釣りをする人であればエサを購入するのは当たり前となっているかもしれませんが、自作で作ったエサやコマセで魚を釣ってみるのも面白いかもしれません。
ここでは、アミエビのコマセ以外のエサで代用できるものをご紹介いたします。
サビキエサの代用となるのは?
サビキ釣りで使われるエサの代表としてはアミエビがあります。
小型のエビで、小魚から大型魚までも魅了する最強の餌でしょう。
確かにアミエビがあればとてもよく釣れるのですが、アミエビは冷凍品であり、臭いや手についた時のベタつきも気になります。
マルキユーから出ているアミ姫など、臭いや直接触れることをせずにエサを入れることができるものも販売されていますが、安くはありません。
アミ姫についての詳しい記事は以下をご参照ください。
アミ姫は釣れない?使用期限や保存方法などプロが徹底説明。釣れる裏技紹介
サビキエサとして魚を集めるためには、このアミエビのように高タンパクで栄養価が高く、アミノ酸が豊富に含まれているものが餌となります。
アミエビ以外の集魚成分が多い餌としては、イワシやサバなどの切り身があります。
スーパーで安売りになっているものや、くわせ餌として使うようなもの、冷凍庫に眠っていた魚など、古くなった魚の切り身でサビキやフカセのコマセに代用可能です。
魚はエビやカニなど甲殻類だけを食べているわけではありません。他の小さな魚や動物性のプランクトンなども捕食します。
魚の切り身のように、栄養価の高い食品は魚にとってもご馳走になります。
餌として代用するには、イワシなどの魚をそのまま使うと大きすぎます。
沖縄や離島など大型魚を狙う地域では、
このようなキビナゴをそのままスコップで海に撒いて釣りをするスルルー釣りというのもありますが、かなりマニアックな釣り方になります。
魚の切り身を使って餌を自作する時には、
魚を細かく刻むか、フードプロセッサーのようなものでミンチ状にして餌の代用とします。
特に有効なのがイワシのミンチです。
これがイワシミンチのコマセですな( ✧Д✧) カッ!!
隣の船のコマセだけど、初めて見るから思わずパシャり(笑) pic.twitter.com/9A58HALrr7
— しょーさん。 (@shosan0051) April 20, 2019
イワシミンチは船釣りではよく使用される餌です。
アジやサバなどはとても食いつきがよくなります。
フカセ釣りでは、今ではオキアミを使うのが当たり前になっていますが、冷凍されたオキアミが手に入らなかった時代にはイワシミンチを撒き餌に使っていました。
冷凍技術の発展により、安くて魚の釣れるオキアミが身近に手に入れられるようになり、イワシからオキアミへと変わっていったのです。
イワシミンチは、離島のシマアジ釣りにも使われます。
オキアミでは餌取りにとられてしまい餌持ちが悪いため、イワシのぶつ切りをイワシミンチを撒いたところに入れて釣りをします。
アミエビよりも費用はかかりますが、イワシの集魚力は非常に高く、私も離島での釣りには欠かさず持っていくようにしています。
このように、アミエビの撒き餌の代用としてはイワシや魚のミンチが有効です。
サビキ釣りやちょっとしたフカセ釣りでは、これほどの量を準備する必要はありません。
スーパーに売られているようなイワシのパックが2つもあれば十分でしょう。
イワシだけではすぐになくなってしまうので、ミンチ状にしたイワシに混ぜ物をするとより釣れる餌ができます。
イワシミンチの使い方
イワシや魚の切り身を海に撒くだけでも魚はよってきますが、餌の沈下速度が速く、魚が狙ったポイントにとどまりません。
また、魚の切り身だけを撒いているとアミエビよりも高価な餌になってしまいます。
そこで、イワシミンチや魚のミンチに米ぬかを混ぜることをおすすめします。
米ぬかは精米所でタダでもらえたりするので、米ぬかを集めてきます。そこにミンチにした魚の切り身や内臓を混ぜて撒きエサを作ります。
米ぬかを加えることによって水中で煙幕を作ることができるようになり、集魚効果も高まります。
アジやサバなどの小魚はこの煙幕に突進するかのように寄ってきて捕食をします。
コマセとして海に撒くのもいいですし、サビキカゴに入れてサビキ釣りをしてみるのもいいでしょう。
自作コマセは高い
