冬季になると水上公園などのプールが釣り場に変わり、本格的にプールフィッシングが始まります。
手軽に行けて、料金もお手頃なので軽々しい気持ちでいくと、管理釣り場よりも難しい釣り場であることもしばしばです。
あなどれないトラウトのプールフィッシングで釣るための攻略法とおすすめのルアーをご紹介します。
目次
プールフィッシングの攻略法
噴水や水車を狙う
プールフィッシングにおいて大切なのは場所です。魚のいないところにキャストしていては一生釣れることはありません。
まず初めにおさえておきたいポイントは噴水や水車周りです。
特に水車は水をかき回すことで流れを生み出し、空気中の酸素を取り込んで水中の酸素濃度をあげてくれます。
噴水も同様に空気を含んで着水した水によって、水中の酸素濃度が高くなります。
酸素濃度が高くなることで、魚の活性も上がります。
やる気になっている魚が多いのが、噴水や水車回りということです。
そのため、ルアーをゆったりとしたスピードで巻いてくるよりも、やや早めのリアクションを誘うような巻き方のほうが、トラウトの反応がいいように感じます。
もちろんその日の状況や、行く時間帯などで変わってきますが、朝いちばんに水車周りの場所がとれたのであれば、気持ち早く巻いてみるのもいいでしょう。
水車の下にカメラを沈めた動画がありましたので載せておきます。
水車の後方だけでなく、水車の真下や水車の上流にも魚が集まっていることがわかります。
ギリギリを攻める必要はなく、その周辺の回遊しますので、角度を変えて探っていくと面白いでしょう。
水車や噴水などは時間によっては稼働していないこともありえます。
動いていないからと言ってスルーしてしまうのはもったいないです。
ただの障害物として浮かんでいるだけでも、プールフィッシングにおいてはトラウトの立派な休憩所になります。
水流がない場合は、早く巻くのではなく、ゆっくりとじっくりと探っていくと反応する個体がいるはずです。
焦らずに、丁寧に探ることを心がけましょう。
噴水・水車周りは絶好のポイントになりますが、注意しなくてはいけないこともあります。
それはキャスティングのミスで水車にルアーが巻きとられてしまうことです。
もし巻き込まれたらラインごと持っていかれますので、いきなり近距離を攻めずに、ある程度上達してから狙うことをおすすめします。
注意ポイント
水車は絶好のポイントだが、キャスティングでミスしないよう細心の注意を払って、無理せず攻めよう。
水流のある場所を上流から狙う
トラウトは基本的に流れに対して、上流を向いています。これはトラウトだけではなく、川魚などに多く見られる性質です。
これは走流性と言い、水流が刺激となって川上を向く性質から来ています。
魚は上流方向を向いていれば川上から流れてくる小さな虫やエビ、カニなどのエサをすぐに見つけることができ、簡単に捕食できます。
また水の濁りや気候の変化などにも対応しやすくなります。
そのため、プールでも流れの上流を向いていることが多く、エサとして撒かれているペレットなどがいつ来るかを待ち構えています。
攻略法としては上流からルアーを通してあげて、魚にルアーを見つけやすくします。
この時もトラウトの真正面から向かってくるように巻いてくるのではなく、斜め45度の角度から水流によって流されているように巻いてくるとより自然のエサの流れに近づきます。
斜めにすることによって魚がルアー全体のシルエットを把握できます。
ルアーがテールを振っている様子や、ローリングしている様子、光の反射なども横からのほうがわかりやすく、アピールしやすくなります。
ポイント
トラウトは流れの上流を向いていることが多いので、上流にキャストして、トラウトの正面から斜め45度の角度でルアーを巻いてくる
人のいないところを狙う
人気の場所というのは、噴水や水車、流れの速い場所などで魚数も多く、その分人も多く集まります。
朝いちばんや、人のいない時間帯に人気の場所がとれるなら、その場から移動する必要はありませんが、昼からの釣りや出遅れた場合などはいいポイントは抑えられてしまっているでしょう。
逆説的にはなりますが、人気の場所は時間経過とともに魚がスレてしまいます。放流したての魚であれば釣れ続くこともありますが、プールフィッシングの場合は放流量はそこまで多いわけでもありません。
何度もルアーを見てきた魚や一度釣られてリリースされた魚なども多くいます。魚数が多くても釣れる魚ではない可能性もあります。
そんな時には人のいない場所もポイントになります。
プレッシャーのかかっていない場所だからこそ、フッと目の前をすり抜けようとしたルアーに反応してしまいます。
注意ポイント
誰もいないからと言っていきなりそのポイント立ち入らず、遠くから徐々に攻めていく
