スーパーマーケットなど、身近な場所でも購入できるアサリ。
春から初夏にかけて産卵期となるため身が大きくなり、人間にとっても美味しい貝ですが、これは魚にとっても同じです。
ここでは、アサリで釣れる魚とアサリを使った釣りエサの作り方を見ていきます。
目次
スーパーのアサリはエサになる?
スーパーに売られているアサリは殻付きのものだったり冷凍の剥きアサリだったりしますが、これらは釣りに使えるのでしょうか?
結論
非常に使いやすいエサになる!
そのままむき身にして使ってもいいのですが、少し加工するとさらに使いやすいエサに進化します。
魚の好む成分やタウリンやベタインなどのアミノ酸も多く含まれています。
そもそもアサリって?
アサリは漁るという言葉からあさりに転訛したという説があるほど、浅い砂浜をあさっていると採れる貝で知られています。
日本で出回っているものは殆どが外国産で、中国や韓国から輸入したアサリですが、釣りエサに使うのであれば、産地関係なく使うことができます。
アサリを使うメリット
アサリはなんといっても安いということでしょう。
冷凍の剥きアサリなどは業務用スーパーでは、500gで398円で販売されていたりします。
殻をとるのが面倒でなければ殻付きのあさりでもいいでしょう。
むきあさりのほうがコスパはいいように思いますが、殻付きのアサリでパスタやみそ汁など食用として主に使用し、釣りにも使うというのであれば殻つきもいいですね。
アサリを釣りエサにするメリットとしては、ハリから外れにくくエサ持ちがいい点が挙げられます。
エサ取り名人といわれるほどのカワハギやフグなどがつついてきてもしっかりとエサが残るため、釣れるまで待つことができ、初心者の人にも使いやすいエサです。
アサリで釣れる魚
アサリで釣れる魚には以下のような魚がいます。
代表的なのはカワハギでしょう。
他には
アサリで釣れる魚
・フグ
・ベラ
・カレイ
・ハゼ
・ネンブツダイ
・マゴチ
・アイナメ
・イシダイ
などが挙げられます。
アサリで釣れる珍しい魚
個人的にアサリで釣れた魚で、えっ!こんなの釣れるのといった魚もいましたのでご紹介します。
タカノハダイ
磯では潮止まりの象徴として、あまり好かれる魚ではありませんが、アサリを食ってくることは意外でした。
独特の臭みがあることから、捨てられることが多い魚ですが、冬であれば比較的臭いは感じないため、美味しい魚になります。
口の小さい魚で、アタリは比較的小さいです。
どのタイミングであわせようかと迷うほどです。
引きが強いわけではないですが、瞬発力のあるファイトを楽しめます。
アカハタ
動いていれば、なんでも捕食するのだなと思います。
エビや、赤貝、キビナゴ、イカ、ワーム、ジグなどエサの硬さやサイズ、色や味が違っても釣れたことがある魚なので、カサゴのように比較的釣りやすい魚のようです。
アサリは一つではなく6個ぐらい数珠なりにして使いました。
2,3個ではエサ取りに取られてしまうことも多くなります。
チヌ針の5号ぐらいの大き目の針に、アサリをたくさん刺して塊にしてもいいでしょう。
小魚はアサリの塊を飲み込むことができず、つっつくだけですが、アカハタやカサゴのようの口の大きな魚は丸のみにしてきます。
このように大きな魚をアサリで釣りたいときには針にたくさんアサリを付けるのも有効です。
ベラ
意外な魚ではないかもしれませんが、カワハギ狙いで釣れました。
堤防からアサリを使うと良く釣れる魚の一種ですね。
エサ取りとして優秀で、うまく針からアサリだけをついばんでいきます。
もしベラをアサリで狙うのであればキス針のように細く吸い込みやすい針にアサリをカットして小さくつけることをおすすめします。
イシガキダイ
石鯛狙いで、赤貝のかわりにアサリをつけてみたところイシガキダイが釣れました。
