フカセ釣りを始めたいけれど、ウキや小物が多くて何を買えばよいか分からない。最初は、ここで迷いやすいと思います。
まずは足場の良い堤防で、タナを決められる入門セットを使い、1匹を目指すところからで十分です。ここで紹介するのは、撒き餌の流れにハリの付いたエサを合わせるウキフカセ釣り。堤防のメジナ(グレ)やチヌを念頭に、セットの選び方から仕掛けの順番、釣り始めの手順まで説明します。
「0シブ」「沈め釣り」といった細かい浮力の話は、あとから覚えても間に合います。自分が最初に重視したいのは、ウキを見失わず、絡んだら直して釣りを続けられることです。
(写真は平和卓也さんと横根に行った時の写真です。)
この記事の結論
- 最初は堤防で使いやすい入門セットを選べば十分です。
- 迷ったら、流しやすさを重視するなら円錐ウキ、穏やかな海で見やすさを重視するなら棒ウキで考えると選びやすくなります。
- 釣果差が出やすいのは高価な道具より、棚合わせ・撒き餌・仕掛けの絡みにくさです。
仕掛けだけを買っても、撒き餌を用意できなければ始まりません。竿・リールに加えて何が必要なのかも、記事の後半でまとめます。
初心者はタナを決められる入門仕掛けから
初めてなら、ウキ止めでエサを入れる深さを決める半遊動仕掛けが分かりやすいです。仕掛けがなじむとウキがウキ止めの位置で止まり、決めた範囲を流せます。
最初はセットの組み合わせを基準にして、タナを動かしながら反応を見る。ウキもハリも一度に替えるより、何を変えたら違いが出たのかをつかみやすくなります。
最初の標準イメージ
前提は釣りと撒き餌が認められた、足場の良い堤防です。波が穏やかで風の弱い日を選び、救命胴衣と滑りにくい靴を用意します。竿・リールを持っているなら、仕掛けセットに替え針と撒き餌道具を足すところから考えましょう。
釣研から発売されている
ウキ釣り超入門セット 棒ウキ
釣研の棒ウキセットは、パーツの付いた輪へ道糸を通して仕掛けを移せる構成です。パッケージの順番どおりに組めるため、小物を一つずつ選ぶ段階で迷いにくくなります。
棒ウキは海面での視認性が高く、ウキが入る動きも見やすいので、魚の反応を目で追いやすいのが利点です。海が穏やかな日や、足元から手前を丁寧に探るような場面では、最初の1本として十分使いやすい選択になります。
替えのハリが十分ではないこともあるため、糸付きの替え針は一緒に用意しておくと安心です。仕掛けづくりで止まるより、現場ではすぐ交換できる状態の方が手返しが落ちません。
チヌを狙うならチヌ針2号・ハリス1.5号前後を一つの目安にできます。小さなメジナやアジまで同じ針で済ませるのではなく、対象魚とエサの大きさに合わせて選びます。付属仕掛けよりハリスだけを極端に太くしないことも大切です。
糸付きチヌばりは、ささめ針からでています。
もう一つのおすすめの仕掛けは
ハヤブサの簡単ウキ釣りセット堤防用
ハヤブサの「コンパクトロッド カンタンウキ釣りセット 堤防用(HA176)」も候補になります。選ぶときはS・Mという記号だけでなく、針とハリスの組み合わせを見てください。
HA176の仕様では、ハリスはSが0.8号、Mが1号、Lが1.5号、LLが2号です。小型魚中心か、チヌを意識するかで選び方が変わります。セットのオモリや接続方法は、付属の説明書を優先してください。
どちらを選ぶか?