人間の足音というのは思いのほか水中に振動として伝わるものです。
自らプレッシャーを魚に与えてしまっては意味がありませんので、人のいないポイントは、魚が休憩しているポイントだと考え、まずは遠くから遠投してアプローチすることです。
この時は、早く巻くのではなく、じっくり、ゆっくりとした巻き方のほうが効果的なことが多いです。
寝ているトラウトに気づかれないように、ひっそりと動いていたルアーがトラウトに見つかって食べられる…そんなイメージをしながら巻いてくるのもいいでしょう。
ポイント
人気のない場所こそ、プレッシャーを与えないように遠くからゆっくり静かにアプローチする
プール別の攻略法
プールフィッシングと言っても、もとはプールですので様々な形状をしていることが多いです。
ここからは、プールの形状別に攻略法を見ていきましょう。
流れるプール編
流水プールは魚の数が比較的多くなっています。
ただし、ポイントが散らばっているので、魚の多いところと少ないところに差があります。
桟橋の下や、カーブになっているところに魚は集まりやすいです。
急激なカーブとなっている足元などにも意外と魚はいるもので、壁際についている可能性が高いです。
前述した酸素濃度の関係と同様に、トラウトは水がよどんでいる水域よりも流れのある場所を好むからです。
流体工学的には、流れの上流からカーブに差し掛かる部分では、外側の流れが遅く内側が早くなります。
曲がり終わりでは、流れの外側が早く、内側がゆっくりになります。
参考
ポイント選びの参考にして、ルアーの流し方や巻き速度を調整してみてください。
流れるプールおすすめのルアー
水流のあるプールなので、しっかりと泳ぐルアーが最適です。
ムカイ(Mukai) クランクベイト ザンム35MR F
重量2g サイズ35㎜と扱いやすいサイズ感で、水をリップでしっかりととらえて泳いでくれるルアーです。
初心者でも扱いやすいお助け系のルアーと言われることもあります。
キャストしたらただ巻きで、約2秒に1回転リールのハンドルを回すぐらいの速度で巻いてくるだけです。
カラーはピンクやオレンジなどのしっかりと色の入った目立つ色がおすすめです。
プールフィッシングでは、藻が生えていたり色粉が入っていたりと水がクリアでないことが多いです。
魚にまずはルアーの存在をアピールできるようにカラーを選んでいきましょう。
ノリーズ(Nories) クランクベイト ラッシュベル 33
最近人気のためネット通販でも在庫がなくなっているかもしれませんが、ラッシュベルはレンジキープ力に優れたウォブリングの動きをするクランクベイトです。
独特な折り曲がったリップ形状で、根本付近が広くワイドに、先端がクランクしておりやや細くなっています。この形状により、一定のレンジキープができるので流れのあるプールでも一定レンジを探れます。
よく見ないとわからないかもしれませんが、背面にスリットが入っており、側面腹部には複数のディンプルがあります。これが光の乱反射を起こし通常のクランクとは違った視覚的なアピールをしてくれます。
初めに投げたいカラーはピンク系ですが、食いが渋ってきたらペレット色に近い色が炸裂することもあります。
派手な色2色、地味な色1色で揃えておくと状況に応じた対応ができることでしょう。
続いては、造波プールについて見ていきます。
波のプール編
水流と水深の変化が大きいのが波のプールかと思います。だんだんと沖に行くほどに深くなってきますので、魚は水深の深い部分に集まる傾向にあります。
ウェダーを着て入水できる場合は、少しでも深いところからキャストできれば、釣れる可能性も高くなります。
※くれぐれも転倒や入りすぎにはご注意ください。
魚は、ぐるぐると回遊していますが、どちらかというと沖を向いていて泳ぎ、奥まで行くとUターンして浅場に少し移動して、また深いところに戻るという動きを繰り返しています。
浅場でヒットさせられればベストですが、なかなか難しいので重ためのルアーで沖を攻めるのが無難かと思います。
ポイント
波のプールは、ヘビールアーで沖合を攻める
波のプールおすすめのルアー
波のプールでは2g以上のルアーで主にボトムを攻めるルアーがおすすめです。
ダイワ(DAIWA) エリア トラウト プレッソ ステップダート 40S
キレキレのダートをすることで、トラウトのリアクションを誘うことが得意なルアーです。
重量も3gとなっており、遠投が可能です。きびきびとした動きを得意とするのでPEラインとの相性が抜群です。
フックがヴァンフックCK33W #8
となったことで、触れただけでも刺さるような貫通力になっています。ショートバイトなどもとりやすくアタリをとるなら抜群のフックです。
