが、韓国では焼肉料理店などでおつまみとして提供されています。
掲載したサナギの画像は、韓国の料理屋でさなぎ煮として食べたものです。
味は美味しいとまでは言えず、マルキユーのさなぎ粉のにおいが口いっぱいに広がり、釣りをしている人であれば練り餌を食べているような感覚になります。
チヌ(黒鯛)はサナギで釣れるのか?
本題になりますが、サナギを餌にしてチヌは釣れるのかということですが、
結論:チヌはサナギでよく釣れる。
チヌはサナギを餌として認識しており、サナギでチヌは釣れます。
問題はサナギを使った釣り方や時期、エサの付け方となります。
次に、サナギで釣る方法を見ていきましょう。
サナギで釣る方法
チヌをサナギで釣るためのポイントは、良質なサナギを選ぶことが重要です。
これはサナギだけでなく、オキアミや他のエサを使う際にも同様です。
干乾びたミミズを餌にするよりも取れたてのミミズの方が魚が食ってくるような気がしませんか?
人間や動物、魚も本能的に新鮮なものを好む傾向にあります。
ポイント
サナギを餌として使うには新鮮で身に張りのあるサナギを選びましょう。
良質なサナギの見分け方は、海水を張ったバケツやバッカンにサナギを入れてみます。
中身の詰まっているサナギは自重があるので水に沈みます。
逆にスカスカのサナギは空気を含むので水に浮かびます。
水に沈んだサナギを付け餌用として残し、浮いたものは砕いて撒き餌に入れると有効活用できます。
次に、サナギを餌にする場合はエサを底に這わせた方が効率よく釣れます。
サナギはオキアミなどと比べて体積が大きく比重があるので、海中を漂わせながらチヌに捕食させるよりも、海底に着底した状態でチヌに捕食させた方が食いつきやすくなります。
また、底に這わせることでハリスをたるませることができ、仕掛けの違和感を消すことができます。
アタリが出にくいというデメリットもありますが、それ以上のメリットとして、チヌにサナギを食わせることができるうようになります。
ポイント
サナギを付け餌にするときは海底を這わせる。
サナギのエサの付け方
サナギのエサの付け方は、一匹をそのまま刺してもいいのですが、ここでは私がよく使うおすすめの付け方をご紹介します。
サナギを針につけるときには、サナギを割ってから付けます。
画像のように中身が出た状態にすることで味とニオイが染み出し、集魚効果が期待できます。
3個掛けしていますが、2個でも4個でも針のサイズと釣り場の状況次第で個数と付け方を変えてみてください。
サナギの身が露出していることで、チヌのアタリが出るのが早くなる感じがします。
このサナギの付け方で、中身だけ食われて殻だけになって戻ってくる場合はエサ取りが多いことが考えられます。
多くの場合はフグが中身だけをついばんでいて、殻だけになります。
かじった跡や、ボロボロになっている時にはベラやカワハギがエサ取りとして考えられます。
チヌの場合は、踏みつけたような潰れた後になっている可能性が高いです。
エサ付けだけでなく、エサを回収したときにも注意を払ってサナギの様子を観察すると水の中が予測できます。
チヌはいそうだけど食わないときには、付け餌のサナギを見つけられていないのかもしれません。
そんな時には、目立つ色のコーンやオキアミ、練り餌などを組み合わせてあげると釣れる可能性が高まります。
たった一つコーンを付けるだけでもいきなりアタリがでるようになったことも多々あります。
また、色見の強いコーンや練り餌をメインに釣りをしていて、アタリがなく、サナギの半身をチヌ針1号につけてみたところ一投目で釣れたこともあります。
その日の状況によって、チヌが好む餌の付け方は変化しますので、少しずつ変化した餌付けをして正解を探してみてください。
続いてはサナギが有効な時期について見ていきましょう。
サナギで釣れる時期
サナギで釣れる時期はあるのでしょうか?