アミエビを使わずに安く自作のコマセでサビキやフカセ釣りをしてみたいという方もいらっしゃるかもしれませんが、イワシのミンチを作る手間や魚の仕入れなどを考えるとアミエビを購入した方が結局は安くなるかと思います。
もし安い餌でサビキやフカセ釣りをしたいと思うのであれば、アミエビと米ぬかを混ぜて使用するのがいいかと思います。
煙幕を作ることができる上に、傘増し効果もあります。
ただし米ぬかを加えた餌では、集魚の基礎となるアミエビの粒が少なくなるため、他に釣り人がいた場合にそちらに魚を持っていかれる可能性が高くなります。
米ぬかを加えるのであればアミエビの汁を吸ってくれるぐらいの少量を加えることをお勧めします。
逆に人よりもたくさん魚を集めたいのであれば、集魚効果を上げるための集魚材アジパワーを加えると良いでしょう。
アミノ酸が添加され、水中で光を反射して光る素材のキララが配合されているため、遠くから魚を集めてくれます。
他にも
アミエビ+米ぬか+イワシミンチ
と魚の好むものをミックスするのもおすすめです。
アミエビの沈下速度は遅く、イワシはすぐに沈むので、上層にサバがいて下層にアジがいる場合などに沈下速度のラグを利用して魚の釣り分けをすることもできます。
まとめ
魚をたくさん集めるには撒き餌が必要になります。
代表的なものとしてはアミエビや、オキアミなどがありますが、魚のミンチ特にイワシミンチなどでも代用は可能です。
自作した餌で釣ってみるのもまた釣りの楽しさではないかと思います。
自作した餌で試してみて、更なる釣果をアップさせるために集魚材を加えてみるのも面白いでしょう。
固定観念に囚われずに挑戦すると、
思いもよらぬ釣果に恵まれるかもしれません。
【あとがき】
今回の記事を書き終えて、改めて「エサ」とひとくちに言っても、その用途や工夫次第で釣果が大きく変わってくる奥深さを感じました。サビキ釣りにおけるアミエビの代用例を取り上げることで、私自身、改めて“なぜアミエビがこれほど支持されているのか”というポイントと、イワシや魚の切り身といったほかの素材が持つ可能性について考える機会にもなりました。この記事を書く上で最も強調したかったのは、実際に自作コマセや代替エサを試してみることの楽しさです。費用面だけでなく、手間や匂い、そして工夫のしがいなどを含めて、アミエビ一択ではない“新たな釣りの視点”をお伝えできればと思い執筆しました。
さて、この記事を執筆するきっかけになったのは、釣り好きの友人たちとの何気ない雑談でした。普段はアミエビを当たり前のように使っているのですが、「もっと安く、しかも手軽に釣れるエサはないだろうか?」という会話が盛り上がったのが始まりです。特に、“冷凍アミエビを扱うのが少し面倒”“車ににおいがつく”“ちょっと高く感じる”といった細かな不満を抱えている人が多いことに気づかされました。最初は冗談半分で「スーパーでイワシを大量に買ってきて粉々にすればいいんじゃないの?」とか「シシャモやサンマでも寄ってくるのかな」といった話でしたが、それなら実際にやってみようということになり、仲間内でいくつかの実験をすることになったのです。
まずは大黒ふ頭や本牧海釣り施設、そして三浦の護岸など、比較的人が多くて海水の動きがわかりやすいエリアを中心に試してみました。アミエビの代用品としてイワシを使う場合、とにかく手を汚す準備は覚悟しなくてはなりません。私は最初にスーパーで十数尾分のイワシを買いこみ、それをキッチンで一気に捌きました。最初は包丁で刻む程度でもいいかと思ったのですが、途中から「より細かくしたほうが海中で拡散しやすいだろう」と思い直し、フードプロセッサーに投入。見た目は決してきれいではないものの、どろっとした“イワシミンチ”が出来上がります。これをジップロックのような丈夫な袋に入れ、さらに釣り場へ持っていく際にはバケツの中に保冷剤と一緒にセットして臭いがもれにくいよう工夫しました。
