乗っ込みのシーズンになり、今年こそは大チヌを狙いたいと考えている方も多いのではないかと思います。
今回はPEラインを使った沈め釣り、全誘導の釣りで大チヌを狙う方法をご紹介したいと思います。
乗っ込みの時期には最適な釣り方でもあります。
目次
大チヌってどれぐらい大きいの?
一般に大チヌだなと言われるサイズ感でいくと50cm以上でしょう。
このサイズです。
年無しといわれることの方が多いかもしれません。
実際釣った時には、水面に出た時点で、おっ!デカいなー!と感じるサイズでした。
今までの感覚ですが、40㎝までのチヌはよく釣れますが、50㎝を超えてくるチヌにはなかなか出会えません。
チヌの寿命は5~10年ぐらいですが、中には20年近く生きている魚もいるようです。年無しと呼ばれる50㎝以上のチヌは10歳を超えたあたりのチヌが多いように思います。
海の状態や栄養状態によっても魚のサイズは変わってきますが、およそ10年以上の魚は年無しに近いといえるでしょう。
大チヌの潜む場所
大チヌが釣れる場所としては、まず暖流の当たる場所があげられます。
海水温が安定しており、発育しやすい環境でなければチヌは大きくはなりません。
大チヌが釣れた場所としては、水温が一年を通して高く、温度変化が少ない場所が多いです。
大きな河川の周辺にはチヌは多いですが、海水温の変化も激しいため、大型のチヌは少ないように思います。
チヌ自体は水温変化や環境の変化にも比較的対応しやすい魚なのですが、急激な温度変化には弱い魚です。
雪解け水が流れ込んだり、台風後の濁流が河川に流れるとチヌはエサを食べなくなってしまいます。そうすると成長しないだけでなく、やせ細り、最悪の場合死に至ります。
そのため、50㎝以上の年無し大チヌは水温の安定した沖にいる可能性が高くなります。
厳寒期の食が細くなる時期にも沖合の水深のある場所で活動し、エサを食べ続けているのだと考えられます。
年無しの狙う場所は?
大チヌを狙う場合には、まず情報収集が欠かせません。インターネットや雑誌、釣具店などでの聞き込みは重要な情報になります。
過去に釣れた場所であれば、魚が居つきやすくなっていますので、再度狙うことも可能でしょう。
年無しの釣れる場所としては
•水温が安定している。
•満潮時にはかけあがりや根の周り、干潮時には沖合の水温が安定しているところ
・砂地が入っており、水温が上がりやすい場所
・イケスの周辺
・潮の緩やかなところ
が挙げられます。
水温が安定しているのはエサを捕食しやすい環境であるため、成長しやすくなるためです。
根やかけあがりは、身を隠すことができ、外敵から逃げることができるためです。
砂地があった方がいいのが、水温が上がりやすく、日の出とともに海水温が上がりやすいためです。
イケス周りには養殖用のペレットが撒かれるために、栄養価の高いペレットのおこぼれを捕食することで体が大きく成長するからです。
潮が緩やかな場所に着くのは、大型になればなるほど潮の影響を体で受けやすくなるため、泳ぎにくくなります。体力も消費するため、エサがとれる潮の緩やかなポイントが大チヌの潜む場所になります。
年無し大チヌ狙いのPEフカセタックル
通常のチヌ狙いのタックルであれば、竿は0~0.6号 道糸はPEG50.8号にハリス1.5号にチヌ針の1号で挑みます。
乗っ込みの時期はこれよりも強いタックルで大型を狙うため、以下のタックルとします。
竿
極翔硬調 黒鯛 1.5号530
道糸
PEG5 1号
ウキ
シマノゼロピット遠投00
ハリス
1.7~2.5号
ハリ
掛かりすぎチヌ 2号
大チヌ狙いのタックルは、強めのハリスを基準に組み立てます。
大チヌは浮いていることは少なく基本的に底付近にいます。狙いはそこになるため、岩や根に擦れることを覚悟しなくてはなりません。