大きな違いは、棒ウキか円錐ウキかです。見た目の違いだけでなく、海面の荒れ方や見やすさ、仕掛けの安定感にも差が出ます。
迷ったら、穏やかな海で手前のアタリを見たいなら棒ウキ、仕掛けを流す操作を覚えたいなら円錐ウキという選び方でよいと思います。形だけで性能が決まるわけではなく、色や大きさ、浮力も見やすさに関わります。
棒ウキと円錐ウキのざっくりした使い分け
- 棒ウキ:海が穏やかな日、手前〜中距離、アタリを見やすくしたいとき
- 円錐ウキ:軽い波気の中で、道糸を操作しながら仕掛けを流したいとき
堤防で様子を見ていると、海が静かな日は棒ウキの見やすさが効くことが多いです。一方で、風が当たり始めたり、表面だけ波立っていたりすると、棒ウキは動きが大きく見えて迷いやすくなります。こういう差は現場でよく出ます。
そのため、最初は仕掛けを流したい距離で、ウキの頭が見えるかを優先します。波が大きくて追えない日は、ウキ交換で粘るより釣りを見送る判断が先です。
アタリはウキが沈むだけでなく、横へ走ったり、浮き上がったりすることもあります。まずは何も起きていないときの浮き方を覚えると、変化に気づきやすくなります。
注意
⚠ 注意:強風・高波の日や、足場の悪い場所は避けてください。フカセ釣りは道具が多く、慣れないうちは手元が忙しくなります。まずは足場の良い堤防で、海が落ち着いている日を選ぶと失敗が減ります。
なお、入門セットは竿とリールを持っている人を前提にしています。竿とリールがない場合は、仕掛けと一緒に用意します。竿とリールについては、記事の後半で初心者向けの考え方を整理します。
それではここから、フカセ釣りの仕掛けの基本を見ていきます。
フカセ釣りの仕掛けの順番と各パーツの役割
ここからは、中通しの円錐ウキを使う半遊動仕掛けを例にします。道糸はナイロン2号前後、ハリスは1.5号前後から考えると組み合わせやすいでしょう。棒ウキのセットはウキの接続方法が異なる場合があるため、同じ順番を無理に当てはめないでください。
取り付ける順番
竿・リール側 → ウキ止め → シモリ玉 → 円錐ウキ → からまん棒 → 小型スイベル → ハリス → 針
基本的な道具と撒き餌の考え方は、シマノのグレ釣り入門でも確認できます。
ガン玉は糸に挟んで取り付けます。まずはハリスの上側を取り付け位置の目安にし、ウキの浮力との釣り合いを見ます。
仕掛けの順番と、ウキ止めから針までの長さをセットで覚えると、タナ調整までつながります。
竿へリールを取り付けたら、ベールを起こして道糸をガイドへ通します。ベールを閉じたまま糸を通すと、糸がラインローラーを通らず、正常に巻けません。仕掛けを結ぶ前にベールを戻し、少し巻いて糸の通り道を確かめます。
コツ
道糸が巻けないときは、ベールとラインローラーを先に確認します。結束部分は水で湿らせてゆっくり締め、軽く引いて抜けないことを確かめてから釣り始めます。
ウキ止め
まず、リールから竿に通した道糸の先端側にウキが止まる位置を作るためのストッパーを入れます。これがウキ止めゴム、またはウキ止め糸です。
タナの目安は、ウキ止めから針までの距離です。道糸部分だけで測ると、ハリスの長さが抜けてしまいます。例えばハリスを1.5m取り、ウキ止めからスイベルまで1mなら、針までの長さは約2.5mです。潮で仕掛けが斜めになるため、そのまま鉛直の水深2.5mにエサがあるとは限りません。
ウキ止めゴムは手軽ですが、巻き込んだときにガイドで引っかかることがあります。そのため、長く使うならウキ止め糸の方が調整しやすいと感じる人が多いです。
道糸にウキ止め糸を結ぶときは、しっかり止まるが、少し力をかければ移動できる程度が理想です。強すぎると棚調整がしにくくなり、弱すぎると流している途中でずれてしまいます。
ウキ止め糸の端は製品の説明に従って残します。短く切り詰めれば必ず通りがよくなるわけではなく、硬い切り口がガイドに当たることもあります。巻き込むなら、実際にガイドを通して引っ掛かりを確かめてください。
タナを動かしたら、ウキ止めがその位置で止まっているかも確認します。深さを変えたつもりでも、糸がずれていれば比較になりません。