アサリは8個を数珠通しの様にして使います。
少ない個数ではアタリも少なくなりますので、大きな魚を狙う場合は大きくエサをつけることをおすすめします。
アタリは明らかにアサリを食いちぎるように、カツン、カツンと竿先を叩くような気持のよいあたり方です。
口が硬く、アサリをくわえて反転してからあわせないとすっぽ抜ける可能性がありますので、竿先がグッ、グッっと入っていくまで待ってからあわせるようにしましょう。
ニザダイ:サンノジ
こちらも石鯛狙いの時にアサリを使っていて釣れた魚です。
磯臭さのある魚ですが、早期に内臓の処理をして血抜きすればまずまずの美味しい魚になります。
かなりの引き込みがありますので、釣りの引きを楽しみたい人には面白いターゲットですね。
比較的口が小さいので、強いあたりがあるけれどもあわせてものらない時にはニザダイの可能性があります。
アサリのエサの作り方
アサリを餌として使う場合には、そのまま針に刺してもいいのですが、独特のぬめりがあり針に付けづらいです。
このヌメリを取って使いやすいエサにしていきます。
ぬるとり5
カワハギで使用するアサリのヌメリを取るための液体です。5秒でヌルが取れるというのがうたい文句だけあって、アサリのぬめりがサッと取れるのがありがたいです。
これによりエサつけをしやすくなり手返しもよくなります。
カワハギの船釣りなどで使われることが多い液体ですが、堤防などからちょこっと釣りをする程度なら必要ありません。
たくさんアサリを使い手返しよく釣りをしたい人は使ってみるのもいいでしょう。
ヌメリをとるときれいに針に餌を付けることができるので、フッキングがよくなります。
特にカワハギなどの餌をうまくとる魚を対象魚としているのであれば、使ってみるとヌメリのないアサリの付けやすさに驚きます。
カワハギゲッチュ
手剥きした小粒のアサリでちょうど針に収まるサイズのアサリが入っています。水管やワタが整っており、適度に身が締まっているためアタリも多く出せます。
少々お高いですが、アサリのエサを作るのが面倒な人はこれをそのまま使うのもいいですね。
アミノ酸α
アサリのヌルを取ったエサでも問題なく使えるのですが、さらに集魚効果をアップさせたい場合アミノ酸αを加えます。
魚の好むアミノ酸でアタリ数が多くなります。
まとめ
スーパーでも手軽に手に入るアサリで様々な魚を釣ることができます。
想いもしなかった魚が食ってくることもあり、低価格のエサとして楽しめます。
集魚成分を加えてさらに魚が好むえさにアレンジしてみると良い釣果に恵まれるのではないでしょうか。
【あとがき】
今回の記事を書き終えて、改めてアサリという身近な食材が釣りにおいても非常に魅力的なエサになるのだと実感しました。私はもともと、コストを抑えながらも工夫次第で釣果を伸ばせるアイデアを探求するのが好きで、今回のアサリエサの特集はまさにその思いを体現したものです。特に、ヌメリを取る工夫や集魚成分を加えることで釣りの幅が大きく広がると再認識しました。安価で手に入り、幅広い魚種を狙える点は初心者の方にも魅力的でしょうし、私自身も改めてエサ選びの奥深さを感じています。
この記事を執筆する背景には、私自身が大学時代から続けてきた魚の摂餌行動に関する研究が大きく関わっています。当時、水生生物の食性や摂餌パターンを調べる研究室に席を置いていました。ゼミでは魚類の食性について調べるために、フナや金魚などを自宅で飼育し、餌に対する反応を細かく観察する日々を送りました。その際、魚によって好む餌の形や硬さ、香りなどが驚くほど異なることに衝撃を受けたのをよく覚えています。特に水中カメラを回してフナの口元をクローズアップ撮影したときには、ほんのわずかな匂いの違いにさえ敏感に反応している姿が映り、釣りにおいても「餌」というのがいかに奥深いテーマであるかを痛感しました。