結論:サナギは1年中通して釣れる餌です。
実際に1月の寒い時期にも、春にも夏にも釣れたことはあるので、いつでも食ってくるのですが、季節によって若干ウキに出るアタリ方が変わったりします。
夏から秋の時期
特にサナギの効果を実感しやすいのは水温が高く、エサ取りの多い夏から秋の時期です。
この時期には、オキアミでは釣りにならないことも多く、エサの選択肢が少なくなります。
そんな時にもサナギは非常に役立つ餌です。
エサ持ちも比較的よく、本命のチヌにターゲットを絞って釣りができます。
夏から秋の時期には、ウキが消し込んだり、トンッ、トンッ、スパッ!とウキが沈んでいったりとウキが大きく動く傾向にあります。
エサ取りが多くいる中でサナギを見つけて捕食したチヌが反転してウキに大きくアタリが現れます。
ウキが一瞬でも深く入ることがあったらそのタイミングであわせてしまっても大丈夫です。
夏から秋の時期にじっくりと待っていると、エサだけ取られてしまうことも多いので、手返しよく釣りをするためにも比較的アワセは早くても大丈夫です。
冬から春の時期
冬から春の水温の低い時期は、サナギを居食いすることが多く、ウキにあたりが出にくい傾向にあります。
ウキがもぞもぞと動いていたり、沈んだと思ったら戻ってきたりします。
寒い時期は口先でサナギをくわえているだけのことも多く、食い込みが浅いとすっぽ抜けの可能性もありますので、少し待ってみてからあわせるようにします。
基本的にはサナギを底に這わせる釣り方でいいのですが、雪解け水が入ってきた場合など底冷えしている時には、べた底ではなく、少しサナギを浮かせた方が釣れることもあります。
サナギの一匹掛けではなく、半分にしてハリスにガン玉を打たずにフリーフォールさせてより自然に近い形でチヌを狙うこともおすすめです。
サナギミンチの効果
サナギをミンチにしたエサを撒き餌に入れると魚の寄りは格段によくなります。
においと味が染み出し、集魚効果が高まります。
代表的なものでは活きさなぎミンチ激荒ではないでしょうか。
冷凍品で解凍に時間がかかりますが、サナギをクワセにする場合は私は必ず入れています。
また、激荒であれば、そこからクワセエサとしてのサナギやコーンもとることができるのでおすすめです。
通常のフカセ釣りで一日釣りをする場合は、集魚剤3袋+オキアミ3㎏+激荒2枚ぐらいを使用します。
激荒の中でもクワセに使えそうなサナギとコーンをはじめに抜き取り、エサ箱に入れておきます。
残りの砕かれたサナギは撒き餌の中に入れて混ぜ込んで釣りをします。
釣りの大会時や人気の釣り場などで、とにかく自分のポイントに魚を寄せて釣りたいときには高集魚のエサが必須となります。
まとめ
ここではサナギの効果やエサの付け方などについてみてきました。
私も初めはこんなもので釣れないだろうと思っていましたが、サナギが釣れないというのではなくサナギをうまく使えていなかったことが原因でした。
サナギ自体はよく釣れる餌です。
釣り場や状況に応じてサナギをうまく使うことで釣りの選択肢が広がり釣果もアップすることでしょう。
今回はサナギ餌について見てきましたが、他にもチヌを狙う餌として練り餌をおすすめします。
さらに詳しくは以下の記事もご参照いただければ幸いです。
チヌの練り餌おすすめの実績ランキング。何色が一番釣れるのか?
【あとがき】
今回の記事を執筆し終えて、改めて「サナギを使ったチヌ釣り」というテーマが自分の中でいかに魅力的で、そして深掘りするに値するものだったかを感じています。そもそも、私自身がサナギを本格的に釣りのエサとして意識するようになったきっかけは、韓国の居酒屋で出てきたサナギの煮物(ポンデギ)を見て「あれ、これって釣りエサでおなじみのあの匂いじゃないか?」と衝撃を受けたことにあります。それまでにも釣り具屋さんなどでサナギ粉やサナギミンチを見かけたことはありましたし、練りエサの材料としてサナギが入っているのは知っていました。しかし、自分の目の前に“おつまみ”として堂々と並んでいるその光景は驚きとともに、同時に「人が食べられるくらい栄養豊富なのなら、魚にとっても魅力的に違いない」と強く思わされたのです。
実際に韓国で生活している友人からも「磯からチヌを狙うなら、サナギやトウモロコシのように少し固めでエサ取りに強いものが効果的だよ」とアドバイスをもらい、半信半疑ながら試してみたところ、しっかりとチヌが釣れました。それだけでなく、私が滞在していた地域ではサナギを丸々ひとつ針に掛けるだけでなく、ちょっと割って中身を見せてみたり、逆にそのまま殻付きで沈ませてみたりと、さまざまな工夫をしている釣り人に出会うこともありました。そんな経験を通して「サナギってオキアミや練りエサだけではカバーしきれない釣りの可能性を広げてくれる存在なのかもしれない」と確信に至ったのです。
しかしながら、帰国後に日本でサナギの釣りを試そうとすると、意外と情報が少ないことに気づきました。確かにマルキユーのさなぎ粉を撒き餌に混ぜるというのは割と一般的かもしれませんが、「クワセのメインとしてサナギをどう活かすか?」という切り口は、あまり詳しく書かれている記事が少ないように思えました。そこで今回、私自身が韓国での釣行で感じたこと、学んだことを活かして「サナギを使ってチヌを釣る際に着目すべきポイント」をまとめようと考えたのが、この記事を書く大きな動機だったのです。