実釣で困ったこと
堤防でメジナを狙ったとき、タナを深くしたのに、回収するとウキ止めが設定した位置からずれていたことがありました。動かしやすさを優先して、結びが緩かったんです。締め直して針までの長さを測ると、ようやく同じ設定で流せるようになりました。魚の反応はすぐには変わりませんでしたが、何を試しているのか分からない状態は解消できました。
ウキ止めで覚えておくこと
- ウキ止めの位置から針までの距離がタナの目安になります。
- ウキ止めを竿側へ動かすと深く、針側へ動かすと浅くなります。
- 強く締めすぎると調整しにくく、弱すぎるとずれやすくなります。
シモリ玉
シモリ玉は、ウキ止めの結び目がウキの穴を抜けないようにする受けです。小さな部品ですが、穴の大きさが合わなければ、決めた位置でウキが止まりません。
選ぶときは道糸の適合号数に加えて、シモリ玉の穴にウキ止めが通り抜けず、シモリ玉自体がウキの穴に入らないことを確かめます。Mサイズという記号だけで決めず、使うウキと合わせるのが確実です。
ウキ
ウキは、魚の反応を目で見える形にしてくれる大切なパーツです。棒ウキも円錐ウキも、役割の本質は同じで、海の中で起きている変化を手元に伝えることにあります。
仕掛けセットに付属しているウキでも十分始められます。ただし、フカセ釣りを続けていくと、見やすさや浮力の安定感で差が出ることもあります。少し良いものを使いたいなら、使いやすいウキとしてウェーブマスターは候補に入れやすいでしょう。
ウキに書かれたBや2Bは、合わせるオモリの目安です。単品で組むなら、穏やかな堤防でB〜2B程度を出発点にできます。セット仕掛けは付属の組み合わせから始めましょう。水深だけで号数が決まるわけではなく、風や潮、仕掛けの入り方も見て調整します。
仕掛けの中では、ウキは比較的値段の差が出やすいパーツです。そのため、最初は付属品で始めて、続けたくなった段階で見やすいものへ替える進め方でも問題ありません。
何度かやっていて差が出やすいと感じるのは、単純な値段差よりも「自分の目で追いやすいか」です。遠くでも見失いにくい色か、波立った海面で見切れにくい形か。この基準で選ぶと、実際の釣りではかなり使いやすさが変わります。
中通しウキは水面で見えるトップ側から底側へ道糸を通します。トップは赤だけでなく黄色などもあるので、色だけで向きを決めないようにしてください。
注意
ウキがどこまで沈むかは、ガン玉・スイベル・針・エサなどを含めた負荷で変わります。BのウキへBのガン玉を付けたあと、さらに小さなガン玉を必ず追加するわけではありません。入門では頭が見える釣り合いを残します。
からまん棒
名前の印象は独特ですが、からまん棒はウキと下の仕掛けが絡みにくくなるためのパーツです。初心者ほど見落としやすい部分ですが、ここが効くと仕掛けのトラブルがかなり減ります。
製品の手順に従い、道糸へゴム管を通して支柱で固定します。道糸の太さとゴム管の適合を見て選んでください。
からまん棒は、まずスイベルの上20〜30cmほどを目安に置きます。ウキの大きさや仕掛けの組み方により必要な間隔は変わるので、ウキと接続部が干渉しないか確認しましょう。
フカセ釣りでは、この位置に潮受けを付けることもあります。潮受けは流れを受けて仕掛けをなじませやすくするためのもので、撒き餌との同調を助ける役割があります。
ただし、最初からここを細かく考えすぎる必要はありません。潮が緩い場所や、まず仕掛けをまっすぐ入れたい段階では、からまん棒だけでも十分です。
群れが見えているのに掛からないときは、魚がいないのではなく、仕掛けが自然に落ちていないことがあります。そういう場面では、難しい潮読みより先に仕掛けが絡まず素直に入っているかを見直した方が早いです。
スイベル
スイベル(サルカン)は、道糸とハリスの間に入れるパーツです。役割は、糸ヨレを軽減し、結びの接続をわかりやすくすることにあります。
フカセ釣りでは直結仕掛けもありますが、初心者が最初から直結にこだわる必要はありません。結束が甘いとここで切れる原因にもなるため、まずはスイベルを入れて接続点をはっきりさせた方がトラブルは減ります。