最初に訪れたのは大黒ふ頭の釣り場でした。ここでは家族連れや初心者の方がサビキ釣りを楽しんでいることが多いので、比較的シンプルな仕掛けで釣る姿をよく目にします。私もサビキ用のカゴにアミエビではなく、イワシミンチと米ぬかを少し混ぜた“自作餌”を投入。アミエビと同じようなペースで海に落としてみると、独特の油分が広がって魚が寄ってきている様子が見えました。最初は「くさいなあ」という感想が真っ先にあがりましたが、一方で思ったより魚は寄ってきます。アジやサバといった小魚が興味を示しているのが分かり、ちょっとした感動がありました。ただし、においや拡散力の点ではアミエビに一日の長があるのか、圧倒的に“すぐに喰いが立つ”わけではなく、魚が寄ってきてから当たりが出始めるまで、ほんの少し待つ時間が必要なようにも感じました。
本牧海釣り施設では釣り好きの方が多く集まっており、釣具店で買った市販の集魚材を混ぜている人も見かけました。そこで私も釣り仲間のすすめで、イワシミンチだけでなく「アジパワー」のような市販集魚材をプラスしてみることに。結果的には、集魚材の芳醇なにおいとイワシの生々しい油分が組み合わさったことで、より遠くから魚を寄せられたように感じました。ここで知り合ったベテランの方は、「イワシが高い時期にこの釣り方をやると、コストがアミエビより上がっちゃうから注意だよ」とアドバイスしてくださり、なるほどと深くうなずいたものです。
三浦の護岸では、友人と二人で少し長めの時間をかけて実験してみました。朝イチから夕方まで粘り、アミエビだけで釣りをするパターンと、イワシミンチや魚の切り身を使うパターンで交互に比較。アジやサバの寄りの早さではやはりアミエビが秀逸でしたが、イワシのコマセには“大きめの魚”が比較的寄ってくる傾向がありました。これはイワシ自体の高い栄養価が影響しているのか、あるいは油分に惹かれているのかもしれません。塊が沈む速度がアミエビと異なるため、底付近を回遊している魚も興味を示すという“層のズレ”のメリットがあるのだと体感できました。友人との間で「やっぱり魚が好きなものは、人間にとっても美味しいものなんだな」と話しながら、スーパーで特売されていた青魚が実はいいエサになり得ることに改めて気づき、ちょっとした充実感を味わったものです。
こうした試行錯誤を積み重ねる中で感じたのは、結局のところ“アミエビを買って使うほうが楽で安い”という現実です。ただ、その一方で、自分で材料を選んで混ぜ物を加え、どんな割合にするかを考えるプロセスは、釣りにおける楽しみをもう一段階深めてくれるとも思っています。たとえコストや手間がかかったとしても、そこに“自分で創り上げたもの”があるからこそ、釣果が出たときの満足度はひとしおです。
また、この取材や実験を進めていくなかで、釣具店の店員さんからも興味深いエピソードを聞けました。「イワシだけに限らず、サンマやサバを適度に混ぜてみるといい」というアドバイスや、「冬場は生魚よりも乾燥した集魚材を混ぜたほうが扱いやすい」など、記事には書ききれないほどヒントが詰まっていました。さらに、釣りのプロスタッフの方にお話を伺った際には、「実際のところ、どのエサでも魚は寄ってくる。ただし、そのときの潮の流れや魚の活性を読むことが重要」と教わり、状況判断が大切なのだと改めて実感しました。どれだけ優秀なエサを用意しても、海の状況を読む力がなければ最大限活かせないという意味では、釣りはやはり奥深いなと感じています。
そんなふうに、自作のエサでの挑戦は、確かに手間もかかればコストが予想以上にかかる場面もあります。しかし、「本当に釣果に差が出るのか」「自分だけのレシピを開発できるかもしれない」というワクワク感が大きいのも事実です。面倒だと感じる方はアミエビ+米ぬかといった簡易的なバリエーションから始めてもいいでしょうし、逆に「誰よりも魚を寄せたい」「狙う層を変えていきたい」という方は、イワシミンチと市販集魚材を組み合わせてみると面白い結果が得られるかもしれません。この記事を通じて、読者の方が“ちょっとした発想の転換”で新しい釣りの可能性に気づいていただけるなら、これ以上嬉しいことはありません。
最後になりますが、釣りの魅力はなんといっても自然と向き合い、そこに暮らす魚と真剣勝負ができるところにあると思います。エサや道具の工夫次第で釣果が変わるだけでなく、周囲の人たちとの交流や情報交換をきっかけに、思いもよらない知識を得られるのも醍醐味の一つでしょう。今回の記事が、読者の皆さんにとって少しでも新しい発見や挑戦の後押しになれば幸いです。