記事の執筆過程では、忘れられないエピソードがいくつかよみがえってきました。たとえば、磯釣りをしていたときにたまたま近くで竿を出していた韓国人の釣り仲間に「サナギが苦手な人も多いけど、実際はエサ持ちの良さとかニオイが魚を寄せる効果はすごいんだよ」と笑いながら言われたことがあります。その言葉どおり、刺しエサにサナギを割って使うと、思いのほか早い段階で大きなチヌがヒットし、まるで自分の疑いを晴らすように強い引きを見せてくれました。エサ取りのフグやベラなどに中身をついばまれてしまうことも多かったのですが、そのリスクを承知しながらも「いつか大物が食ってくるはず」と根気よくサナギをローテーションに入れていたからこその成果だったと感じています。
また、サナギは日本ではあまり一般的な食材ではないため、周りの釣り仲間に話をすると「そんなもの食べたの?大丈夫?」と驚かれたり、あるいは「ああ、あのさなぎ粉のニオイの元って、本物のサナギだったんだね」と逆に関心を持ってもらえたりと、さまざまな反応を得られました。私も最初は戸惑いながら食べてみましたが、確かに口中に広がる独特の香りは釣り場で嗅ぎ慣れたサナギ粉とまったく同じ……。それを通じて、改めて餌としてのサナギの“本格感”を思い知ったのです。
こうした背景があったからこそ、私はこの記事でサナギの特徴や有効な使い方だけでなく、実際に釣りに行ったときの具体的な仕掛けの調整方法や、時期に応じた食わせ方の変化などを可能な限り細かく盛り込みたいと思いました。同時に、「サナギは釣れるけど実際に使いこなすのはちょっとコツがいる」ということも強調したかったのです。私自身、サナギの扱い方を間違えたせいでまったく釣れなかった経験も少なくありません。ちょっと干乾びてしまったり、殻だけが残って戻ってきたりと、思わぬ苦戦を強いられることがあるのも事実です。その度に、「鮮度重視で選んでみよう」「底に這わせてみたらどうか」と試行錯誤を繰り返しながら、成功と失敗を積み重ねてきました。
ですから、この記事を読んでくださった皆さんには、ぜひ「一度試してみようかな」という軽い気持ちでサナギ釣りに挑戦してほしいと思っています。チヌ釣りにおいては、エサや仕掛けの選択肢を複数用意しておくことがとても大事です。同じポイントでも、日や潮回り、季節によって、まったく反応が変わってきますし、オキアミやコーン、ネリエサに反応しなくても、サナギだと一発で食ってくるなんてことも決して珍しくありません。逆に、最初は「サナギが全く効かないな」と思っていても、潮流が変わったタイミングで突然当たりが出始める場合もあります。そうした不確定要素を「楽しみ」に変えられるのが釣りの面白さであり、奥深さでもあるのだと、私は常々感じています。
また、この記事を通じて「韓国にはこんな食文化もあるのか!」という驚きを味わっていただけたら嬉しいです。日本では馴染みのないサナギですが、海外では普通に食材として通用している地域も多々あります。そうした異文化との出会いが、結果として私の釣りスタイルにも影響を与え、新しい発想やアイデアをもたらしてくれました。もしこの記事が、読者の皆さんにとって「もっと広い視野で釣りを楽しんでみよう」という気持ちを芽生えさせるきっかけになれたのなら、これ以上の喜びはありません。
最後に、サナギ釣りは決して難しいものではありませんが、少し工夫が必要です。エサ取り対策や付け方の工夫、撒き餌との連携など、ひと手間かけることでガラッと釣果が変わる可能性があります。ぜひ次の休みには、小さなアレンジからでも構いませんので、今回の記事で紹介した方法を試してみてください。釣り場でサナギを割ってフワッと漂わせているとき、あるいはべた底に這わせてじっと待っているときのワクワク感は、他のエサにはない特別なものがあります。一度当たりが出ると病みつきになるかもしれません。
この記事が、皆さんの釣りの新しい扉を開く一助となり、ワクワクするような釣行のイメージを膨らませるきっかけになれれば幸いです。私自身、まだまだサナギの可能性を追求中で、これからも試行錯誤を続けるつもりです。もしこの記事を読んで実際に試してみた方がいらしたら、ぜひ感想や釣果を教えてください。釣り人同士、情報やアイデアを共有し合いながら、より面白い釣りライフを送れるようにしたいものですね。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。今後もさまざまなエサや仕掛け、そして韓国や日本をはじめ海外の釣行記など、釣りの楽しさや奥深さを掘り下げる記事を書いていきたいと思っています。皆さんの釣りが、サナギというエサをきっかけにさらなる発展を遂げられることを願っています。新鮮なサナギを糸口に、ぜひ新しい冒険を始めてみてくださいね。きっと、チヌたちがその挑戦に応えてくれるはずです。