スイベルは小型で仕掛けの負荷を増やしすぎないものを選びます。大きなサルカンへ替えただけでもウキの浮き方が変わるので、ガン玉と合わせて考えます。
ガン玉
ガン玉は、仕掛けを沈めるためのオモリです。針だけでは沈下が遅く、狙った棚まで入らないことがあるため、ウキの浮力に合わせて重さを足していきます。
基本はウキの表記に合うガン玉から釣り合いを見ることです。BウキとBガン玉を合わせても、スイベルやエサの分で沈みすぎるならオモリを軽くします。浮きすぎる場合だけ小粒のガン玉を検討し、足すたびに海面で確認します。
入門で先に目指したいのは、仕掛けが入り、ウキの頭を追える状態です。最初から浮力をぎりぎりまで削ると、潮や道糸に引かれた沈みと魚のアタリを区別しにくくなります。
風で道糸がふくらんでいるなら、オモリを足す前に余分な糸を直します。それでも仕掛けが入らないときに、浮力のあるウキと重いガン玉を組み合わせ直す順番です。小さなウキへオモリだけを足し続けないでください。
ガン玉の考え方
仕掛けが絡まず、糸にも引かれていないのに入らない場合は、ガン玉の重さや位置を見直します。変更後にウキが沈み続けるなら、アタリを待つ前に負荷を確かめましょう。
横風が少し出た堤防では、ウキが斜めに引かれるのを見て、最初はオモリが軽いのだと思いました。でも、海面の道糸が大きな弧になり、ウキだけが撒き餌の広がりから外れていたんです。余分な糸を巻き、竿先で道糸の置き場所を直すと、オモリを足さなくてもウキの走り方が落ち着きました。自分はこのときから、沈まない原因が糸にないかを先に見るようにしています。
ハリス
ハリスは、道糸と針の間につなぐ糸です。フカセ釣りではフロロカーボンがよく使われます。入門では1.5号前後を基準に、長さはまず1.5〜2mほどから扱ってみるとよいでしょう。糸付き針を使うなら、その製品の長さを確認します。
細いほど魚に違和感を与えにくい一方で、切られるリスクは上がります。そのため、ハリス選びは「細い方が釣れる」ではなく、魚のサイズ・障害物の多さ・竿の曲がりとのバランスで考える必要があります。
根が多い場所では、細さを優先せず1.75〜2号など太めも検討します。竿の適合ハリスの範囲で組み、魚を掛けてから無理なやり取りにならないようにします。
細くする前に、ハリスのざらつきや結び目の傷を確かめます。魚を掛けたり、底へ触れたりしたあとは指でなぞり、傷があれば交換してください。
針
釣り針は、対象魚の口の形や硬さに合わせて選びます。口の硬い魚、吸い込み重視の魚、口切れしやすい魚では、合う形が変わってきます。
チヌならチヌ針1〜2号、小〜中型のメジナならグレ針4〜6号あたりが選び始めの目安です。両者の号数は共通の大きさではありません。魚の口とオキアミの大きさを見て合わせます。針の号数だけで飲まれにくさが決まるわけでもありません。
魚はいるのに食わない日は、ハリが大きすぎる、重すぎる、あるいはサシエとのバランスが合っていないことがあります。とはいえ、入門段階ではまず標準的な形から始めた方が比較しやすく、修正もしやすいです。
チヌ針の候補は、がまかつの掛りすぎチヌ2号です。まず一つの形を基準にして、エサが付けやすいか、針先が傷んでいないかを見ながら使います。針を外すためのプライヤーも用意しておくと手間取りません。
撒き餌と付けエサを用意する
フカセ釣りでは、仕掛けだけでなく撒き餌が釣りそのものを組み立てます。エサを撒いて魚を寄せ、その流れの中にハリのついたクワセエサを入れて口を使わせるのが基本です。
撒き餌はオキアミと配合エサを混ぜて作ります。配合エサは、まとめて投げやすくしたり、沈み方や広がり方を調整したりするために使います。オキアミだけでは釣れない、という意味ではありません。
メジナを狙う配合エサなら、グレパワーV9は候補にしやすい製品です。横方向への広がりと遠投性を持たせた配合で、通常品と徳用があります。同じ「1袋」でも容量が違うので、袋に書かれたオキアミ量と水量を見て混ぜます。