2キロから3キロのチヌが沖の底で走ると簡単には止められませんので、ハリスは2号程度を基準にします。底を這わせて釣ることも多いので、ハリスが底に寝た状態になり、チヌに警戒心を与える可能性は低くなります。そのため、細いハリスを使う必要はないでしょう。
釣りをしている最中にはハリスの状態には気を使いましょう。ハリスに傷がついていないか、よれていないかなど定期的にチェックします。
せっかくの大物が掛かってもハリスに傷がついていて逃がしてしまってはもったいないです。
少しでも違和感のある状態になったら、ハリスを交換することをお勧めします。また、ガン玉の打ち方にも工夫が必要です。
柔らかいガン玉を使うか、しっかりと打たずにソフトにハリスにガン玉を付けるようにしましょう。
年無し狙いのエサ
チヌの配合エサを考えていきます。大チヌは底付近に多いため、底狙いの配合エサを中心に組み立てます。
ベースとなるのが、重さを兼ね備えた、チヌパワー激重です。
これに濁りで魚を集めるのと仕掛けをカモフラージュするために BチヌⅡや白チヌを加えます。
チヌパワー激重1袋+BチヌⅡ一袋 +オキアミ1枚
となります。配合するオキアミは細かく砕いて使用します。
これは遠投性能を高めるためと濁りにオキアミの汁を吸わせて遠くまでエサの香りを運ぶ役割があります。
大きなオキアミ粒が落下してくると、オキアミが潮に乗って流れてしまい、ポイントから外れてしまう可能性が高くなります。細かくすることで、釣りたいポイントに魚を集めることができるようになります。
大チヌの誘い
大チヌほど警戒心は強くエサに対して動きがあれば敏感に反応します。
基本的にはあまり誘いを入れずに、潮にのせて海底を流れていくようにします。あたりがなく誘う場合はゆっくりと自然に誘いをかけるようにしましょう。
あわせ方
年無しの大チヌが食ったときにあわせを失敗すると次には口を使わなくなります。警戒心が高いため、これは危険なエサだとすぐに学習します。
小さめのハリやグレ針などでしっかりと飲ませてからあわせをいれるぐらいがいいでしょう。
PEラインであれば小さなあたりもとりたくなりますが、しっかりと糸が走ってからあわせをいれるぐらいの方が針掛かりしやすくなります。
釣れてからのやり取り
大型ほどハリスの切り方を知っているかのように根や岩陰に入ろうとします。障害物がある場合は素早く浮かせて障害物から距離をとり、そこから体力を奪うようにゆっくりと慎重にやり取りをするとよいでしょう。
小型の魚であっても根に入られるとどうしようもありません。かけてすぐのやり取りが重要になります。主導権を握らせないようにしましょう。
年無しチヌを狙うには
配合エサやタックルバランスも大切ですが、見落としがちなのがチヌをかけたあとのことです。
どこでどのようにやり取りをして魚をとるのかということは釣りをする前にある程度考えておきましょう。これは大型を狙う場合のみならず、どんな時も魚をかけて焦らないために、釣った後のことをイメージしておきましょう。
そうすることで、直前でばらしてしまったといった悔しい思いをすることが減るでしょう。
まとめ
乗っ込みのシーズンを迎え、今年こそは大チヌを狙いたいと考えている釣り人に向けて、PEラインを使った沈め釣りや全誘導の釣り方についてご紹介しました。特に大チヌ(50cm以上)を狙うためには、釣り場の選定やタックルの組み立てが非常に重要です。
大チヌの特性と釣れる場所
大チヌは10年以上生きた魚が多く、暖流の当たる水温が安定した場所や、砂地、イケス周辺、潮の緩やかな場所などが狙い目です。これらの場所では、エサを捕食しやすく成長しやすい環境が整っています。
タックルの選定
大チヌを狙うタックルは通常のチヌ釣りよりも強めのものが必要です。竿は1.5号程度、道糸はPEG5の1号、ハリスは1.7~2.5号を基準に選びます。ハリスが底に擦れることも考慮し、定期的なチェックと交換を怠らないことが大切です。
エサの選定とブレンド