ただし、数匹釣ってしまうとさすがに針先が弱ってきますので、定期的な交換が必要になります。
フック交換が面倒でない方には、面白いルアーになると思います。
シマノ カーディフ エリアスプーン ロールスイマー 3.5g
エリアトラウトと言えば、スプーンで攻めたい。そんな人には持っておいてほしいロールスイマーの3.5gです。
定番中の定番ルアーのひとつですが、一般によく使われるのは、2.5gのロールスイマーです。
波のプールでは遠投したもの勝ちなところもあるので、3.5gの重量はその重さのメリットをいかすことができるでしょう。
基本のスプーンは1.5gで揃えておいて、遠投用にいくつか2.5gと3.5gを準備しておくのもおすすめです。
さらに詳しくは以下の記事もご参照ください。
管釣り最強のトラウトスプーン3選!初心者でも釣れるトラウトルアー厳選
25mプール編
初心者にもおすすめの25mプール。多目的プールとなっている場所もありますが、水中は平坦で起伏がなく沖にも足元にも魚がいます。他のプールに比べて小さめのトラウトが多く、その分だけ数がいるイメージがあります。
流れもほとんどないので釣りやすく、軽めのスプーンや小さめのプラグでゆっくりと巻いてくるのがおすすめです。
どうしても手前に巻いてくるにつれて、ルアーが水面に上がってきてしまうので、ロッドの穂先を下にしてできる限り巻き上げを防ぎ、一定のレンジをキープできるようにすると、足元まで追いかけてきたトラウトが最後の最後でヒットすることがあります。
足元まで気を抜かないようにしましょう。
25mプールおすすめのルアー
比較的釣りやすい25mプールでは、1.5g~1.8g前後のスプーンやプラグなどが有望です。
ノリーズ(Nories) ライス 30
ライス30は着水して動き始めたときからバイトを誘発してくれるようなルアーで、カナブンなどの虫が水面に落ちて捕食されるようなイメージのルアーです。
25mプールで至近距離に人がたくさんいても、スレたトラウトですら反応してしまう形状とアクションで、デッドスローに巻いてもキビキビとおしりを振りながら泳いでくれます。
水面から20㎝ほど沈み、目視できるので、トラウトが追ってくる様子もしっかりと確認できます。
どちらかというとハイプレッシャーの競技向け用のルアーですが、その分だけあって釣りやすい釣り場で使うと釣果は一目瞭然です。
しっかりとした動きを出すためには、ラインをできるだけ細くして使うことをおすすめします。
まとめ
ここではプールフィッシングでトラウトを釣るための攻略法やプール別のおすすめルアーなどを見てきました。
手軽に楽しめるプールフィッシングですが、安易に考えていると痛い目をみることもしばしばです。
釣り場によって放流魚や釣果の傾向は違いますので、参考程度に考えていただき、状況に応じてルアーの変更や場所移動もしていただければと思いますが、ある程度情報を入れておけばそこまで大コケすることはないかと思います。
それでもどうしても釣れない、何をやっても駄目だとなれば、少し反則級のルアーを使ってみるのも一つの手ではないかと思います。
参考までに以下の記事もご参照いただければ幸いです。
トラウトの爆釣ルアーと反則ルアー紹介。管釣りで最強になるなら必須なルアー3選!
【あとがき】
今回の記事を書き終えてみて、改めてプールフィッシングという冬季ならではの釣りの奥深さを実感しました。管理釣り場とは違い、もともと人が泳ぐためのプールで釣りを行うという点で、環境的にもテクニック的にも一筋縄ではいかない場合が多いのだと痛感しました。噴水や水車といった酸素供給源になるような設備が存在している点や、プールごとに形状が異なる点など、一見すると「どこも同じようなものだろう」と思ってしまいがちですが、実際には場所選びやルアーの巻き速度の調整などで釣果が大きく変わってくるからこそ、釣り好きとしてはつい力が入ってしまう部分があります。また、初心者でも手軽に楽しめるといえど「甘く見てはいけない」部分をしっかりと伝えたい、という想いが記事全体を通しての大きなモチベーションになりました。
そもそもこの記事を書こうと思ったのは、冬になると川越水上公園や加須はなさき公園といった近場のプールフィッシング場に通う機会が増えたからです。私は、子どもの頃から家族に釣りに連れて行ってもらうことが多く、ルアー釣りの世界にどっぷりとハマってしまったタイプの人間ですが、最初の頃は管理釣り場の釣りといえばどこでも「簡単に釣れるんだろうな」と漠然と思っていました。ところが、初めて冬のプールフィッシングに挑戦した時、意外にも渋い状況で全然釣れず、スプーンを投げてもクランクを投げても、何をやっても反応が得られなかったんです。ちょうどその頃は、噴水や水車がどれほど釣果に関わるのか、なぜ人のいない場所に魚が集まっているのか、などをまるで理解していなくて、「管理釣り場なんだからもっと釣れてもいいじゃないか!」と内心くやしさでいっぱいでした。そんな苦い体験があったからこそ、改めて情報を集め、先輩アングラーや釣り仲間たちから話を聞き、ようやく「プールフィッシングって意外と奥が深いんだ」と納得できるようになったんです。