配合の割合と、一日に必要な撒き餌の量は別に考えます。「オキアミ3kgと配合エサ1袋で必ず一日持つ」とは決めず、釣行時間と撒く量で用意します。初めてなら短時間の釣行にして消費量をつかむと、次から無駄を減らせます。
針に付けるオキアミは、配合エサを混ぜる前に形のよいものを取り分けるか、付けエサ用を別に用意します。尾の先を切り、その切り口から針を入れ、エビの曲がりに沿わせ、体がねじれないように刺すと、流している途中の回転を減らせます。
撒き餌はウキの真上へ投げれば合うとは限りません。針のエサが沈む時間を考え、流れの上流側に撒いて、同じ流れへ仕掛けを入れるところから試します。横風でウキだけが引かれる場合は、先に道糸を直してください。
横根で竿を出したときは、足元で広がった撒き餌と、沖へ出ていく仕掛けを同じものとして見てしまい、合っているつもりで流していた時間がありました。沖磯では、足元の波に押し戻される流れと、その先へ抜ける流れを分けて見る必要がありました。
そこで撒き餌を少量ずつ入れて行き先を見直し、仕掛けも同じ流れへ乗せるように投入位置を寄せました。すぐに釣れたわけではありませんが、エサがそのまま戻るばかりだった中で、かじられて戻る流しが出ました。本命が触ったとまでは分からなくても、量を増やす前に通り道をそろえるという見方ができたのは収穫でした。
撒き餌で最初に意識したいこと
- 撒く量よりも、クワセエサと同じ筋を通せているかを意識する
- 反応が薄いときは、いきなり大量に撒かずに様子を見る
- 魚の反応が続くときも、撒く場所と間隔をそろえ、必要な量を足す
竿・リールと、釣りを止めないための道具
竿とリールは手持ちを活かし、取り込みと仕掛けの修理に必要な道具を揃えると、買い足す優先順位がはっきりします。
バッカン
バッカンは、撒き餌を入れておくための容器です。少し柔らかめの素材でできた、フカセ釣り用のバケツのような道具と考えるとわかりやすいでしょう。
フカセ釣りでは、撒き餌を混ぜる・持ち運ぶ・その場ですぐ打つ、という動作を何度も繰り返します。そのため、単なる入れ物ではなく、釣りの手返しを支える道具になります。
たくさん撒かないなら36cm前後でも十分です。ただし、初心者のうちは混ぜ方に慣れておらず、オキアミと配合エサをこぼしやすいこともあります。そういう意味では、最初は少し余裕のある大きさでも使いやすいです。
とはいえ、絶対に専用品でなければならないわけではありません。結局のところ、オキアミと配合エサをしっかり混ぜて、扱いやすい状態で置いておけることが大切です。まずは手持ちの大きめの容器から始めても問題ありません。
コツ
実際の釣り場では、撒き餌が混ぜにくいだけで手返しがかなり落ちます。最初は見た目よりも、その場で混ぜやすいか・汚れを落としやすいかを優先して選ぶと失敗しにくいです。
水汲みバケツ
水汲みバケツは、海水をくみ上げるための道具です。フカセ釣りでは撒き餌の硬さを調整したり、手を洗ったり、道具を流したりするために使うので、実用性が非常に高い必需品です。
海水を入れたバケツに魚を一時的に入れることもできますし、仕掛けをほどいたあとに手を洗うだけでも快適さが違います。小物に見えますが、現場で不足するとかなり困る道具です。
水汲みバケツは小さめで、海水を入れても無理なく上げられるものを選びます。ロープは足場から海面まで届く長さが必要です。大きいほど一度に重くなるので、容量だけで選ばないようにしてください。
水を汲もうとしたとき、波を受けたバケツが急に引かれることがあります。こういう場面は見た目以上に危険です。特に足場の悪い場所や、海面まで距離がある場所では、水を汲む動作そのものが危ないと考えておいた方がいいです。
注意
⚠ 注意:海側へ身を乗り出さず、ロープを手首や体へ巻き付けないでください。波を受けて急に引かれることがあります。安定した姿勢で少量ずつ汲み、安全に届かない場所では無理に下ろしません。
ヒシャク
ヒシャクは、撒き餌を打つための道具です。フカセ釣りでは、ただ餌を撒くだけでなく、どの位置に、どのテンポで、どれくらい入れるかが重要になります。そのため、ヒシャクは単なる補助道具ではなく、釣りの組み立てに直結する道具です。