大学を卒業してからは一般企業へ就職したのですが、それでも釣り熱は冷めることなく週末になると近くの堤防や磯へ足を運んでいました。その過程で、釣り餌メーカー「マルキユー」の研究員の方とひょんなことから知り合いになったんです。きっかけは地元の釣具店で行われていたイベントで、そこに来ていた研究員の方が私の研究室時代の先輩と知り合いだったことでした。そこから話が盛り上がり、私自身が大学時代に行っていた「魚の摂餌行動」をテーマにした研究の話をすると、「僕たちは実際の製品化の段階で、まさにそういった視点が必要になるんですよ」と意気投合。以来、餌の成分や食いつきを高めるためのアミノ酸の話題や、練り餌の硬さを調整するために使う素材の選定など、いろいろと興味深い情報交換をさせてもらうようになりました。
あるとき、私はその研究員の方に「スーパーのアサリでも本当に釣れるのか?」と疑問をぶつけました。というのも、アサリはどちらかというと貝塚や干潟などで自分で採るイメージがあり、わざわざスーパーで買うのはどうなのかな、と半信半疑だったのです。すると、「殻付きかむき身かは状況によりますが、安定して大量に確保できるならむしろスーパーのアサリで十分ですよ。あとはぬめりを取ったり、アミノ酸をプラスしたり、硬さを調整したりして使えば、相当釣れます」と言われました。それから私も実際に試してみると、堤防でのカワハギ釣りだけでなく、磯で狙う石鯛の代替エサとしても手応えのある結果が出はじめたんです。特に、8個ほど数珠なりに刺して塊を作ると、小魚にはつつかれるものの、口の大きな魚が果敢にアタックしてくるのを目の当たりにしました。まさにこの記事でご紹介したイシガキダイやサンノジ(ニザダイ)などがその好例です。
そうした成果をブログにまとめようと思ったのは、釣り仲間からも「スーパーで買ったアサリって本当に使えるの?」「具体的にどうやって加工するの?」という質問が多かったからです。実際、私も初めは加工の手間を敬遠していたのですが、「ぬるとり5」や「アミノ酸α」などのアイテムを使うと格段に作業が楽になることに気付きました。それを記事としてまとめて発信することで、きっと多くの釣り人が「安くて手に入れやすいアサリで、こんなに幅広いターゲットを狙えるんだ」ということを知ってくれるだろうと感じました。また、釣具店に足を運んだときにも、店長さんや常連のお客さんから「マルキユーの新しい餌もいいけど、やっぱりアサリのコスパは最強かもしれないな」という声をいただき、改めて身近な貝のポテンシャルを確信した次第です。
さらに、個人的に印象深かったのは、昔から狙っていたアカハタを初めてアサリで釣りあげたときの興奮です。普段はエビやイカなどを好むイメージのある魚でも、結局のところ“美味しそうで匂いの強い餌”であれば口を使ってくれるのだな、と。「身近だけど盲点だった食材」にこそ潜む釣りの可能性が大きいのだと痛感しました。釣り人にとって工夫というのは大きな楽しみの一つでもありますから、スーパーの安いむきアサリや殻付きアサリを自分好みに手を加え、普段の釣行に活かしてみるのは大いにアリだと胸を張って言えます。
私は今後も、様々な食材や生物を使った実験や研究を続けながら、発見したことを少しずつ記事にしていきたいと思っています。たとえば、水温や季節による食いつきの違いなどはまだまだ奥深いテーマですし、魚の嗅覚や味覚への刺激の仕方も日進月歩で研究が進んでいます。自宅で飼育している金魚やフナを使って毎日のように小さな実験をしつつ、それを実際の釣りに応用し、新たな成果が得られればまた記事として共有していきたいですね。
最後に、この記事が皆さんの釣行に少しでもヒントを与え、より一層楽しい釣りライフを送っていただくきっかけになれば幸いです。