エサは底付近にいる大チヌを狙うために、重さを兼ね備えた「チヌパワー激重」をベースに、BチヌⅡや白チヌをブレンドし、オキアミを細かく砕いて配合します。これにより、遠投性能が高まり、エサの香りを遠くまで運ぶことができます。
誘いと合わせ
大チヌは警戒心が強いため、自然な流れで海底を漂うようにエサを流します。合わせるタイミングも慎重に、糸がしっかり走ってから合わせることで、針掛かりしやすくなります。
釣り上げのやり取り
大チヌを掛けた後のやり取りも重要です。特に根や岩陰に入られないように、素早く浮かせて障害物から距離を取ることが求められます。釣りを始める前に、釣り上げのシミュレーションを行うことで、焦らずに対応できるようになります。
まとめ
年無しの大チヌを狙うには、タックルやエサの選定はもちろん、釣り場の情報収集や釣り上げ後のやり取りの準備が重要です。適切な準備と工夫を重ねることで、大チヌとの出会いを増やし、釣果を上げることができるでしょう。今年の乗っ込みシーズンには、ぜひPEラインを使った沈め釣りや全誘導の釣り方で大チヌを狙ってみてください。
【あとがき】
この記事を書き終えた今、改めて「大チヌを狙う」という行為の奥深さと、釣りの面白さに思いを馳せています。今回取り上げたPEラインを使った沈め釣りや全誘導の釣りは、私にとっても非常に魅力的かつ挑戦しがいのある釣法のひとつです。乗っ込みシーズンに活躍するこの釣り方を取り上げた背景には、私自身が「大チヌがなぜここまで釣り人を惹きつけるのか」を再確認したかった、という強い思いがあります。大チヌと呼ばれる50cmを超えるサイズのチヌは、ただ大きいだけでなく、10年、あるいは20年近く海を泳ぎ続けてきた“人生”ならぬ“魚生”の重みがあるからこそ、私たち釣り人をひきつけてやまないのだと思うのです。
振り返ってみれば、この記事では大チヌの潜む場所やタックルの強化、エサの配合や誘い方、合わせのタイミングなど、私がこれまで培ってきた知識や経験をぎゅっとまとめる形となりました。とはいえ、すべてを語り尽くせたわけではありません。大チヌ釣りの戦略は実に奥が深く、環境や季節、潮回りやポイントの特性など、さまざまな要素が絡み合います。今回取り上げた内容をベースにしつつ、今後も実際の釣行や情報収集を重ねながら新たな発見を続けていきたいと強く感じています。
さて、ここからは少し執筆の背景や、私自身の体験談を交えてお話ししてみたいと思います。この記事を書くきっかけのひとつになったのは、広島で大知プロと一緒にチヌ釣りをさせていただいたときの思い出です。大知プロはチヌ釣りのスペシャリストとして有名な方で、その知識量と、実践に基づいたアドバイスの的確さには心から驚かされました。広島の瀬戸内海エリアは潮通しがよく、独特の地形が多いことでも知られていますが、実際に足を運んでみると「ここが釣れそうだな」と感じるポイントがあちこちに点在しているのです。
私が初めて大知プロとお会いしたのは、まだ私が大チヌ狙いに慣れていない頃でした。まず驚かされたのは、「チヌは単に堤防際だけを泳いでいるわけじゃない。潮目や海底の地形をしっかり想像して、沖を狙うことが重要だ」という言葉でした。実際、波止場から軽く遠投した先の潮の緩いポイントを丹念に探ってみると、驚くほどの引きで竿先を叩く大チヌが食ってきたのです。そのときの衝撃は今でも忘れられません。掛けた瞬間に底へ潜ろうとするチヌの力強さは、まさに“海の荒くれ者”と呼ぶにふさわしいものでした。
釣り上げたのは40cmのチヌでしたが、私にとっては「大チヌ攻略」の確かな手応えを感じさせてくれる一匹でした。あの時のやり取りを思い出すと、今回の記事で取り上げたような“強めのタックル”の大切さや“ハリスの状態チェック”がどれだけ重要か、体験を通じて身に染みているのを実感します。大知プロとの釣行は、それまで私が抱いていた「チヌ釣りの常識」を一気にアップデートしてくれる素晴らしい機会だったと感じています。