とはいえ、初心者が最初から高級なものを使う必要はありません。手前から中距離までを打つのであれば、安価なプラスチック製でも十分使えます。
第一精工のヒシャクなど、手に取りやすいものから選んでも十分です。まずは手前の同じ位置へ繰り返し撒けるかを見て使います。
釣れている人を横で見ていると、派手に遠くへ撒いているというより、仕掛けの入る筋へきちんと合わせていることが多いです。最初に差が出やすいのはヒシャクの価格ではなく、撒く位置が安定しているかどうかです。
マゼラー
マゼラーは、オキアミと配合エサを混ぜるための道具です。
半解凍のオキアミを崩したり、配合エサを底から混ぜたりするときに使います。手を直接入れる回数を減らせるので、手の汚れや冷たさが気になるときにも便利です。
釣り専用品があれば便利ですが、最初は必須ではありません。100円ショップなどの園芸用スコップや炭用スコップでも代用できます。重要なのは、底までしっかり混ぜられる形であることです。
⚠ 注意:尖ったスコップでバッカンの底を強くこすらないでください。容器を傷めることがあるので、角が丸く、底まで混ぜやすい形を選びます。
たも網
たも網は、大物が掛かったときのためだけの道具と思われがちですが、実際には取り込みの失敗を減らすための道具です。30cmを超える魚になると、足場の高さ次第では抜き上げが厳しくなることがあります。
堤防で様子を見ていると、あと少しで取れそうな魚を最後に落としてしまう場面は珍しくありません。魚のサイズがそれほど大きくなくても、足場が高い場所ではたも網があった方が安定します。
たも網の柄は釣る場所の足場の高さと、干潮時の海面までの距離で決めます。5m前後は候補になりますが、長さが足りずに身を乗り出すようでは使えません。
たも網は、釣り始める前に組んで手の届く位置へ置きます。魚が掛かってから袋を開け、柄をつなぐのは難しいです。魚を水面へ浮かせ、頭から網へ誘導します。
注意
⚠ 注意:無理な抜き上げや、海へ身を乗り出す取り込みは避けます。網へ魚を入れたら柄を縮めて回収し、伸ばした柄を水平に持ち上げて魚の重さを掛けないでください。
竿
フカセ釣りでは、基本的に磯竿を使います。目安としては1.5号・5.3m前後が扱いやすく、堤防でも磯でも応用しやすい長さと強さです。
初心者が始めるなら、シマノのホリデー磯のような手に取りやすいモデルは十分候補になります。高価すぎず、フカセ釣りの雰囲気をつかむには使いやすい一本です。
手持ちの汎用磯竿でも、長さ・適合ハリス・仕掛けの扱いやすさが合えば使えます。サビキ竿という名前だけで選ぶと、硬すぎる場合があります。堤防で長い竿を持て余すなら4〜4.5m程度も候補にして、ハリスの長さも無理なく振り込める範囲にします。
ここで大切なのは、最初から最高の竿を選ぶことではありません。仕掛けを振り込みやすく、ウキを追いやすく、魚とのやり取りで無理が出にくい長さかどうかです。短すぎると扱いやすい反面、ウキ釣りの間合いが取りにくくなることがあります。
逆に長すぎると、慣れないうちは持ち重りや操作のぎこちなさが出やすいです。最初の1本は、無理なく持てて、堤防で扱いやすい範囲から選ぶのが現実的です。
リール
リールは、最初からレバーブレーキ付きの高価なものを使う必要はありません。堤防や湾内の釣りであれば、まずは2500番前後のスピニングリールで十分成立します。
糸付きリールの例として挙げているのはアリビオ2000です。すでに手元にあるなら、巻かれた糸の号数だけでなく、傷や強い巻き癖、ドラグが滑らかに動くかも見ておきます。
これから選ぶなら、ナイロン2号を150m程度巻けるかを糸巻量の表示で確かめます。同じ2500番でも浅溝スプールでは巻ける量が違います。糸はスプールの指定量までにし、いっぱいに盛り上げないようにしてください。
レバーブレーキは、魚の突っ込みに合わせて糸の出し入れを操作できる道具です。ただし、魚が50cmを超えたら必須という区切りはありません。堤防から始めるなら、通常のスピニングリールでドラグと竿の曲がりを使うことに慣れてからで十分です。