特に、川越水上公園は私が幼い頃から慣れ親しんだ場所で、夏のイメージしかなかったのが、冬場になるとトラウトを放流していると知った時は本当に驚きました。お祭りのように混雑する管理釣り場とは少し違い、どこか地元感のある、のんびりとした雰囲気がある一方で、先ほども書いた通り、ルアーを選んだりキャストのコースを考えたりといった戦略面が求められるのが魅力です。私が良く行くもう一つのフィールド、加須はなさき公園のプールフィッシングも、最初は「人がたくさんいる場所を攻めればいいんじゃないか」と考えていたものの、実は人が集中するポイントほど魚がスレやすく、あえて人が立ち寄らない箇所を狙うほうが驚くほど簡単にヒットが得られることもあると知りました。例えば、プールの奥のカーブになっているエリアだとか、流れが生まれやすい場所の内側や外側など、ちょっとした変化を狙っていくのが面白いんです。
このプールフィッシングの奥深さを痛感したエピソードとして思い出すのが、まだ釣りを始めて間もない友人との釣行です。彼は「管理釣り場なら、まあなんとかなるっしょ」と気軽に来ていたんですが、実際には30分以上まったくアタリすらなく、すっかり意気消沈していました。そこで私が記事でも紹介したルアー、たとえばザンム35MRのようなクランクベイトや、少し重めのスプーンを「ここぞ」という場所にキャストするやり方を教えたところ、まさに“爆釣”と言っていい勢いで数匹立て続けにヒットしたんです。特に加須はなさき公園は、うまく流れにルアーを乗せてあげるとトラウトがバイトしてくる場面が多々あり、その友人もはじめの一匹が釣れた瞬間に「あ、こういう釣りか!」と腑に落ちたようでした。その後はもう、自分でルアーをローテーションしたり、キャストするアングルを変えたりと、まるで別人のように試行錯誤を楽しんでいましたね。あの様子を間近で見ていた私は、「初心者にこそ、こういう基本を押さえた情報を伝えたい」という気持ちがますます強くなりました。
また、釣り具店員さんから聞いた小ネタなども記事には少し盛り込んでいます。例えば、水車や噴水が動いていない時こそ案外チャンスがあるという話や、人の多い場所から敢えて外れたポイントに魚がたまっているなんていう情報は、私が地元のショップに足しげく通って質問を繰り返すうちに教えてもらったものです。「管理釣り場のトラウトって、人が投げたルアーをよく見ているからスレるんですよ」「だから最初に投げるカラーと、少し経ってからのカラーを変えるだけでも全然違うかもしれませんよ」なんていうアドバイスも頂き、自分で試してみると確かに釣果が伸びる場面もありました。こうした経験を踏まえて、「もっと多くの人が気軽に楽しめるプールフィッシングライフを送ってほしい」という思いで、今回の記事では徹底的に“ポイント”と“ルアー選び”にスポットライトを当てる構成にしました。
この記事を通じて、読者の皆さんには「釣れそうだけど意外と奥が深いプールフィッシングを、ぜひ先入観にとらわれず試してみてほしい」と感じています。私自身、最初はまったく釣れなくて何度も挫折しかけましたが、ちょっとしたコツやルアー選びの工夫、立ち位置やキャストする角度を変えるだけでも、驚くほど状況が好転するのが釣りの面白いところです。もしこの記事の内容が、皆さんの次回の釣行で「そういえばこんな攻略法があったな」と思い出すきっかけになれば幸いです。そして、まだ釣りをはじめたばかりの初心者の方や、冬場の管理釣り場は難しそうだから敬遠していたという方にこそ、一度はプールフィッシングに足を運んでみていただけたらと思います。最初の一匹を手にした時の喜びは格別ですし、それがきっかけでどっぷりハマってしまうかもしれませんよ。
最後になりますが、この記事が読者の皆さんの「よし、次の週末はプールフィッシングに行ってみるか!」という一歩を後押しできることを願っています。釣りは、ただ魚を釣るだけではなく、自然の中でのんびりしたり、友人と語り合ったり、道具選びやルアーのアクションを突き詰める奥深さだったりと、いろいろな楽しみ方があるものだと私は思っています。これからますます寒くなる季節、ぜひ冬ならではのプールフィッシングを堪能して、思い出に残る時間を過ごしてください。