また、記事の中で“障害物から距離を取る”という話を書きましたが、これについても別のエピソードがあります。実は以前、神子元島へ遠征した際にご一緒した平和プロから、こんなアドバイスをいただいたのです。「大物ほど岩陰や根に逃げ込む確率が高い。かけたらすぐに浮かせるイメージを持って、ラインテンションを保ったままゆっくりやり取りしてみるといい」。神子元島は黒潮の影響をダイレクトに受けるため、回遊魚はもちろん、根魚や大型のチヌも潜んでいるという話をよく聞きます。私はその遠征でこれはでかいと思うグレには出会えなかったのですが、平和プロの言葉は私の中に深く刻み込まれました。
実際、チヌに限らず、底付近を回遊する魚は障害物をうまく使いこなします。とりわけ年無しと呼ばれるクラスは一筋縄ではいきません。PEライン特有の繊細な感度と、しなやかさを活かしたやり取りで初動を制し、できるだけ早い段階で魚をコントロール下に置くことが大切です。大知プロや平和プロをはじめ、さまざまな釣り仲間とのやり取りを通じて学んだこれらの知識は、今回の記事でも強く意識しながら執筆しました。
◇――――◇
さらに、執筆するうえでは私自身の釣行体験をあれこれと振り返る機会にもなりました。例えば、まだ私がチヌ釣りの右も左もわからなかった頃、偶然にも大チヌを掛けたものの、磯際の根に突っ込まれてあっという間にハリスを切られた経験があります。当時は根ずれ対策もまったく考えておらず、ハリスの傷を気にするなんて発想もなかったので、あまりに無謀なやり取りだったなと今でも苦笑してしまうほどです。もし同じシチュエーションになったとしても、今ならば“どうやって障害物を避けながら魚を引きはがすか”を瞬時に考えられるはず。そう思うと、釣りというのは失敗や経験を蓄積しながら少しずつ上達していくスポーツなのだとしみじみ感じます。
書いているうちに、昔の悔しい思い出から、仲間と笑いあいながら釣りをしてきた時間までもが鮮やかに蘇ってきました。釣りは一人で熱中できる楽しさもありますが、まわりの仲間や先達、そして偶然出会った方々との情報交換があるからこそ、一層充実したものになるのだと実感しています。今回ご紹介した沈め釣りや全誘導といった釣り方についても、決して私一人のアイデアではなく、多くの方々との意見交換や実釣を通じて得た知識を組み合わせたものなのです。
◇――――◇
最後になりますが、この記事を読んでくださった方々に、心からのお礼を申し上げたいと思います。大チヌ釣りの魅力は、実際に狙ってみることで初めて分かる部分が多いです。重厚な引きと、そこに至るまでの戦略。簡単には出会えないからこそ、その一匹との遭遇は忘れられない思い出になるはずです。私はこのブログ記事を通じて、そんな大チヌとの出会いへのワクワク感を一人でも多くの方に味わってもらいたいと思っています。
もちろん、チヌ釣りのスタイルは人それぞれです。ウキフカセで狙うのが好きな方、ルアーでのアプローチを楽しむ方、あるいは落とし込み釣りに情熱を傾ける方――みなさんがそれぞれの釣り方でチヌとの対話を楽しめるのが、この釣りの面白いところでもあります。もしこの記事が、皆さんが新しい釣法に挑戦してみようと思うきっかけになったり、久しぶりに竿を握って海へ出かけたくなるような後押しになれたりしたら、これほど嬉しいことはありません。
次の週末、あるいはタイミングが合う休暇の日に、ぜひ今回ご紹介した“PEラインを使った沈め釣り”や“全誘導”のスタイルにチャレンジしてみてください。実際の釣行では、海の状況や天候は日々変化しますし、何より魚は思いもよらぬ行動に出ることがあるので、計画通りにはいかないかもしれません。ですが、その過程こそが釣りの醍醐味であり、私たちを夢中にさせる最大の理由だと思います。
どうか読者の皆さんも、楽しみながら、そして大チヌと出会える日を心待ちにしながら、安全第一で釣りを満喫してください。このあとがきが、少しでも皆さんの釣りライフを彩るヒントとなれば幸いです。