買い替え候補としてはアルテグラ2500もあります。選ぶ際は巻き心地だけでなく、竿に付けたときの重さと糸巻量を比べると判断しやすいでしょう。
ドラグは締め切らず、負荷が掛かると糸が滑らかに出る状態にしておきます。最初は経験者や釣具店で使うハリスに合わせてもらい、掛けてから慌てて調整しない準備をしておくと安心です。
買い足すなら予備の消耗品を先に
竿・リール・安全装備が揃ったら、次に持ちたいのは予備の仕掛けです。替え針とハリスがあるだけで、小さなトラブルで釣りが終わるのを防げます。
エサ、針、ハリス、ウキという魚に近い側の状態を見直す考え方は大切ですが、取り込みに必要なたも網まで後回しにしないでください。
道具を揃える優先順位
- 釣りを始める一式:竿・リール・道糸、救命胴衣、仕掛け、付けエサ・撒き餌、容器、ヒシャク、水汲みバケツ
- 取り込みと修理:釣り場に届くたも網、替え針、予備のハリス・ガン玉・仕掛け、ハサミ、プライヤー
- 続けながら見直す:専用バッカン、混ぜる道具、ウキの色・浮力、竿とリールの扱いやすさ
持ち帰る魚を冷やすクーラーと氷、使い終えた糸やエサ袋を入れるゴミ袋も用意します。釣り場を汚した撒き餌は施設のルールに従って片付けるところまで、準備に含めておきましょう。
釣り場での流れ:エサを付けてから回収するまで
最初は遠くへ投げず、ウキと撒き餌を目で追える範囲で一連の動作を覚えます。ここでは小〜中型のメジナ狙いを例にします。
- タナを決める。浅すぎて底へ触れる場所を避け、ウキ止めから針まで2〜3mほどを出発点にします。これは水深や魚の位置に合わせて動かすための仮の設定です。チヌを底付近で狙うなら、先に底の深さを測って合わせます。
- 撒き餌を少量入れ、流れる方向を見る。いきなり広範囲に撒かず、どこを流したいか決めます。
- オキアミを付けて、仕掛けを振り込む。周囲と後方を確認し、仕掛けが固まって落ちないよう、着水直前に指で糸の出を軽く抑えます。
- 仕掛けがなじむのを待つ。ウキ止めまで糸が通るように送りつつ、風でふくらむ余分な糸は直します。張りすぎてウキを引かないようにします。
- ウキの変化を見る。沈み込む、横へ走るなどの変化が出たら、余分な糸を巻き取り、竿を立てて合わせます。大きくあおる必要はありません。
- 反応がなくても回収する。同じ範囲を一度流したら、エサの残り方とハリスの絡みを確認します。エサのない針を長く流し続けないことが大切です。
⚠ 注意:振り込む前に、後ろと隣の人の位置を確認してください。根掛かりを竿で強くあおると、外れた針やオモリが飛んでくることがあります。顔を近づけず、無理に竿を曲げて外そうとしないでください。
魚が掛かったら、急いで海面から持ち上げず、竿の曲がりを保ちながら寄せます。取り込みは先に用意したたも網を使います。
よくある失敗と見直し方
釣れないときは、仕掛けの絡みとエサを確認してから、一つずつ変えます。タナとオモリと針を同時に替えると、反応が出ても理由を絞れなくなります。
釣れないときに見直す順番
- 1. 糸の通し方、結び目、ハリスの絡み、針にエサが残っているか
- 2. 道糸に引かれず、ウキ止めまで仕掛けが入っているか
- 3. タナと、撒き餌を入れる筋が合っているか
- 4. ガン玉が重すぎる・軽すぎる
- 5. 針とエサの大きさ、流す場所が対象魚に合っているか
エサが丸ごと残り、仕掛けも絡んでいないなら、タナを50cmほど変えて同じ筋を流します。周囲で釣れている深さが分かれば、その情報も参考にします。エサが残る=必ず深くするではなく、魚が見えて浮いているなら浅くする方向もあります。
反対に、ウキに出ないままエサだけなくなる場合は、エサ取りなのか、糸がたるみすぎているのかを見ます。いきなり深くせず、回収を早めてエサの状態を確かめてください。
底へ触れる感触や、同じ場所でウキが止まる現象が続くなら、タナを浅くして比較します。根掛かり後は針先とハリスの傷も確認します。
仕掛けはセットを買うか単品で揃えるか?
まず一度試すならセット、調整したい部分が見えたら単品を追加。この順番が分かりやすいと思います。
フカセ釣りセットは比較的手頃に揃いますし、仕掛けの順番を覚えるには向いています。ただし、ハリスを切ったり、根掛かりで飛ばしたりすると消耗は早いので、予備も持っておく方が安心です。
セット仕掛けは「使い捨て」というより、消耗部を交換しながら覚えていくものと考えるとしっくりきます。最初のうちは、どこが傷みやすいか、何を追加すると快適になるかを知るための教材にもなります。
単品へ移る目安は釣行回数より、「このウキの浮力を替えたい」「ハリスを結び直したい」と感じるようになったかです。必要な小物から足せば、セットで買ったものも無駄になりにくくなります。
ハリを変える、オモリを足す、棚を詰める。こうした小さな修正ができるようになると、フカセ釣りの面白さが一段深くなります。
結局どちらがいいか
- まず1回やってみたい人:入門セットで十分
- 今後も年に数回は行きそうな人:セット+消耗品の追加がおすすめ
- 続ける前提の人:少しずつ単品へ移行すると調整の幅が出る
まとめ
最初の準備は、タナを決められる仕掛けセットと、竿・リール、エサ、安全装備、取り込み道具です。仕掛けは説明書どおりに組み、ウキ止めから針までの長さを把握してから流すと、釣れないときに直す場所が見えてきます。
次の釣行では、魚が釣れたかに加えて、エサがどう戻ったかを一つ覚えて帰ってみてください。タナや撒き餌の位置を考える材料になります。
フカセ釣りにおすすめのコマセバッカン紹介。ロッドホルダー装着可能【実物画像】
あとがき
道具を揃える話を書いていると、最初のころの自分は、釣り場で直す時間をあまり考えていなかったなと思います。家で仕掛けを一度作れれば、海でも同じようにできるつもりでした。ところが、実際には手が濡れますし、風でハリスが動きます。小さな穴へ糸を通すだけのことが、なかなか終わらないんです。
堤防でハリスを絡ませたときも、予備を使うのがもったいなくて、ほどけば戻せると考えていました。竿を置き、針を外して、結び目に見えるところを少しずつ引っ張る。その間もウキが流れている周りの人が目に入り、早く戻したい気持ちばかり強くなりました。急いでいるのに、同じところを何度も触っていたのを覚えています。
ようやくほどけたハリスは、まっすぐ伸ばしても途中が縮れていました。そのまま使うか迷いましたが、指で触ると引っ掛かりがあり、結局切って結び直しました。そこで初めて、ほどくことに使った時間と、仕掛けを戻すことは別だったんだと気づきました。釣りをしているつもりで、海を見る余裕がほとんどなくなっていたのが悔しかったです。
その日は結び直したあとも、すぐに魚が釣れたわけではありません。新しいハリスなら必ず食う、という話ではないんですよね。ただ、回収したときに針とエサを落ち着いて見られるようになりました。絡みを気にしながら流していた時間とは、同じ無反応でも自分の受け止め方が違いました。
それからは、糸付き針や予備のハリスを持つことへの抵抗が小さくなりました。全部をその場で器用に作るのが上手な釣り人だと思っていた部分もありましたが、自分には迷ったときに戻せる仕掛けがあることの方が助けになりました。針を結ぶ練習は家でもできます。海で限られた時間を使うなら、魚や潮を見る方に少しでも回したいです。
一方で、なんでも新品へ替えればよいとも思っていません。傷のない道糸まで毎回切り詰めたり、反応がないだけでウキを次々に取り替えたりすると、何を見ていたのか分からなくなります。道具を大切に使うことと、傷んだ部分を無理に使い続けることを、自分の中で分けられるようになったのは、何度か手間取ってからでした。
今も、釣れない時間が長くなると新しい道具を試したくなります。使ってみたいウキを選ぶのも、この釣りの楽しみです。ただ、買い物をするときに「これがあれば釣れるかな」だけでなく、「今の自分はどの動作で困っていたかな」と考えるようになりました。遠くが見づらかったのか、結び直しに時間が掛かったのか。同じ予算でも、答えによって買うものは変わります。
初心者向けの記事に予備の話を入れたいのは、魚を逃したからというより、釣りが止まったときのあの焦りが残っているからです。一度失敗しても、仕掛けを戻してもう一投できる。最初の道具には、その余裕を持たせたいと思っています。次に海へ行く前も、新しいウキの箱を開けるより先に、小物入れの替え針を確かめるつもりです。


































